将来は自分の考え次第?

キャリア(career)の語源は「轍」だと言われています。轍は過去から現在までの足跡を示します。将来は見えません。では将来はどこに存在しているのでしょうか。
将来は、それぞれの思考の中に存在しています。つまり、将来は自分の考え次第ということです。しかし、今日に至るまでに様々な選択を繰り返している私たちにとって、現実には、将来のためにとれる選択肢は限られたものであると思うかもしれません。

将来は自分の考え次第?

「諦」とは

「諦」という字には「あきらめる」という意味に加えて「あきらかにする」という意味もあります。 キャリアを考えるとき、この「あきらかにする」ことが重要な役割を果たします。キャリアについて考えるためには、まずその材料(仕事であれば自分を取り巻く環境や経歴、自分自身の強み・弱みなど)を明らかにしていく必要があるからです。明らかにするという意味で「諦」という言葉を意識してみると、現状や将来への道筋について新たな気付きを得られることでしょう。

自分自身を明らかにするには

経歴や資格などは過去の経験や事実に紐づいているため、比較的簡単に棚卸できます。しかし、自分の強みと弱みの棚卸しはそう簡単にはいきません。客観的な自己評価が難しいからです。こんな時はパーソナリティ検査OPQを活用してみてください。 OPQのレポート「万華鏡30」に掲載されているマネジメントコンピテンシーPMCは、受検者の職務遂行能力を網羅的に整理した36項目からなるコンピテンシーモデルです。各コンピテンシーの発揮可能性が5段階で表示されます。 このPMCを使えば簡単に自分の強みと弱みを明らかにできます。以下の手順で行います。

    強みを明らかにする

  1. PMC36項目のなかで高得点(4点、5点)の項目に注目し、その中から自分の強みだと思うものを3つ挙げる。
  2. 挙げたコンピテンシーについて、具体的にそれが強みとして発揮された仕事場面を書き出す。
  3. ②の場面について、うまくコンピテンシーが発揮できた要因(環境や精神状態など)を分析する。

    弱みを明らかにする

  1. PMC36項目のなかで低得点(1点、2点)の項目に注目し、その中から自分の弱みだと思うものを3つ挙げる。
  2. 挙げたコンピテンシーについて、具体的にそれが不都合に繋がった仕事場面を書き出す。
  3. ②の場面について、不都合に繋がった要因(環境や精神状態など)を分析する。

自分自身を明らかにするには

「諦」は現実に適応していくための手段

ここまで「諦」の「あきらかにする」という側面について述べてきました。次は「あきらめる」という側面についてです。
理想のキャリアを100%叶えられる人は多くはありません。多少妥協をしなければ現実のキャリアを歩めなくなってしまいます。理想と現実の乖離にどう折り合いをつけるのかが課題となるのです。こんな時「諦」がカギとなります。
理想に拘り過ぎるあまり視野が狭まり、他の選択肢を考えることができなくなると、状況が思うように進まなかった時に心身の状態が不安定になり、不調をきたす危険性があります。
自分の理想と現実の状況を把握し、自分の力ではどうにもできない乖離がそこにあるならば、理想をあきらめて現実に対応したり、現在の仕事をあきらめて進む道を変えてみたりすることが解決策となります。このように「諦」を受け入れることで狭まった視野を広げることができます。
「諦」は悪でも終わりでもありません。人生の通過点です。現実に適応していくための手段として「諦」を肯定的に捉えられたとき、先の人生を見越して自分らしいキャリアを描けるようになるでしょう。

参考文献:浦上昌則(2010). キャリア教育へのセカンド・オピニオン 北大路書房

公開型(オンデマンド)トレーニング

自己理解セミナー(万華鏡版) オンデマンド

パーソナリティ検査「万華鏡」を活用して、自己理解を深める方法を学びます。

セミナー満足度

4.2 / 5.00

star

このような方にオススメ

仕事における自分の強み・弱みを客観的に理解したい

自身の具体的な能力開発プランを考えたい

会社や自宅、移動中などに、自分のペースで学びたい

「OPQ」を利用されている方は、本セミナーではなく「自己理解セミナー(パーソナリティ30因子版) オンデマンド」をご受講ください。

セミナーのご紹介(動画)

