人材要件定義支援
特定の職種やポスト等の人材要件を定めるために、アセスメントを用いたデータ分析や経営者やキーポジションの方にインタビューを行います。定量的なデータと定性的なインタビューの情報を統合し、人材要件定義を作成します。今後必要とされる自社独自の人材要件とコンピテンシーのマッピング支援も行います。データ分析ではオリジナル尺度の作成も可能です。

人材要件定義とは?
選抜、配置、任用、能力開発などの人事施策を行うには適切な基準が必要です。人材要件を定義することで適切な基準と運用方法がわかります。
アセスメントデータの分析、高業績者へのインタビューなどを通じて各ポストの職務遂行に必要なコンピテンシーを特定します。調査対象の設定、調査(適性データ収集、データ分析、インタビュー、アンケートなど)の実施、コンピテンシーの決定、コンピテンシーの活用を支援します。
人材要件定義 2つのサービス
人材要件定義支援
特定の職種やポスト等の人材要件を定めるために、アセスメントを用いたデータ分析や経営者やキーポジションの方にインタビューを行います。定量的なデータと定性的なインタビューの情報を統合し、人材要件定義を作成します。今後必要とされる自社独自の人材要件とコンピテンシーのマッピング支援も行います。データ分析ではオリジナル尺度の作成も可能です。
人材要件定義のノウハウ提供
自社で要件定義を行うためのインタビュースキルトレーニングやアセスメントデータの統計分析手法のトレーニングを行います。当社の豊富な実績を元に、実践的なスキルや手法を学ぶことができます。 自社で主体的に要件定義を行うことで、今後の要件の変化にもすばやく対応することが可能です。
導入シーン
データを元に科学的に求める人物像を定義できます。経営戦略の転換や新たな事業で求める人材が変化した場合も、未来に必要な人材要件の定義が可能です。
社内の人材選抜もその後のパフォーマンスの観点から妥当な選抜基準を作成することが可能です。
社内の各ポストに求められる人材要件と社員の人材情報を結びつけ最適な配置を実現します。
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現場で評価される技術者に偏っていた従来の人材選抜と育成体系。
これを一新して経営を担える人材を育てる、東京電設サービスの人材育成改革をご紹介します。
※本取材は2021年4月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。
発電、送電、変電設備の保守に関する工事及び作業。発電、送電、変電設備の分析、試験、診断ならびに図面作成・整備業務。電気設備の運転、監視業務。電気設備機器類の製作、買取り、販売。建設業(電気工事業、土木工事業、とび・土工工事業、塗装工事業、鋼構造物工事業、電気通信工事業)。測量業、建設コンサルタント業。建物にかかわる空調、防災、電気設備の保守管理ならびに建物清掃、警備業務。労働者派遣事業。電力設備の技術に関する研修及び広報の企画実施。前各号に付帯関連する事業。
設備工事業
854名(2021年3月末現在)
インタビューを受けていただいた方
東京電設サービス株式会社
人財・技術開発センター 所長 (写真右)
人財・技術開発センター 採用・育成グループマネージャー (写真左)
東京電力グループは、徹底した収益力の改善と企業価値の向上を目指していくという全体方針があります。当社も、もともとは送変電設備の保守・点検業務などを行っていましたが、オフィスビルや工場などの電気設備でのメンテナンスや、工事・施工管理業務も行うようになり、それに耐えうる人材を育成していく必要がありました。従来、発注者が親会社であり、電気のプロであるため、作業に関する詳細な指示がありましたが、一般のお客さまは当社をプロだと思って任せてくださるので、自分から課題を発見し提案を行う必要があります。これからの人材は応用力や、新しい課題に対応する力を身につけなくてはならないと考えています。
日本エス・エイチ・エルのアセスメントツール「万華鏡30」を導入したのは、どの人材がどのようなタイプのコンピテンシーを持ち、各タイプのコンピテンシーを強みとする人がどれくらい社内にいるのかを客観的に把握するためでした。最初のきっかけは、管理職が事業や経営に関する視座を持てるよう、底上げが必要だという意見が社長から出たことです。当社の処遇や任用の仕組みが、現場技術者としての評価に偏っており、将来の管理者や経営に関与できる人材を育成し任用するという仕組みになっていなかったことが、根本的な原因と考えています。「人あたりがいい」「現場での動きがいい」といった評価だけではなく、例えば、アセスメントを用いて幅広いコンピテンシーを客観的に評価し、全社共通の目線で育成施策を打つことが、改善の第一歩になるのではないかと考えました。
日本エス・エイチ・エルのコンサルタントから説明を受け、アセスメント(万華鏡30)はたくさんの使い道があると感じました。たとえば、人事的な意思決定の資料にもなりますし、社員の全体傾向を見て、今後目指すべき人材像を特定したり、現状の不足部分を把握したり、今後の採用方針を決めたりすることもできます。当初の目的は管理職の底上げでしたが、今後会社を支える中堅や若手社員のポテンシャルを把握し育成することも重要ですので、一般職も含めてアセスメントを実施しました。
日本エス・エイチ・エルのコンサルタントに分析してもらったところ、管理職者は変化に適応したり、革新的なことを遂行したりするのがやや苦手な傾向があることがわかりました。中心になって組織を引っ張るべき管理職が変化を苦手とする傾向は、手を打つべき課題です。現状、社内で新しい施策の企画立案を担当するのは、親会社からの出向や転籍者が多い傾向がありますが、その役割をプロパー社員に伝承する必要があると感じます。実際に事業を回し、お客さまと直接向き合っているのは親会社の管理部門ではなく、子会社の担当者。ビジネスの源泉が子会社で生まれることもあるでしょうし、事業を最前線で担っている自負を持っていただく後押しができればと思います。
受検者自身がアセスメント結果を閲覧できるようにもしました。スタッフは自身の能力開発のために、管理職は部下育成のために、経営陣は全社員の傾向把握のために、アセスメント結果を参照できるようにしました。
また管理職を対象に、部下にアセスメント結果を活用したフィードバックを行うための研修を実施しました。この研修では、アセスメントの結果から人材タイプの大別方法、各タイプの強み弱みを踏まえた質問の仕方、育成目標を決める上で確認しておくべきこと(これからどのような仕事をやってみたいか、今後取得したい資格は何か、どのように強みを活かすかなど)を学びます。効果的に育成面談を進めてもらうことがねらいです。かつてのように、全員が一律に管理者を目指す時代ではなくなりました。スペシャリストとして技術や知識に磨きをかけることを志向する人もいると思いますので、自身の特徴をもとに、うまく気付きを促す機会になればいいと思っています。同時に、日ごろのOJTも踏まえ、マネジメントのポテンシャルが高い方は、適切に育成・任用します。この新しい育成の方針について、賛同を得られるか不安もありましたが、反対の声はありませんでした。実在する社員のアセスメント結果を使った解釈の例示もしており、一定の納得感を得られたため、受け入れられたのだと思います。
これまで当社は技術を重んじ、キャリア開発や人材育成も、技術的な知識の習得や技能の向上という観点で考えがちです。今後も技術力を磨いていくことに変わりはありませんが、こうした研修を機に、コンピテンシーという観点を加え、人材育成を推進できるよう、仕組みを変革したいと思っています。人材育成に関心のある管理職はアセスメントの導入をよい機会と捉えていると考えています。
現場でアセスメント結果が活用されるのは、まさにこれからです。現在、管理職は部下の評価を行っており、次の業績目標を立てるタイミングで育成面談を実施します。そして、その結果(社員の志向、興味関心)とそれに対する上司の所見などを人財育成管理システムに集約します。このシステムには、経歴や所持する資格、受講した研修、そして今回のアセスメント結果が入ります。これらの情報に基づいたOJT計画を各職場で作ることが目標です。ツールはそろっており、あとはいかに運用してくかが肝心です。
また先述の通り、新しい事業領域に進出していくための人材発掘にも人材データを活用します。現在、当社の売上構成比を、親会社からの受注を中心としたものから、親会社以外を中心としたものへと変化させていく計画があります。お客さまが変わると、当然、仕事の内容も変わるので、従来からの人事制度も変えなくてはなりません。将来的な改定に向けて社内で協議しています。
日本エス・エイチ・エルは、様々なアセスメント会社がある中で、あまりセールス色の強い会社ではないので、相談しやすいです。フラットにいろいろと相談させていただける、良きパートナーだと思っています。
担当コンサルタント
日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント
今回のお話をいただいたときに、東京電設サービスの「社員の育成体系の構築」、「新事業領域への進出」に携わることができるやり甲斐と責任感を感じました。
スキルや知識に加えて、ポテンシャルに焦点をあてた育成とキャリア開発の取り組みは、社員ひとりひとりが自分の強みを活かして自分らしく働くことができる会社になるためのものです。導入にあたって人材タイプの定義、各タイプの人材要件整理、各人材要件とアセスメントツールとの関連付けのために議論を重ねました。この議論が無ければ、石山さんと佐々木さんの目指すゴールにたどり着くことができなかったかもしれません。
まだこのプロジェクトはスタートしたばかりです。今後も東京電設サービスの皆様の声や思いに耳を傾け、本プロジェクトの成功のため支援させていただきます。
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積水ハウスの次世代リーダーを育成するタレントパイプライン構築。
経営戦略を実現するための新たな人事組織を立ち上げた積水ハウス。
次世代を担うビジネスリーダーを計画的・戦略的に育成するタレントパイプライン構築の取り組みをご紹介します。
※本取材は2020年9月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。
戸建住宅事業、賃貸住宅事業、建築・土木事業、リフォーム事業、不動産フィー事業、分譲住宅事業、マンション事業、都市再開発事業、国際事業
建設業
16,616名(2020年4月1日現在)
インタビューを受けていただいた方
積水ハウス株式会社
人事部 人材開発室 室長(写真右)
人事部 人材開発室 課長(写真左)
これまでオペレーショナルな業務が中心であった人事部を、10年後、20年後を見据えて経営戦略に沿った人事戦略を担う専門組織にすべく、人材開発室という新たな組織が作られました。様々な人事課題を検討する中で、まずは①タレントパイプラインの構築と②職能資格を中心とした年功序列的な人事制度の変革を、大きな柱として取り組むことになりました。日本エス・エイチ・エルに相談したのは、このタレントパイプラインです。
社長をはじめ、取締役・執行役員、そして一番のキーポジションである支店長のサクセッションプランニングが課題です。私たちは、中堅・若手クラスの中から将来のビジネスリーダーになれるような人を早期に発掘して計画的に育成する、人材プールの作成を経営層に提案しました。
この課題の背景には、過去の反省がありました。営業中心の会社ですから、これまで支店長になる人はどちらかというと業績重視でした。そこで、マネジメント能力や人格など、より多角的に評価を行い、計画的に人材を育成し、登用する必要があると考えました。
私たちの組織が発足する少し前に、支店長養成研修「経営塾」がスタートしました。支店長や部長になる登竜門のようなもので、受講生の選抜方法は上長推薦です。1年間でリベラルアーツや行動経済学、DX、イノベーションなどを大学教授、外部有識者から学びます。幅広く勉強してもらい、その成果を支店経営に活かしてもらうことがねらいです。
続いて、35歳以下の選抜研修を新たにスタートさせました。「Sekisui House Innovators and Entrepreneurs」の頭文字をとって、「SHINE! Challenge Program」と名付けました。15名限定で約1年間、多くの外部講師や社内の最先端にいる人からインプットを得ます。普段実務に専念している人たちに、視野を広げ、視座を高めてもらい、将来の積水ハウスの価値創造を考える機会を提供しています。全体を通して外部コーディネータに伴走してもらいながら、得た知識をどう活かすかアクション・ラーニングを行います。最終的には、研修を通じて得た経営課題からビジネスプランを作成し、経営陣の前で発表します。参加者からは、日常とは異なる視座で会社を考える機会が得られた、他の参加者からよい刺激が得られたとの声が寄せられました。
「SHINE! Challenge Program」は名前の通り、イノベーターやアントレプレナーの素養がある人を探して輝かせることを目的としています。そのイノベーター、アントレプレナーをどのように見つけるのかについて、日本エス・エイチ・エルのコンサルタントに相談して、選抜方法を決めました。
基本的に人材開発室がプログラム参加者の15人を選んでいます。候補者は30歳前後から35歳ぐらいまでの社員約1,100名です。選抜基準は2つ。一つは人事考課などの実績、もう一つはポテンシャルです。日本エス・エイチ・エルのタレントアセスメント(知的能力検査、パーソナリティ検査OPQ、モチベーション検査MQ)を使ってポテンシャルを評価しています。特にOPQから算出されるマネジメント能力やアントレプレナーのポテンシャルに注目しています。
選抜基準の2つの評価を縦軸と横軸にとり(実績を縦軸、ポテンシャルを横軸)、各軸を3つのレベルに分けることで、9つの区分(9ボックス)を作り、右上の区分に入る人から15人を選んでいます。
日本エス・エイチ・エルには採用のアセスメントを長年提供してもらっており、何度も尺度や基準の見直しの相談をして、真摯に協力してもらいました。「SHINE!Challenge Program」の軸を作りたいとなったときに、他のアセスメントも検討しましたが、長年のデータ分析と活用の実績でわかったアセスメントツールの信頼性と妥当性の高さ、カスタマイズの柔軟性から日本エス・エイチ・エルのアセスメントを使うことに決めました。その後、担当コンサルタントと時間をかけて打ち合わせをしながら、選抜手法や評価軸の構造などを決めていきました。