3つの特徴

1

パーソナリティ検査「万華鏡」をもとに 客観的に自身の強み・弱みを理解できる

まずは自己理解の必要性をご理解いただき、その上で自己理解を手助けするツールである「万華鏡」の詳細を解説いたします。ご自身の「万華鏡」リポートを見ながら解釈を進めていくことで、強み・弱みを明確に理解することができます。

※「万華鏡」未受検の場合、別途受検が必要です(有料)。担当コンサルタントまでお問い合わせください。

2

能力開発のための アクションプラン作成までを支援

能力開発のプロセスをご理解いただいた上で、具体的な行動計画を立てるための方法をお伝えいたします。さらに事例や演習を踏まえて、ご自身のアクションプランの立案に取り組んでいただきます。

3

すきま時間で学習可能

講義動画は1単元あたり最大5分のため、すきま時間を有効活用できます。パソコン、タブレット、スマートフォンでの視聴に対応しており、受講期間中はいつでも、何度でも視聴が可能です。

プログラム

(受講時間の目安:80分)

1.はじめに
サンプル視聴

・動画の概要
・自己理解の重要性

2.パーソナリティ検査「万華鏡」とは
サンプル視聴

・「万華鏡」とは
・パーソナリティとは
・OPQの測定領域

3.「万華鏡」リポートの見方

・標準点と出現率
・解釈上の注意点

4.「万華鏡」リポートの構成

・「万華鏡」リポートの構成

5.リポートを活用した自己理解
サンプル視聴

・パーソナリティとコンピテンシーの関係
・自己理解と能力開発のプロセス

6.個人演習

・自己理解ワーク

7.自己理解を進める際のポイント

・ポイント
・最後に

セミナー概要

主催

日本エス・エイチ・エル株式会社

対象者

パーソナリティ検査「万華鏡」を受検済みの方(同業者、学校法人、個人の方はお申込できません)

受講費

受講者1名様につき5,000円(消費税等別)

※「受講人数無制限」の年間契約プランもございます。詳しくは、担当コンサルタントまでお問い合わせください。

受講期間

受講用URLメールの到着日から3週間

お申し込み方法

フォームよりお申込みください。お申し込み受付後、原則2営業日以内に受講用URLとログインID、及びログインパスワードの設定方法を記載したメールをお送りします。

※届かない場合は、事務局までお問い合わせください。

お支払い方法

受講用URL等を記載したメール送信後、当社他サービスの利用料金と併せて請求させていただきます。
※振込手数料は貴社ご負担にてお願いいたします。

動作環境

OSとブラウザ

Windows

OS

Windows 10、11

ブラウザ

Microsoft Edge(最新版)、 FireFox(最新版)、Google Chrome(最新版)

Mac

OS

MacOS High Sierra 10.13 以降

ブラウザ

Safari(最新版)

iPhone/iPad

OS

iOS 14.0 以降 / iPadOS 14.0 以降

ブラウザ

Safari(最新版)

Android

OS

Android 8.0 以降

ブラウザ

Google Chrome(最新版)

注意事項

  • ・ブラウザのJavaScript、Cookie、SSLの設定が有効である必要があります。
  • ・セキュリティソフトウェアまたは、アンチウイルスソフトウェアのセキュリティ機能によっては正しく視聴出来ない場合があります。
  • ・株式会社プロシーズが提供するeラーニングシステム「LearningWare」を使用します。