採用でも引き続きご協力いただき、さらに進んだ人材データ分析を行いたいと思っています。また、育成の面では、現場からアセスメント結果をうまく使いたいという声もあがっています。職場風土を変革するために、上下関係や社員同士のコミュニケーションを改善したり、ダイバーシティを推進するため、アンコンシャスバイアスに気付かせたり、といった取り組みを進めています。その中でOPQ、MQを自己理解や他者理解の促進に使いたいと考えています。読みやすく、あつかいやすいレポートやユーザーインターフェイスでアセスメント結果を本人やマネジャーにフィードバックできるとありがたいですね。
担当コンサルタント
日本エス・エイチ・エル株式会社 大阪オフィス 部長
中堅、若手社員の早期選抜は、今や多くのクライアントで取り組まれている重要テーマですが、SHINE! Challenge Programはオンラインアセスメントデータの活用先端事例と思います。自社で保有する業績指標(パフォーマンス)とSHLハイポテンシャルモデル(グローバル経営リーダーに必要な資質)を掛け合わせた人材選抜は、客観性と予測精度を担保できる仕組みと言えます。
また、入社時と現在でのアセスメントデータの変化や、業績、昇格スピード等の各種パフォーマンス指標との関連性など、多岐にわたり検証しながら進める機会をいただきました。
20年近く当社サービスをご利用いただいておりますので、私よりも当社サービスにお詳しい方々ですが、今後も全社的にご活用いただけるよう、支援させていただきます。
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7つの施策に支えられた、三菱自動車工業の次世代リーダー育成プログラム。
三菱自動車工業では、キーポストのサクセッションプランを作成し、パフォーマンスとポテンシャルの両軸により人材を発掘、評価し、動機づけや研修などの次世代リーダー育成プログラムを実施しています。その全容をご紹介します。
※本取材は2021年3月に行いました。ご担当者の役職およびインタビュー内容は取材時のものです。
(1)自動車及びその構成部品、交換部品並びに付属品の開発、設計、製造、組立、売買、輸出入その他の取引業。
(2) 産業用エンジン等及びその構成部品、交換部品並びに付属品の開発、設計、製造、組立、売買、輸出入その他の取引業。
(3)中古自動車及びその構成部品並びに交換部品及び付属品の売買。
(4)計量器等の販売。
(5)損害保険及び自動車損害賠償保障法に基づく保険の代理業。
(6)金融業。
(7)前各号に付帯関連する事業。
自動車製造業
14,407人名〔連結 32,171名〕(2019年度末現在)
インタビューを受けていただいた方
三菱自動車工業株式会社
人事本部 人事戦略部 マネージャー(タレントマネジメント)
私は購買部門でのバイヤー業務、生産管理部門での生産計画・物流の業務を経験したあと、かねてより希望していた人事部に異動しました。工場の人事業務、本社での新卒採用のマネージャー業務を経て、現在は人事戦略部に在籍し、タレントマネジメント領域を担当しています。
タレントマネジメントが導入された当時、複数の課題がありました。一つ目は、将来の経営を担うリーダー人材の不足感。経営的に堅調でなかった時期もあり、やや受け身の判断をするリーダー層のスタンスが強くなっていました。二つ目が、優秀人材の囲い込み。人員管理を徹底する中で、各部門はパフォーマンスの高い優秀人材ほど抱え込む傾向にあり、育成が停滞する傾向がありました。三つ目は、人材育成における透明性の欠如。客観的なファクトに基づく人選ではなく、特定の上長が主観的にリーダーを選ぶような形で人材育成がされていました。四つ目が、中長期視点の欠如。短期的に成果を出せる人材をリーダーとして選出しており、リーダーとなってからの活躍ポテンシャルが加味されていませんでした。
これらの課題を背景に、2016年にはルノー・日産アライアンスに加入し、三菱自動車もアライアンスのタレントマネジメントに参画することになりました。アライアンスのパッケージでタレントマネジメントを導入できたこともあり、比較的短期間でスムーズな導入を果たしました。
ここからは、タレントマネジメントの具体的な導入施策を紹介します。
これらの施策の導入後、浮き彫りになった課題があります。まず、人材育成のための理想的なキャリアパスが実現しないことがありました。この点について掘り下げると、根本的にリーダーが育つ土壌ができていないという問題に行きつきます。優秀人材の抱え込みという課題もありますが、より日常のレベルまで踏み込むと、「(自身の)志は何か?」を社員に考えてもらう研修機会や、上司による日々の問いかけ、寄り添いも不足していたのではないかと思います。こうした環境が備わらないと、人材パイプラインが充実せず、リーダー育成が頭打ちになってしまうことが予想されます。
キャリアパスの実現のためには、上司と部下が相互に協力して高め合う環境を作り上げ、また各部門間でも人材の情報を共有し、現場での育成配置につなげてもらうなど、実態との乖離を埋めていく工夫が必要だと感じています。
今後は、一番下のジュニア世代から、全社でDevelopment Cultureを作ることがポイントだと考えています。まず新入社員~3年目あたりまでオンボーディングを行い、社会人の土台を作る。次のステップでは、事業部門においていずれかの専門性を身に付けることを目指し、高いパフォーマンスを発揮してもらう。その中から一部をマネジメント層に育て、さらに情熱を形成し高めたうえでビジネスリーダーを作り上げる、という育成の流れをイメージしています。
今後の展望としては、人材育成の道筋として部門のキャリアパスを充実させるべく、自動車メーカー特有のバリューチェーンを活かし、関係性の強い部門間での異動を仕組み化し、期限付きの異動やローテーションを整備することで、人材育成に寄与できればと考えています。他部署で人間関係を構築できる効果もあり、ストレッチアサインメントにも繋がりやすくなるはずです。また、管理職になってからのジョブローテーションは、組織のパフォーマンスを一時的に落としてしまうリスクもあるので、キャリア早期での育成目的異動を計画的に実施しておくことが組織開発面でも有効です。
その他にも、キャリア開発のPDCAを回す施策として、上司が部下を育てるためのスキル、例えばキャリア研修や1on1研修などを提供したいです。また、部門とのタレントレビューの機会をつくり、各部門にも人材の情報を共有することで、ストレッチアサインメント、ジョブローテーション等、部門の中での人材育成につなげていくことを考えています。
これから変革期を迎える自動車メーカーの中で、社会課題の解決に向けて新しい価値を提供できるリーダーの育成に貢献したいです。部門が10年先を見てビジネスを考えているなら、人事はさらにその先の20年先を見て人材育成のアシストをする必要があり、その点が人事の付加価値であり存在価値だと思いますので、そういう人事になりたいです。
担当コンサルタント
日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルティング2課 課長