注意事項

・1つのログインIDで、同時に複数の端末で視聴することはできません。

・ログインIDやパスワードの共有、第三者への譲渡を禁止します。また、セミナーの録画・録音、転載、第三者への公開等は固くお断りいたします。

・利用可能期間中にコンテンツの受講が完結しなかった場合や、サービスの利用が無かった場合にも、利用期間の延長や返金は行いません。

お問い合わせ

日本エス・エイチ・エル株式会社 セミナー事務局
Eメール training@shl.co.jp

お問い合わせフォーム

お申し込み・お問い合わせ

今すぐお申し込みしたい方は「お申し込み」よりご連絡ください。
またご不明な点がございましたら、担当コンサルタントまたは「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

公開型(オンデマンド)トレーニング

自己理解セミナー(パーソナリティ30因子版) オンデマンド

パーソナリティ検査「OPQ」を活用して、自己理解を深める方法を学びます。

このような方にオススメ

自分の強み・弱みを客観的に理解したい

強みを活かして業務に取り組みたい

自分に合った能力開発の方法を検討したい

「万華鏡」を利用されている方は、本セミナーではなく「自己理解セミナー(万華鏡版) オンデマンド」をご受講ください。

3つの特徴

1

パーソナリティ検査「OPQ」をもとに客観的に自身の強み・弱みを理解できる

まずは自己理解の必要性をご理解いただき、その上で自己理解を手助けするツールである「OPQ」の詳細を解説します。ご自身のOPQの結果を見ながら解釈を進めていくことで、強み・弱みを明確に理解することができます。

※「OPQ」未受検の場合、別途受検が必要です(有料)。担当コンサルタントまでお問い合わせください。

2

能力開発のためのアクションプラン作成までを支援

能力開発のプロセスをご理解いただいた上で、具体的な行動計画を立てるための方法をお伝えします。さらに事例や演習を踏まえて、ご自身のアクションプランの立案に取り組んでいただきます。

3

すきま時間で学習可能

単元ごとに動画が細かく分かれているため、すきま時間を有効活用できます。パソコン、タブレット、スマートフォンでの視聴に対応しており、受講期間中はいつでも、何度でも視聴が可能です。

セミナーのご紹介(動画)

プログラム

(受講時間の目安:90分)

1.はじめに
サンプル視聴

・セミナーの概要とゴールイメージ

・自己理解の重要性

2.パーソナリティ検査「OPQ」とは
サンプル視聴

・「OPQ」とは

・パーソナリティとは

・OPQの測定領域

3.結果の見方と注意点

・標準点と出現率

・解釈上の注意点

4.OPQの因子解説

・人との関係9因子

・考え方11因子

・感情・エネルギー10因子

5.OPQを活用した自己理解と能力開発
サンプル視聴

・自己理解と能力開発のプロセス

6.個人演習

・演習の説明

・自己理解と能力開発プランの立案

7.自己理解を深める際のポイント

・ポイント

・最後に

セミナー概要

主催

日本エス・エイチ・エル株式会社

対象者

パーソナリティ検査「OPQ」を受検済みの方(同業者、学校法人、個人の方はお申込できません)

受講費

受講者1名様につき5,000円(消費税等別)

※「受講人数無制限」の年間契約プランもございます。詳しくは、担当コンサルタントまでお問い合わせください。

受講期間

受講用URLメールの到着日から3週間

お申し込み方法

フォームよりお申込みください。お申し込み受付後、原則2営業日以内に受講用URLとログインID、及びログインパスワードの設定方法を記載したメールをお送りします。

※届かない場合は、事務局までお問い合わせください。

お支払い方法

受講用URL等を記載したメール送信後、当社他サービスの利用料金と併せて請求させていただきます。
※振込手数料は貴社ご負担にてお願いいたします。

動作環境

OSとブラウザ

Windows

OS

Windows 10、11

ブラウザ

Microsoft Edge(最新版)、 FireFox(最新版)、Google Chrome(最新版)

Mac

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MacOS High Sierra 10.13 以降

ブラウザ

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OS

iOS 14.0 以降 / iPadOS 14.0 以降

ブラウザ

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Android 8.0 以降

ブラウザ

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注意事項

  • ・ブラウザのJavaScript、Cookie、SSLの設定が有効である必要があります。
  • ・セキュリティソフトウェアまたは、アンチウイルスソフトウェアのセキュリティ機能によっては正しく視聴出来ない場合があります。
  • ・株式会社プロシーズが提供するeラーニングシステム「LearningWare」を使用します。

注意事項

・1つのログインIDで、同時に複数の端末で視聴することはできません。

・ログインIDやパスワードの共有、第三者への譲渡を禁止します。また、セミナーの録画・録音、転載、第三者への公開等は固くお断りいたします。

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早期戦力化を促すオンボーディングハンドブック

テレワークなどの新しい働き方の普及に伴い、新入社員のオンボーディング(新入社員が組織になじみ、戦力化するためのサポート)に課題を抱える企業が増えています。本資料では、適性検査を活用し、新入社員の強みやつまづきやすいポイントを押さえ、効果的な配属やサポートを行う方法をご紹介します(全16ページ)。

こんな方におすすめ

新入社員の配属先決定や、相性の良い教育係のアサイン、配属先部署への申し送りのための情報がほしい。
新入社員個人の特徴をふまえた、強みや弱み、つまづきやすいポイント、有効な対応や指導の仕方を知りたい。
その他、適性検査を使った新入社員のオンボーディングに有効な施策を知りたい。

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意欲検査WebMQを用いた
モチベーションマネジメントのご提案

職務適性を予測するためにパーソナリティや知的能力を用いることは一般的になりました。しかし、成果を最大化するにはモチベーションの存在も無視できません。SHLグループではモチベーションリソース(個人を動機づける要因)の個人差を測定する意欲検査MQ(Motivation Questionnaire)を提供しており、モチベーション管理に活用することを提唱しています。詳細は、ダウンロード資料をご確認ください(全8ページ)。

こんな方におすすめ

コンピテンシーのポテンシャルだけでなく、環境とモチベーションの相性も加味したうえで、人材の適正配置を行いたい。
部下のモチベーション管理の一環で、どのようなことに動機づけられるのか、どのようなことでやる気をなくすのかを把握したい。
採用活動における学生への訴求や、新入社員のオンボーディングのために、モチベーションを上げるポイントについて把握したい。

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オフィスオートメーションからデジタルサービスの会社へと変革を続けるリコー。
なかでも新規事業創造をミッションとする組織のチーム作りに科学的な知見を活用すべく、調査研究に取り組みました。

※本取材は2023年10月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

株式会社リコー

事業内容

デジタルサービス、印刷および画像ソリューションの提供

業種

電機機器

従業員数

81,017名(連結、2023年3月31日現在)

インタビューを受けていただいた方

入佐 孝宏 様
稲井 麻貴 様

株式会社リコー
コーポレート上席執行役員 、リコーデジタルサービスビジネスユニット プレジデント、前 リコーフューチャーズビジネスユニット プレジデント (写真左)
リコーフューチャーズビジネスユニット インキュベーションセンター 事業創造室 BRグループ リーダー、HRBP長 (写真右)

インタビューの要約

デジタルサービスの会社へ変革を進めるリコーは、カンパニー制への移行に際して新規事業創造を組織的に行う「リコーフューチャーズ(RFS)」ビジネスユニットを設けた。
RFSの8つの事業は事業開発の進捗が異なり、また、リーダーのキャリア・人物タイプもそれぞれに特徴がある。組織能力を最大化する、リーダーを中心とするチーム編成への問題意識を持った。
リーダーのタイプによって組織がどのような影響を受けるかをパーソナリティ検査結果とエンゲージメントサーベイスコアを用いて調査した。
パーソナリティ検査結果は「顧客価値の創造をリードする人材・事業創造型のリーダー」としてポテンシャルの高い人材を発掘する際に役立てている。