多くの企業が次世代リーダー育成の重要性を認識していますが、それを仕組み化している企業は多くありません。三菱自動車工業はアライアンスのパッケージがあったとはいえ、異例の早さでタレントマネジメントを導入しました。私は三菱自動車工業にタレントマネジメント部が発足した2017年から本件の導入支援を担当させていただきました。この経験での学びは「まず始めてみることの大切さ」です。自社用に調整しながら速やかに導入し、今もなお改善を繰り返しています。
現在は、人材のポテンシャルを測定するアセスメントと、アセスメント結果をフィードバックするキャリアコーチのトレーニングをご提供しておりますが、これからは有吉さんのおっしゃる20年先を見据えたタレントマネジメントに貢献できるよう取り組んでまいります。
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マツダのグローバルリーダーを育成するタレントマネジメントの取り組み。
グローバルリーダー育成に力を入れるマツダ。グローバルリーダーを早期発見・早期育成するタレントパイプラインの仕組みづくりとグローバルリーダーシップ研修の取り組みをご紹介します。
※本取材は2020年11月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。
乗用車・トラックの製造、販売など
製造業
単体 23,203名 (男性: 20,947名 女性: 2,256名)
連結 50,479名
※2020年3月31日時点
インタビューを受けていただいた方
マツダ株式会社
人事本部 人材開発部 組織開発グループ
2014年当時、マツダグループのとある海外販売会社の社長ポジションが急に空き、後継者をすぐに探さなくてはいけないという出来事がありました。その販売会社では基本的に現地の社員が社長になっていましたので、すぐに現地の候補者たちと面談を行いました。しかし、面談の結果、すぐに社長になれるほど育っていないことがわかり、そこの販売会社外で後継者を探すことになりました。しかし、マツダグループの他拠点で、探そうとしたものの、どこに、どのような優秀人材がいるのかみえず、大変苦労しました。この出来事から、二つの問題点が浮き彫りになりました。一つは、海外拠点の社長候補が育っていないという問題、二つ目が、グローバルリーダー候補がグローバルにシェアされていない、また各拠点ごとの育成、活用にとどまっているという点です。
グローバルベースでリーダー候補者を早期に発掘・育成すべき、という課題意識に対して、優秀人材の見える化と計画的育成の仕組みづくりに取り組みました。まず、2014年にGLDC<Global Leadership Development Committee>、日本語ではグローバルリーダー育成委員会が立ち上がりました。続く2015年にはGLDP<Global Leadership Development Program>、グローバルリーダー研修がスタートしました。
委員会のゴールは、重要なポジションの候補者が常に充足され、ベストな人材をアサインできる、そういった環境の実現です。これによってリーダーシップパイプラインが連綿と続く状態にするということをゴールに置いています。
過去にも、グローバルの人材育成を目的とした会議体もありましたが、ポジションマネジメント型でした。ポジションにフォーカスするため、若手人材の早期選抜育成には、限界がありました。このGLDCでは、個人にフォーカスすることで、早期の優秀人材の選抜・育成を活性化しようとしたわけです。リストも人ベースになっており、委員会で共有している約60名のタレントリストでは、その人のターゲットポジション、ポジションまでに必要な経験、強み・育成課題、その対応策などが記載されています。
委員会の委員は、各領域の統括役員が担っており、審議される対象は、マーケティング・販売と、経営企画、財務領域の課長部長層に限っています。もともと、海外の販売会社の社長後継が育っていないという問題意識から発足したので、海外販売会社のトップになりうる人材がいるこれら領域に限っています。開催は、半年に一回。①人材の特定。②育成計画立案、③実行とフォロー、④評価のプロセスがあります。
各領域の統括役員が育成したい人材を特定し、部門の責任で育成計画を立案します。この計画立案において我々が重要視していることはできる限り多様なストレッチ経験をさせることです。クロスファンクション(領域をまたいだ経験)、クロスリージョン(国をまたいだ経験)、最後にハイヤーポジション(経営ポジションの経験)です。経営者になると、担当する領域は広がり、国境もこえた広い視野でビジネスを捉える必要が出てきます。多様な価値観に触れる機会も増えてきます。それを若いうちに早めに経験させたいという思いがあります。立てた育成計画を実現させるために、他本部、海外へ異動させたい人材がいれば、会議の中で取り上げ、委員会のネットワークを使ったポジションマッチングを検討します。ただ、現実のところ、成立ぎりぎりまで話は進むものの、最終的にはビジネスニーズやプライベートな理由で、成立できないケースが多いのも悩みです。どうすれば、育成目的のアサインメントを次々成立させることができるのか、仕組みを今後も考えていかなくてはいけません。評価については、取り組もうとしてまだできていない課題です。
実際の異動は難しい場合もあるので、ストレッチの機会を疑似的にでも提供するべく立ち上げたのがGLDP、グローバルリーダー研修です。先ほどの3軸(クロスリージョン、クロスファンクション、ハイヤーポジション)を疑似的に体験するため、プロジェクトチームは多国籍、多領域のメンバーで構成され、経営者視点でプロジェクトワークに取り組んでもらいます。参加者は20名程度、グローバルリーダー候補で各領域の統括役員が選抜しています。もともと委員会と同様に対象領域を限定していましたが、一部対象を広げ、今後は全社に展開する予定です。
研修は、約1年間、業務を離れることなく参加してもらうプログラムになります。まずは、SHLのアセスメントから始まり、次に育成計画、集合研修、約半年間のプロジェクトワーク、スキップレベルミーティング、リベラルアーツ社外セミナーの6つの施策から構成されています。
SHLのアセスメントはオンラインで360度、能力テスト、OPQ、対面でロールプレイとインタビューを実施しています。研修開始時に各参加者に受検してもらっていますが、SHLはグローバルに展開されているので、参加者は現地の言葉で受検できます。また、グローバルで同じ物差しで定量的に結果が出てくるのでとても助かっています。このアセスメントの目的は二つ。まず一つ目は、自己認識を向上させるということ。二つ目に、マツダのリーダーに求められるリーダーシップにおける育成課題や強みの明確化です。結果は、マツダのグローバル経営リーダー要件に合わせて出るようカスタマイズをしていただいています。アセスメントの結果は、参加者本人だけでなく、上司もアセッサーから直接フィードバックをもらっています。事務局からは、各部門で活用してください、とお任せしたのですが、事後調査をしたところ、日々の業務に追われ、うまく活用しきれていない人がいるということがわかりました。せっかくの貴重なデータを活用しきれていないのはもったいない、ということで、2019年度から追加で個別育成計画という施策を導入しました。
個別育成計画は2019年度から始まり、今力を入れて取り組んでいます。アセスメントの結果から見えてきた育成課題もしくは強みに対し、アクションプランを立ててOJTを通して1年間実行していきます。直属の上司だけでなく、経営者である本部長からフィードバックをもらい、アクションプランを立てています。経営者視点からのフィードバックをもらうことで、参加者の育成の質をさらに高められているのではと思います。また、この過程で、本部長や人事側もリーダー候補者を深く知ることができました。
集合研修は、海外メンバーも集めて、本社で約一週間実施します。外部講師による座学、マツダの理解を深めるセッション、役員との対話で構成されています。2019年度には、海外拠点から参加するメンバーから拠点の紹介や、取り組み課題をプレゼンしてもらいました。別拠点でも、皆同じ悩みを持っており、課題やベストプラクティスを共有できたことが参加者にとても好評でした。来年度は全領域から参加者がいる予定なのでお互いに学びあいながら視野を広げるチャンスを作りたいと思っています。マツダウェイにある「共育」=互いに教えあい、成長しあう取り組みがこの研修の根幹にあります。仲間同士でともに育てあえるようにと、メンバー同士のアセスメント結果共有も行っております。また、研修の最後には、自身が思う各チームメンバーの強みや育成課題をそのメンバーに伝える、という取り組みもしています。半年間一緒に頑張ってきた仲間からのフィードバックは、心に残るものがあるのではないでしょうか。
スキップレベルミーティングは、参加者と役員の一対一の面談です。目的は、参加者の視座向上、視野拡大と、役員と参加者のネットワーク構築です。フリートーク形式で、参加者が話したい内容を考えて面談を行いますが、毎年のアンケート調査では、参加者にとって一番好評な施策の一つです。一方で、参加者によって内容のレベルにばらつきがあり、期待するような成長につながっているか不明という役員からのフィードバックもありました。そこで個別育成計画の内容について面談の中でふれてもらうなど、一部ガイドを付けました。
この研修プログラムは、私自身にとってもやりがいがあります。役員とのやり取りを通して、高い視点に触れることができ、参加者を通して、多領域や海外拠点のことも知って、ネットワークを構築できます。将来の会社を背負うマネジメントの方の成長機会に、微力ながら携われることにやりがいを感じながら、これからもプログラムを進化させるとともに、私自身も成長していきたいと思います。
現在、参加者選抜を役員、各部門、各海外拠点に委ねているため、全社で一貫した基準はなく、主観的評価によるいわば一本釣り選抜のような状態です。今後はリーダー要件の活用や選抜目的でのアセスメント導入などを検討していきたいと思います。また、選抜で英語がネックになっている点も課題です。特に、開発・製造領域では、優秀人材であるにもかかわらず、英語ができないため研修に選抜されないこともあります。早くに海外赴任を経験させるなど、若いうちからの英語力向上に取り組む必要があります。動機づけにも課題があり、選抜研修がゆえに、上司に言われてきましたというやらされ感のまま参加する人もいました。モチベーションは研修の成果に大きく影響します。対応策として、2019年度はプログラムの開始時に三者面談、上司、本人、人事で、個別に説明会を実施して、上司への期待、本人への動機づけを行いました。その甲斐あってか、前年の参加者よりもモチベーション高く参加している人が多い印象でしたので、今後もそれを続けていこうと思っています。まだまだ課題も多い状態ですが、毎年改善しながらプログラムを作って行きたいと思います。
担当コンサルタント
日本エス・エイチ・エル株式会社 大阪オフィス 部長
次世代リーダーの育成は、今や多くの企業で取り組まれている重要テーマですが、誰を選抜しどのように育成するかは各社とも試行錯誤の連続です。マツダグローバルリーダー研修(GLDP)において、当社は2015年からグローバル体制で側面的支援をさせていただいております。2020年現在は、新たにリーダー要件の見直しに着手されるなど、更なるブラッシュアップも検討されています。ご担当の竹下さんは海外でのご経験も長く、グローバルとローカルの絶妙なバランスをお持ちの方と、常々感じております。人材選抜、育成については、日本と海外ではその捉え方の違いもある中、常に全体最適を目指して、改善を重ねていらっしゃいます。今後も、候補者の選抜・測定はもちろん、育成プログラム終了後の効果検証など、あらゆるシーンで、SHLグループの知見と各種アセスメントでマツダの人事・経営戦略のお役に立てるよう努めてまいります。
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効果的なミドルマネジメント教育を行うために、全管理職にアセスメントを実施した、菅公学生服の取り組みを紹介します。
※本取材は2020年9月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。
スクールウェア、スポーツウェアなど各種衣料の製造販売
繊維製品製造業
2,810名(グループ全体/2020年7月末時点)
インタビューを受けていただいた方
菅公学生服株式会社
管理本部副本部長
現在、私は管理本部副本部長という役割を担っています。管理本部には、人事と財務と総務、3つの機能があり、日々の業務遂行上の判断をする立場にあります。また人事部部長と、採用と教育を担当している人材開発課の課長を兼務しています。人事に来るまでは、新卒でこの会社に入ってから、ずっと営業畑を歩んできました。
最初に人事部部長として着任した際、まずは採用と教育と配置という3つを強化したいと思いました。最初の大きな仕事は採用でした。その中で、日本エス・エイチ・エルのGABを使って面接をしたり、受検者の傾向を分析したりすることを半年くらい行った結果、「GABって素晴らしいな」と思いました。受検者の「見える化」というのでしょうか、自分の中で人物像の仮説を立てて面接の準備ができるし、この事前情報と実際にお会いしたときの印象が合っていることが多いなと、体感できたんです。
同時に、教育についても見直しを始めました。今までの当社の人事の年間予算は、採用の予算がとびぬけて多い。教育の予算は、採用の半分程度でした。このバランスはおかしいんじゃないか、逆じゃないかと。これを転換するくらいの気持ちで、今後は教育に力を入れたいとメンバーに話していったんですね。その時点で、去年行った研修と、今期すでに計画済みのプログラムがありました。改めて、一緒に働いているメンバーに、「この研修はどういう目的で、どういう人に行うの?」「この目的と、どうつながるの?」と確認してみたところ、今までやっていたので、巷で流行っているので・・・というあいまいな部分があり、私たちの部署も、研修の目的を考え切れておらず、準備するだけで満足していたところがあったとわかりました。