社会課題を解決する新規事業を生み出す組織、リコーフューチャーズ

リコーは2020年にデジタルサービスの会社への変革を宣言し、2021年には経営機構をカンパニー制へ移行させるとともに、人事面ではジョブ型人事制度の導入を決定しました。現在、グループ本部と5つのビジネスユニットがあり、各ビジネスユニットが事業企画・商品企画から開発設計・生産・販売まで一気通貫した機能を担うなかで自立的にビジネスを運営しています。人事機能においてもHRBPとしてそれぞれのビジネスユニットに所属しているメンバーがいます。

リコーフューチャーズビジネスユニットは、リコーの強みである独自の技術を活用したイノベーションを通じて、新規事業を実現させつつ社会課題を解決していく組織です。現在8つの新規事業を手掛けています。もともとリコーには新しいことに取り組む風土があり、各々で活動をしていました。これら新規事業のうちの8つをひとつのビジネスユニットのなかで運営することで、ポートフォリオマネジメントを進めています。各事業の期待値や事業進捗に応じて、予算含めた投資のメリハリをつけ、事業開発に関する厳しい議論を正しく行うことができるようになりました。

社会課題を解決する新規事業を生み出す組織、リコーフューチャーズ

チームの能力を最大化するメンバーの組み合わせを科学的に検討する

8つの事業を見ていると、各チームの特徴が出てきます。例えば、コミュニケーションが得意なリーダーのチームはまとまっているけれどもアイデアが生まれにくい、かたやクリアな世界観を表現することができるリーダーのチームはまとまりが欠けているなど。これらのチームをマージすることが出来たら強力なチームになるだろうと常々考えておりました。

また、新規事業を0から1にする段階と、1から10にする段階とでは求められるリーダーシップが異なるのではないか、またリーダーが必要な経験や能力を備えていない場合には、リーダー及びリーダーを支えるメンバーのチーミングによって補う必要があるのでは、とも考えました。加えて新規事業は未経験の領域に挑むため、経験だけではなく各個人の資質も重要な要素になります。

どのようなメンバーの組み合わせであればチームの能力を最大化させられるか思索しているなかで、別のプロジェクトでリコー国内従業員約3万人を対象に実施したエス・エイチ・エルの パーソナリティ検査万華鏡30のデータを活用できないかと思い立ちました。各事業センターのリーダー数名の万華鏡30を詳しく解説していただいたところ自分が経験を通じて培った「人への見立て」と符合しており、感覚的ではなく科学的に人の資質は捉えられるだろうと確信しました。

リーダータイプとチームのエンゲージメントの関係性を明らかにする

社員直属上司である課長層とその1つ上の階層である室長層の社員の万華鏡30の結果データと2021年に実施したエンゲージメントサーベイの組織別のスコアとを用いて、統計分析を行いました。パーソナリティ検査結果からリーダーのタイプを3つに分類し、室長層と課長層のリーダーのタイプの組み合わせごとに組織のエンゲージメントサーベイスコアにどのような傾向がみられるかを確認しました。

組合せの数(対象となる組織数)が少ないため引き続き検証が必要ですが、大きく2点の発見がありました。一つは室長と課長がどちらも“ひっぱり型リーダー”(メンバーの競争心に刺激を与え、目標達成に向けてチームを引っ張る)の場合、仕事環境、具体的には人間関係の満足度が低くなる傾向があること。この組み合わせはできれば避けたほうがいいだろうと考えられます。もう一つは、同じタイプのリーダー同士で構成される組織の場合は、リーダー・経営層への信頼が低下する傾向があることでした。

調査研究の結果は、個人的な経験や感覚とも符合しました。例えば私(入佐様)はチームタイプの“アイデアマン”と“まとめ型リーダー”の傾向が強く出ており、ときに歯止めが効きづらくなるとも自認しておりますため、リコーフューチャーズの責任者となるにあたっては、私に苦言を呈することができる人材を私のパートナーに選びました。彼の万華鏡30の結果をみると、私の結果とちょうど真逆でした。やはり資質は科学的に分析することができると考えています。

「顧客価値の創造をリードする人材・事業創造型のリーダー」としてポテンシャルの高い人材を発掘するため、私(入佐様)が現在担当しているリコーデジタルサービスビジネスユニット(RDS)では結果を主に二つの場面で使用しています。一つは既にあるサクセッションプランの中でサクセッサーとなっている人材の資質を改めて確認する場面。もう一つは、社内公募で募集しているポジションによっては万華鏡30の結果を面談結果と合わせてみて、適性を判断する場面です。全社的にシステマチックな活用はまだできていません。

私(入佐様)はいくつかのアセスメントを受けていますが、人物タイプを見極めるには万華鏡30が一番適切と感じています。エス・エイチ・エルグループが持つ最新のアセスメントにも興味があり、実験的な取り組みも含め今後も積極的にご支援いただければと思います。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

重野 達也

 新規事業創造において”個”に焦点を当てる研究には多くの課題が残っています。そのようななかで、今回の研究とその結果の活用は、リーダーの組合せから新規事業創造を捉えようとする新たな試みでした。リーダーのパートナーを誰にするかによって、組織のエンゲージメントスコアは大きく変わります。エンゲージメントスコアが組織の強さと活性度を表しているとすれば、リーダーの組み合わせは極めて重要な人事的意思決定となります。今回の研究から、人の組み合わせと事業創造の関係についての貴重な知見を得ることができました。今後も実験的な取り組みを行いつつ、リコー様の更なる発展に向け尽力致します。

導入事例

初任配属への課題意識から、全社のコミュニケーション改善へ。岡谷鋼機の全社員アセスメント。

初任配属への課題意識から、全社のコミュニケーション改善へ。岡谷鋼機の全社員アセスメント。

「相手に自分の知らない一面があると思えば、かける言葉も変わるのでは。」初任配属での経験から、コミュニケーションにおける相互理解の重要さを再確認し、全社員アセスメントに踏み切った岡谷鋼機の取り組みを紹介します。

※本取材は2020年9月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

岡谷鋼機株式会社

事業内容

鉄鋼、特殊鋼、非鉄金属、電機・電子部品、化成品、機械・工具、配管住設機器、建設関連、食品などの国内販売・輸出入

業種

卸売業

従業員数

連結:5,115名 単体:683名 (2020年2月期) 

インタビューを受けていただいた方

岡村卓也 様
小本紗由香 様

岡谷鋼機株式会社
人事総務本部 名古屋人事総務部 人事室 室長(岡村卓也 様:写真右)
人事総務本部 名古屋人事総務部 人事室 プロジェクトリーダー(小本紗由香 様:写真左)

インタビューの要約

新入社員の初任配属をもっとフォローしたいという思いをきっかけに、全社員のパーソナリティ受検を実施。新入社員とOJTの先輩の間のみならず、上司・部下間も含めた、全社的なコミュニケーションの向上を目指す。
社内の協力に不安があったが、予想以上の受検率。さらに、現場が率先して活用しコミュニケーションをとる様子も見られた。
今後は、パーソナリティの相互理解によってコミュニケーションを活性化する取り組みをもっと推進したい。目指したいのは、デジタル×アナログのタレントマネジメント。

初任配属でよいスタートを切ってもらうために、 新入社員のまだ見えていない側面が見たい。

当社は、採用段階から人をよく見て、どういったところに配属されると活躍するのか、いいスタートを切れるのかを一人一人時間をかけて検討しています。新入社員の初任配属に際しては、採用時に得た情報や入社後の様子、適性また配属先の仕事内容、先輩社員など可能な限りの情報を収集したうえで配属を決めます。その情報の一つとしてパーソナリティ検査OPQを活用したいなと思ったのが最初のきっかけです。配属先と新入社員をマッチングするために人事が新入社員一人一人と面談を重ねるのですが、新入社員のOPQを活用する事で、私たちが見えていない、表面的ではない部分の人物像が見えるのではないか、と考えました。