そこで、採用で使っていたGABの社内活用を経営会議で提案しました。効果的な社員教育、配置ならびに採用を行うためには、社員の特性を理解することが必須であると打ち出しました。まずは、ミドルマネジメント層に対する社内研修をしっかり行いたいので、管理職にGABを受けさせてほしいと提案しました。私は、陰でコソコソ動く人事になってはいけない、オープンに社員をバックアップする人事であるべき、と思っています。私たち人事がなぜこの研修を企画したのか、そのプロセスを共有するために、プロセスの見える化を図りたいと思いました。アセスメントを使って社員の特徴を把握すると、強みや弱みが定量的に把握でき、それをもとになぜこの研修をするのか説明ができます。また今の時代、配置に関しても、経営陣が鉛筆をなめて決めているだけでは、転勤だと言われても誰も納得できません。一つ一つの配置に経営陣の思いがあるなら、その思いを社員に共有しないといけませんし、あなたのこの能力を高く評価している、こんな仕事をしてほしいとしっかりと伝えることができなければ、転勤先で期待する成果を求めることなんてできません。本人のキャリアを踏まえた適材配置を実現する意味でも、アセスメントは必須でした。
管理職を対象にした理由は、ミドルマネジメントを鍛えないことには会社は伸びないなという個人的な思いからでした。しかし、管理職に受検してもらうのは思った以上にハードルが高かった。最初は何人か受けてくださらなかったのも事実です。でも、営業時代から業務で多くの人とつながりがありましたので、一人ひとりに連絡して、「お前の最初の仕事なら、しゃあないから付き合おうか」と言っていただき、一人残らず全員に受けてもらいました。時間はかかりましたが、目的と、会社がこの先180年、190年、200年と続いていくためには必要なんですと話をしました。
全管理職が受検した後、日本エス・エイチ・エルのコンサルタントが、菅公学生服単体のGABの傾向値と、他の企業群の平均値との比較をしてくれて、会社全体の強みや弱みを分析してくれました。また、私たちのこれからの営業に必要なところ、モノづくりの管理職に必要なところ、といった判断軸で結果を解釈してくれて参考になりました。まずは自社の管理職の傾向を数値化できたこと、自分たちのポジションがわかったことが大きな収穫ですね。印象に残っているのは、当社の管理職の特徴として「目の前でケガをしている人がいたら、いろいろ手を尽くして治そうとする。でも、この人ケガしそうだなと、先のことを見通すことができない」と言われたことです。そういう自社の弱い部分を知ることができたのも大きいです。
また、特に重要視したのは、受験者本人へのフィードバックです。GABの結果は、本人にフィードバックして、全体の傾向値もオープンにしました。全体の傾向、他社との比較、営業の傾向、その中であなたはこう、とブレイクダウンしました。また、担当コンサルタントに相談して、GABの結果をもとに自分の性格分析と強みと弱みの把握をするための、「自己分析シート」を作ってもらい、受検者全員に記入してもらいました。そのあとに集合研修を企画し、問題解決、論理的思考、人間関係の研修と大きく3種類用意しました。それはGABの結果をふまえて、「ここの数字がいくつ以下の方は今年かならず参加してください、それはこういう理由です」と打ち出しました。参加率もかなり高かったですね。
当社のマネジメントには、自分自身の強みも弱みも把握した上で、自分らしいリーダーシップ像を描いてほしい。研修はそのための機会や知識提供の場だと考えています。だからこそ、GABの本人フィードバックをし、自己認識をしてもらう。そして、現状に応じた研修を準備し、納得した上で参加してもらうことにしました。
配置に関しても、経営の皆さんに対して、ぜひこのポストにこの人材を登用してもらいたいと提案したり、良いことも悪いこともストレートに情報共有してゆく中で、少しずつ配置への意見を求められることが増えてきました。わずかながら、人事として経営と社員をつなぐ役割に一歩が踏み出せたと思っています。
今後、マネジメント層がどのように変わるべきかというと、自分の中でひとつだけ確固たるものがあります。今会社は、変化を恐れずチャレンジしなさい、勇気をもって挑戦しましょうと言っていますが、挑戦に失敗はつきものです。前例のない新しいことが挑戦だからです。失敗を気にしていたら何もできない。経営層が挑戦しろと言っても、現場レベルでは「コストは?時間は?成果は?」と挑戦を承認する前にダメ出しや叱責をすることが多い。これでは次から挑戦できない。心理的安全性がないのに、挑戦しなさいと言っても続きません。会社として一気通貫で、経営層も、新入社員も、若手も、相互に立場や主張を理解して、相互に応援でき、皆が自分らしく働ける会社にしたいです。まずは心理的安全からはじめます。ミドルマネジメントは怒らない。チャレンジした部下を失敗しても褒め、認める。そして、次からはこうしようという肯定的なフィードバックをする。ミドルマネジメントが変わらないと職場は変わりません。それくらい影響力があるんだよと、ミドルマネジメントに伝えています。
日本エス・エイチ・エルのコンサルタントは、頼りがいがありますね。わからないことはなんでも相談しようと人事みんなで言っています。数年以内に全社員にGABを実施するよう進めています。採用で利用するだけでなく、異動したら受けるとか、キャリアを考える様々な場面で利用していきます。他者から見た評価と併せて、自分では見えていない部分に気づくという、相互理解につながるツールだと思っています。
担当コンサルタント
日本エス・エイチ・エル株式会社 取締役
タレントマネジメントという言葉が注目される中、客観的な指標として適性テストの活用を検討される企業様は増えています。しかし、関心はあれど実施や具体的な活用まで至っていないという企業様も多く、これは当社の力不足もありますが、大きくは①目的が何かが不明確であること②社内の合意がとりにくいことが課題となっているように感じます。菅公学生服様は、冷静な現状把握と、経営と社員を想う熱いお気持ちによってこの2つの課題をクリアされ従来の管理職教育から変革されています。
日頃より、真鍋様が人事メンバーの方々や私達に対して、常に優しく接して頂く姿が想い出されます。当社からは現状の可視化や、人事施策の方向性についてご提案いたしましたが、お取り組みが実を結んだのは、突然の施策に戸惑う社員の方に対し、真鍋様始め人事メンバーの方々に尽力いただいた結果です。今後もディスカッションを重ねながら、現状の可視化及び人事経営戦略にお役立ていただけるよう、微力ながら尽力してまいります。
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ヒット作を支えるクリエイター集団がモノづくりに集中できる環境づくり。
人事評価制度改革とリーダーシップ開発の取り組みについてご紹介します。
※本取材は2022年10月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。
モバイル向けゲームアプリの開発・運営
情報通信業
250名(2022年3月末現在)
インタビューを受けていただいた方
Happy Elements株式会社
執行役員 人事グループ 人事グループリーダー
私は大学卒業後、三洋電機で海外営業を1年半経験し、日本エス・エイチ・エルへ転職しました。HRコンサルタントとして企業の人事の方々にソリューションの提案を4年半ほど行っていたのですが、この時の経験は人事としての自分の原体験となっています。特に、パーソナリティ検査OPQの30項目のパーソナリティ因子を知ったことが私の人の見方に大きな影響を与えています。私は、人を典型的なタイプに分けてとらえるタイプ論より、人は色々な要素の組み合わせでできているという因子論の考え方が好きです。人事として仕事をする際に、色々な人がいて良い、様々な環境においてその人の持っている要素がどういう表れ方をするかという見方をするようになりました。個々人の背景を大事にしなくてはと思うのは、日本エス・エイチ・エルで働いたからだと思っています。