昨今の新入社員は自分のやりたいことがしっかりとあって、キャリアに関する理想像もあるので、「なぜこの部署に配属になったのですか」という質問に対して、フィードバックを行う事もあります。いいスタートが切れる事、その後しっかりと活躍する事を念頭に「君にはこういう良いところがあって、こういう仕事が合っていて、こういう先輩と一緒に仕事をすることで、なりたい自分に近づくよね」というメッセージを送っています。また、配属後は配属全部署の上長に対して、OPQや配属までに得た全情報を活用して、教育方法のアドバイス含めた申し送りを実施しています。

初任配属でよいスタートを切ってもらうために、 新入社員のまだ見えていない側面が見たい。

「相手に自分の知らない一面があると思えば、かける言葉も変わるのでは。」 初任配属での苦い経験をもとに、全社員受検に踏み切る。

初任配属でのミスマッチの問題は、OJTでつく先輩とのミスマッチとして表れることがあります。非常にタフな仕事であっても、OJTの先輩と合うメンバーは比較的頑張っていけますが、合わないメンバーはスタートでつまずいてしまうという印象があります。その中で過去に一人、人事としてもう少し違うフォローができたのではないかと悔やまれる事例がありました。事後的に、日本エス・エイチ・エルの担当者にこの事例を相談したところ、OPQの結果から配属前に私たちが見えていなかった本人の特徴が読み取れることがわかりました。もし事前にわかっていれば配属部署により良い申し送りができたのではないか、よいスタートを切れたのではないか、と悔しい思いをしました。
こうした経緯で新入社員のOPQをもっと活用したいと考えたのですが、そうなるとOJTの先輩の結果も気になります。さらに全社でOPQを活用すれば社内のコミュニケーションの質をもっと高められると考えました。初任配属の問題に限らず、上司が正しく部下の特徴を理解しないまま指導しているようなケースも存在すると思います。もし、相手に自分の見えていない一面があるかもしれないと思ったら、かける言葉も変わるでしょう。全社員にアセスメントを実施すれば、上司が部下の知らなかった一面を見る機会が生まれ、コミュニケーションや関係の質が向上していく。こんなことを考えていました。

この構想を上司に話し、育成者の対人関係能力を強化することを人事の目標として掲げ、世の中のビジネス環境を鑑み、OJTのあるべき姿を描いていきました。本部長から「そう思うのであればやってみたら」と即承認をもらいました。これは当社の社風です。一部、社内のコミュニケーション能力が低下しているとは思わないという反対意見もありましたが、ビジネス環境の変化に対応するためには今動き出さなくてはならないと主張し、プロジェクトを開始しました。

心配をよそに、驚異の受検率。背後には、社内共通の成長意欲も。

社員に受検を案内したら予想以上に多くの人が受けてくれました。初期の受検率は98%以上です。はじめは受けてくれなかった方も色々な方法でお願いしたところ、ほぼ全員が受けてくれました。受検後に返される結果報告書(万華鏡)のサンプルを提示したことも奏功し、社員の自分自身を知りたいという思いと強い成長意欲に繋がったのだと思います。

現場では予想以上に積極的に活用。今後はもっと仲間を増やしていきたい。

今後は課長に対してOPQ結果を用いた研修を行う予定です。
予想以上に現場はOPQを活用してくれています。私がOPQ活用の施策を出す前に、ある部署では部署内で結果を開示しながらコミュニケーションをとっているという話も聞きました。入社時の結果がある社員に対して上司がOPQを使ってパーソナリティの変化について対話したケースも出てきました。
私としては、OPQを使ってコミュニケーションを活性化しようとする仲間を増やしていき、全社に波及させたいと思っています。そのために1on1ミーティング等コミュニケーションの幅を広げるアイデアを社内に紹介していきたいです。

今後はデータとアナログを掛け合わせたタレントマネジメントをやっていきたいです。部署ごとに人材データを分析して、そこに敢えて違うタイプの人材を入れ、どのように組織が成長していくかを試していくのも面白いと思います。

従来の採用・配属の方法では特定の人材タイプを採用・配属しがちですが、実際には色々なタイプの人が活躍しています。職務や職場環境と活躍する人材の関係を構造的にとらえ、採用・配属等の人員配置に活用出来ればと考えます。また、アセスメントを定点観測のように活用し、育成目的のフィードバックで使いたいとも思っています。

日本エス・エイチ・エルのコンサルタントには、本当にお世話になっています。アセスメント結果の解釈に不安があるときは、担当コンサルタントに相談して助けていただいています。今後もサポートいただけるとうれしいです。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

柳 成美

「気になる社員がいらっしゃるのであれば、OPQではどのように読み取ることができるか試してみませんか?」全社員受検のプロジェクトが決まる約1年前、その様にお声がけしたことを今でも覚えています。配属のミスマッチの問題に直面した時に、原因を社員だけに求めるのではなく、人事としてもっとやれることがあったのではないか?という想いを持ってご相談をいただけたこと、本当にうれしく思います。
この様な新しい施策を導入いただく際、取り組んだ内容がうまく社内に浸透する場合と途中で立ち消えてしまう場合があります。もちろん岡谷鋼機での施策は前者であると、その後の反響を追ってみても強く感じています。施策がうまく社内に浸透するためには、明確な「困った」を解決することを目的としていることと、その「困った」は経営・人事・現場等多様な立場にとって共通した問題であるということが重要です。今回はこの条件が揃っていたことに加え、岡谷鋼機という組織が長年社員一人一人を大切に育てるという風土で取り組んできたことによる賜物だと感じています。
今後は、OPQの活用がより進むような勉強会の実施やデータの分析などで少しでもお役に立てればと考えています。

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能力開発

アセスメント情報を元に、社員一人ひとりに最適な能力開発やリスキリングの機会提供をサポートします。

科学的に能力開発とリスキリングをサポート

アセスメントにより、受検者の能力開発に適した職務と環境、強みと弱み、好む学び方などの情報が得られることで、社員一人ひとりに最適なリスキリングの機会を提供できます。アセスメント結果は本人や上司へのフィードバックを通じて、能力開発課題と目標を明確化し、行動計画を作り、本人に前向きな行動変容を促します。アセスメントの実施、専門家によるフィードバックの実施、社内でフィードバックを行うためのフィードバックトレーニング、コンピテンシーと研修プログラムとの関連付け、ラーニングマネジメントシステムとの連携を提供します。

能力開発に役立つサービス

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リクルーター

誰をマッチングすべきか?どう学生をフォローするか?リクルーターの活動も当社の知見でサポートします。

より良いリクルーター活動の支援

人材獲得競争が激しさを増す中、応募者と密に接点を持つリクルーターの存在は採用に欠かすことができないものとなっています。我々はリクルーターとしての適切な振る舞いや情報提供の仕方に関するトレーニングを提供できます。また、アセスメントを元に応募者とリクルーターのよりよいマッチングもサポートします。

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内定者フォロー

採用選考だけでなく、内定者の面談や研修でもアセスメントが活用できます。

内定者フォローとアセスメント

人材採用は内定がゴールではありません。きちんと入社し、一人ひとりが意欲を持って仕事に取り組めるよう、選考で実施したアセスメントデータが活用できます。我々はフィードバック用の適性検査帳票の提供や研修の実施を支援します。アセスメントによる内定者の特徴把握は、自己理解を深めて意欲形成につなげるだけでなく、入社後の配属情報としてミスマッチを防ぐ参考資料としても活用できます。