その後、株式会社ポケモン、株式会社あきんどスシローで人事部長を務め、2020年1月にHappy Elements株式会社に入社しました。
当社は2010年の創業以来、クリエイターがのびのびと仕事ができるようミドルマネジメントを置かずに組織を運営、アルバイトから登用した若手社員の発案から「あんさんぶるスターズ!」などのヒット作が生み出されました。ヒットタイトル創出に伴って、多くのコンテンツ制作、厳密な品質管理、新技術への対応等が求められるようになるとともに社員数が一気に増え、ミドルマネジメントの必要性が高まっていました。この課題を解決するべく2017年に外部のコンサルティング会社に依頼して人事評価制度を作りましたが、なかなかうまく機能しませんでした。当社は、純粋に絵を描きたい、モノづくりがしたいというクリエイターの集団です。この評価制度を経験した多くの社員は「あんな面倒くさいことをやらないといけないリーダーやサブリーダーにはなりたくない」と思い、それまで以上にマネジメントから距離をとるようになりました。そこで、私が人事評価制度の再構築をすることになりました。
ミドルマネジメントを外部採用してもなかなかうまくいきません。クリエイターである社員が「この人の指示なら聞いてもいい」となる人は、そのカテゴリーで一番技量のある人です。しかし、技量のある人にマネジメントの役割を担ってもらうと、彼らはモノづくりに集中できなくなり、モチベーションを下げてしまいます。そのため、クリエイターの中からマネジメントに興味がある人を見つけることにしました。一番技量のある人でなくとも、一定の技術があり面倒みの良い人、OPQで言う「面倒み」が高い人は必ずいます。
次のステップでは、このマネジメント候補者に経験を積ませます。いきなり、大きなタイトルのマネジメントは難しいので、自分たちの発案した企画をマネジメントするサブプロジェクト制度を会社として準備しました。この制度は新タイトルの開発と社員のリーダーシップ開発の両方を企図しています。サブプロジェクトは比較的細かく目標を設定、会社からのサポートも入れながら、段階的にマネジメント経験を積む道筋を作っています。
私が入社して最初に行ったことは、全従業員に対するインタビューです。約2か月間かかりました。インタビューの後、どうしたらゲーム会社の人に人事評価制度が身近に感じてもらえるかを考え続け、人事評価制度にゲーム的な要素を盛り込めばいいと閃きました。
能力評価については、技術、ベース、マネジメントの3つに分けました。ゲームでいうところのパラメーターです。当社の中心は技術であり、技術のウェイトが高くなることが評価の基本です。ベースは、時間を守る、嘘つかないという最低限のマナー。マネジメントは、ヒトのマネジメントだけでなくコトのマネジメントも含みます。チーム管理、メンバー管理、工数管理、品質管理の4項目に分け、正社員以上はマネジメントを必須としました。4つのうちどれをやるかは人によって変わり、メンバー管理はないが、工数や品質管理はあるという人もいます。
この3つのパラメーターの比率を上司と部下で決めることにしました。人事はステージ(等級)ごとの各パラメーターの最低と最高の割合だけ決めます。あとは上司と部下が話し合って3パラメーターの合計が100になるよう割合を決めます。例えば、正社員以外はまずは技術を磨いてほしいので、ベース30、技術70、マネジメント0といった感じです。現場で社員の評価項目とその重みを調整できるようにしました。私はこれまで様々な組織で人事評価制度を作ってきましたが、どうしたら制度の機動性を上げられるかと考え続けてきました。このチューニングができる評価制度は私の発明だと思っています。
次に、人事評価制度を一般的な縦型ではなく横スクロールのアクションゲームにしようと考えました。具体的には、ステージ(等級)に、5-1や5-2というようなサブステージを作りました。ステージ5から6とか、3から4へ移るときには、ゲームであれば中ボスが出てきますよね。中ボスとして昇格審査があります。職群毎にいるチーフが技術を確認し、人事がマネジメントを確認し、社長が会社全体の考え方・価値観とのマッチングを見ていきます。
マネジメントにそれほど興味がない人達にも機会を作りたかったので、ステージ周回ができるようにしました。ゲームのようにステージの初回クリアボーナスだけでなく周回ボーナスも用意しました。例えば4-5の2回目や3回目でも初回クリアほどではないですが昇給があります。以前の制度は、基本的にステージ4から5へ上がらないと昇給しないので、「上にあがれ」というメッセージが強く出ており、当社のカルチャーにあまり馴染みませんでした。他にもゲームならワープができる土管があるように、階段飛ばしもできるようにしています。ゲームデザイナー職種の社員が「ゲームデザインできていますよ!発明ですよ!」と喜んでくれています。
これらの取り組みを通して、社員に「マネジメントもそれほど悪くない」と感じてもらえるといいなと思っています。自分が表現したいものがある人、ユーザーさんに喜んでもらうために制作をしたいと思う人の集まりですが、人が育つのをみて、こういう喜びもあるなと思ってほしいですね。
日本エス・エイチ・エルのアセスメントは5年以上前から利用しており、採用選考と社員の傾向把握に使っています。全体傾向、職種別傾向、退職者傾向を分析しました。採用では面接の参考資料として使っています。社長はデータ好きなのでアセスメント結果をよく見ています。
今後はマネジメントポテンシャルの高いクリエイターを見出すための情報として、キャリアに関する対話の材料として、アセスメント活用の可能性を検討していきたいと考えています。
日本エス・エイチ・エルの持っている多様な人材を生かすためのノウハウは、中小企業にこそ必要なものだと思います。自分たちが大切にしていることをうまく表現できない会社に対して、彼らのいい部分を消さないように関わってくれると思いますので。
担当コンサルタント
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員
内藤さんとは約4年間、同じチームで仕事をしました。当社へは未経験者で入社したので、ゼロから人事業務、アセスメント、コンサルテーションを学んでもらいました。凄まじい吸収力ですぐにコンサルタントとして戦力となり、大阪オフィスの立ち上げに貢献してくれました。その後、当社子会社の社長に抜擢、退職後は複数社で人事を経験し、人事のプロとして活躍されています。
本インタビューは、急成長するゲーム業界のタレントマネジメントについて話をして欲しいとお願いしたところご快諾いただき、行うこととなりました。ここまでの人事評価制度設計に当社アセスメントは直接関わっておりませんが、今後の運用に関してはアセスメントの活用が検討されています。内藤さんの目指す組織人事改革に向けてお力になりたいと思っています。
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複合機ビジネスからの転換期を迎えた富士ゼロックス。現状の営業力の特徴と問題点の洗い出しのために、約5000名の営業社員の可視化に挑戦しました。この取り組みは、社内にどんな変化をもたらしたのでしょうか。
※本取材は2020年6月に実施しました。インタビュー内容は取材時のものです。
精密機器、コンピュータ・通信機器、ソフトウエア、印刷・印刷関連
製造業
39,825名(2020年3月 連結)
インタビューを受けていただいた方
富士ゼロックス株式会社
販売戦略推進部 営業・SE力強化センター センター長
2012年から営業部門の人材育成を担当することになり、新人の導入教育からマネジャーの強化、新任部門長の強化と幅広く取り組んでいました。
当時、技術系出身の社長が就任して「営業がまったく科学的じゃない。行きたいお客さんにしか行かないし、情報ツールも脆弱。竹やりで戦わせているようなものだ。」と指摘されました。「まず、今の戦力がどのように分布しているか、問題点は何なのか示せ。」とも。技術系なら特許件数などデータを出せますが、営業は当時5000人くらい在籍しており、実績以外の情報は整理されておらず、どんな行動しているかはわかりませんでした。
そこで戦力を可視化すべく、パーソナリティ検査を使って行動指標をとっていこうというのが、このプロジェクトを始めたきっかけでした。
もともと採用で日本エス・エイチ・エルの適性テストを使っており、新入社員のテスト結果データを採用チームからもらっていました。配属時には上司に新人のデータを渡して、一人ひとりの行動傾向とどんな指導やコミュニケーションが向いているかについて説明していました。あのデータが、まさに社長が言う可視化に繋がるんじゃないかとひらめいたんです。 当時、担当のコンサルタントが人事・人材開発担当の社員に対して適性テスト(パーソナリティ検査OPQ)の読み方講座を開いてくれて、営業のトレーナーも参加していたので、OPQのデータをどう読んで、どのように能力開発(新卒に対する個別の対応)に活かすかはイメージできていました。その経験から今回もOPQが使えるんじゃないかと思いました。
日本エス・エイチ・エルの良かったところは、パーソナリティ検査OPQの汎用性が高かったところ。あと、他社ではコンサルタントに相談する度、料金が発生したりするんですが、日本エス・エイチ・エルのコンサルタントは常に自分たちの目線で相談に乗ってくれたところも。自分たちで作成した営業人材タイプの実用性を確認するため、自分で社員のOPQデータを分析したら、各タイプの違いがはっきりと出たんですね。そのときに「このタイプはこんな違いが出たが、違いとして扱っていいか?」「このデータは、どう見たらいいのか?」といった質問をしたのですが、すぐにわかりやすく答えてくれました。あとは、日本エス・エイチ・エルはもともとイギリスの会社なのに、あらゆるアセスメントやコンサルテーションで使われる言葉が私たち日本人にとって自然でわかりやすいものでした。
まず、全営業職5000人にOPQを受検してもらいました。その後、OPQの結果を含む「自己認識シート」を開発し、そのシートを部下にフィードバックをする際のやり方を学ぶために上司用の動画を作成しました。フィードバックの良い例と悪い例を入れて、「お前、なんで売れねえんだよ」と頭ごなしに言ったり、OPQを占いのように予言したりするのはダメだと伝えました。コンテンツ制作では日本エス・エイチ・エルにデータの見方を教えてもらいました。ほめればほめるほど動くタイプや具体的な見返りを示さないと動かないタイプとか、得点が高ければいいというわけではない尺度項目とか。そうした助言を参考にしながら、現場へのメッセージをまとめていきました。
現場への通知の仕方は、まず役員から部門長に目的と内容を周知してもらい、我々からはマネジャーに「みなさんの部下に自己認識シートを渡しているのでみなさんからフィードバックしてください」とガイダンスとともに連絡しました。
OPQの浸透をはかるため各拠点に赴いて、評価会議で私たちがOPQを活用したファシリテーションを行いました。会議で「○○君の情報について直属のAグループ長がこう指摘しているが、Bグループ長はどう見ていますか?」と投げかけると、Aグループ長が気付いていない強みや弱みをBグループ長が指摘したり、「せっかくだから、うちのグループの△△君と同行させようか」といった発言が出たりしました。OPQは各社員の行動の特徴を正確に言い当てているという声は多く、「自発的なタイプなので、目標を与えたら計画は自ら考えさせてください」とか、「指示する際には必ず前提となる目的を説明してください」といったコミュニケーションでの注意点は、素直に聞いてもらえました。
OPQが便利な点は、個人の行動特徴がきちんと数値化されていることと、本人の回答だから結果を本人が受け入れやすいこと。最近はグループ長より年上の部下も多くなっていて、実績が出ない年上の部下へのフィードバックは難しい。実績から離れて、行動特性や強み、弱みについて話すことでフィードバックのきっかけがつかめたという声が多かったです。 その他、部門長と支店内の優秀人材とそうでない人材の違いを、OPQデータをもとに話し合いました。どんな特徴に違いがあるか、どう対応すれば各人を優秀なセグメントにもっていけるかについて話し合いました。
人材の見える化はかなり進みました。営業部門全体で高業績者がどこにいるかわかりますし、例えば「セキュリティ案件に強いメンバーを集めろ。」と言われたら、すぐ適任者をリスト化できるようになっています。 またマネジャーの意識が変わったこともこのプロジェクトの成果です。部下のOPQデータを見ることで、個性にあわせた育成ができるようになったことは大きな成果です。
「自己認識シート」はマネジャーと部下が話し合うきっかけにすぎないのかもしれませんが、それだけでも役割を果たしていると思ってます。話し合いができているチームは評価への納得度が上がり、マネジメントのやり方の変化を少しずつですが実感しています。
今後はビジネスインテリジェンスツール(BIツール)を入れて、現場社員が自ら強みや弱みを踏まえた営業スタイルを考え、実行に移せるようにしたいと思っています。今の「自己認識シート」はこちらがデータを作って提供しているので、現場は決まったデータを見るだけしかできません。自らデータを扱うことで、自らやる気を起こし目標達成に繋がるようにしていきたいです。
今後も日本エス・エイチ・エルには、人材のデータに関する新しい知見やパフォーマンスを改善するために効果的なデータ活用法などの情報提供を期待しています。
担当コンサルタント
日本エス・エイチ・エル株式会社 取締役
石濱さんからお話をいただいた時、営業プロセスとパーソナリティを結びつけることが営業活動の無駄を減らしていくだろうと直感しました。また、過去の経験から営業成績や営業のKPI、営業スタイルとOPQとの相関分析は、はっきりとした傾向がみられると確信していましたので、この取り組みは効果的なタレントマネジメント施策になると思っていました。
営業のパフォーマンスマネジメントにおいて社員のパーソナリティや営業スタイルを把握することは何よりも大切ですが、実際にOPQを活用している会社はまだ多くありません。何としても富士ゼロックスには成功していただき、その成功モデルを一緒に世の中に広めることができたらと考えておりました。
石濱さんの構想力とオーガナイズ能力のおかげで円滑にプロジェクトを進めることができました。心から御礼申し上げます。
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