マシュー・ベネット
2024/11/26
職場における人々の行動を組織が理解できるよう支援する
SHLのサイエンスチームがユニバーサル・コンピテンシー・フレームワークに直接準拠した測定フレームワークであるApta(特許取得済み)を作成してから10年以上経ちました。
UCFは、職場での人々の行動と成功の可能性を理解するための基礎を提供する、エビデンスに基づくコンピテンシーフレームワークです。長年にわたり、Aptaは多くのカスタム製品や標準製品で使用され、職位や業界、国を問わず、最も才能がある最適な候補者を見つけるのに役立ってきました。Aptaは、SHLがクライアントに強力でカスタマイズ可能なソリューションを提供できるようにするための大きな一歩でしたが、私たちはそこで止まりませんでした。
SHLユニバーサルコンピテンシーフレームワーク
2年前、Aptaの進化形である、UCFの最も狭いレベルである96のスキルすべてを測定するグローバルスキルアセスメント(GSA)が持つ無限の可能性について、ブログ記事(
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2022/global-skills-assessment-15-minutes-unlimited-possibilities/
)を書きました。
この間、サイエンスチームはGSAに関する多くの活動に懸命に取り組んでおり、GSAを数多くの場所で実装し、新しく魅力的な使用場面を発見してきました。このブログ記事では、私たちが行った活動を要約し、GSAの現状と、スキルベースの組織が人材戦略の価値を最大化する上でGSAがどのように役立つかをご紹介します。
GSAは何ができるのでしょうか?
GSAは非常に汎用性の高いアセスメントです。これにより、クライアントは人材育成の取り組みにデータ主導のアプローチを採用でき、以下のことが可能になります。
- 1つのアセスメントを実施するだけで、組織内の様々な役割のスキル要件に対する適合性を評価する(スキルベースの採用)
- キャリアの様々な段階で個人のスキル開発状況を追跡するために、何度かアセスメントを実施する(スキルベースの能力開発)
- クライアント独自のフレームワークへのマッピング
- SHLのAIスキルフレームワークなど、スキルを組み合わせて、より広範な概念を測定する
- 人材の流動性のために従業員のスキルプロファイルを定量化し、従業員の行動と組織内の空きポストへの適合性をより包括的に理解します。
- 妥当性研究での使用――幅広いスキルを測定して、パフォーマンスの最も優れた予測因子を特定する
GSAは、SHLの様々な標準サービスに含まれており、その中にはジョブフォーカスアセスメント(JFA)シリーズも含まれています。また、SHLのタレントマネジメントサービスの重要な要素です。タレントマネジメントをサポートし、個人が現在の職務以外で持っている可能性のあるスキルに光を当てます。
GSAは、組織の労働力に関するより深いインサイト(知見)を解き放つ鍵であり、企業が既存の従業員の価値を最大限に高め、新しい役割に適した候補者を特定できるようにします。
SHLが最新のタレントマネジメントソリューションにGSAを採用するのに忙しくしている間、サイエンスチームは舞台裏で懸命に働いていました。そして、GSAが英国心理学会*によって認定されて登録テストのステータスを付与されたこと、南アフリカ保健専門職評議会によって認定されたことを嬉しく思います。これらの認定が得られたことは、GSAの背後にある科学の質の高さを表しています。
SHLは、GSAに関して、今後も新しく革新的で影響力が大きい使用場面を見つけていきます。次の4年間もよろしくお願いいたします。
*英国心理学会は、最もよく使用されているGSAの英語版(国際版)を認定しています。SHLは、他の言語バージョンでも同じ基準を満たすように、厳格な翻訳およびローカライゼーションプロセスを実施しています。
10年前、Aptaを利用し、パーソナリティからコンピテンシーを予測するのではなく、コンピテンシーを直接測定するアセスメントUCA(ユニバーサル・コンピテンシー・アセスメント)が登場しました。近年の「スキル」への関心への高まりを受け、SHLのサイエンスチームは調査研究の結果、UCAをGSA(グローバル・スキル・アセスメント)という名称に改めました。
日本エス・エイチ・エルではまだ取り扱っておりませんが、ご案内できるように準備を進めております。
マネジャーはもはや単なる監督者ではありません。チームの成功、従業員のエンゲージメント、ビジネス成果の原動力であり、優れたマネジャーの特定と育成は一層複雑なものになっています。適切な人材に投資できているでしょうか?どのようなスキルと行動を優先すべきでしょうか?マネジャーの成功のポテンシャルを測定する準備はできていますか?
ニーナ・ミュア
2024/10/23
正しい道を歩み始めましょう
最近のSHLレポートで、優れた管理職は従来のコンピテンシーにとどまらないことが明らかになりました。より柔軟でハイブリッドな分散型労働環境への移行により、マネジャーは部門横断的なチームワークに優れ、共感とインクルーシブな姿勢を持ってリーダーシップを発揮する必要があります。人材、目的、利益のバランスをとる能力は、優秀なリーダーと他のリーダーを区別するものであり、マネジャー採用の重要な検討事項です。
成功しているマネジャーは、変化を混乱と捉えるのではなく、チーム戦略を革新し、改善する機会と捉えます。チームメンバーが評価されていると感じ、各自がユニークな視点を提供できるインクルーシブな環境を作ることを優先します。強力で機敏なチームづくりに重点を置くことで、ビジネス成果が向上するだけでなく、レジリエンス(回復力)と継続的な改善をする文化も育まれます。
成功するマネジャーの条件を見失わない
多くのマネジャーは、技術力や個人のパフォーマンスに基づいて選ばれますが、これらの強みは必ずしも人の管理をする職務での成功を予測するものではありません。採用担当者は、プレイヤーとしての高いパフォーマンスと他者を管理する能力を同一視することがよくありますが、必要なスキルは根本的に異なります。マネジャーの人を管理するスキルの価値を評価し、マネジャーはプレイヤーへの単なる「アドオン」ではないことを従業員に示すことは、組織がこの変化を受け入れるのに役立ちます。
成功につながるスキルに基づいてマネジャーの役割を設計することから始めると良いでしょう。これは、組織に特有の優先事項や目標と一致している必要があります。次のステップは、候補者の過去の業績だけでなく、現在のスキル、行動、将来のポテンシャルも評価することです。
データはあなたを正しい方向に導く
マネジャーの成功につながるスキルを測定し、データに基づくマネジャーに関する知見を活用して人材戦略を推進することで、必要な能力に見合った人材を客観的に採用、育成、昇進させることができます。また、優先順位の変化に応じて強みと開発領域を把握し、適切な人材に適切な育成の取り組みを行い、彼らのリスキリングのポテンシャルを活用できるようになります。学習の俊敏性、フィードバックに対するオープンさ、新しい課題への適応力などの特性に焦点を当てることは、変化するビジネス環境で成功するための良い指標となります。
SHLは、毎年4500万件実施されるアセスメントで収集したデータを用いて、真に優れたマネジャーの特徴を把握しています。継続的に分析を行うことで最新のツールとマネジャーの採用基準を提供できるようにし、組織に長期的な影響を与える人材を見つけるお手伝いをしています。
原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2024/mastering-the-manager-hiring-maze/
本文冒頭で登場するSHLの調査レポートでは、2020年から2023年にかけて受検した、様々な業界・地域の約9300名のマネジャー職のアセスメント結果より、近年のマネジャーの特徴を明らかにしています。ご興味がございましたら、以下よりご覧ください。
https://www.shl.com/solutions/talent-acquisition/manager/#report
優秀な若手人材をめぐる今日の熾烈な競争市場では、大卒者はありふれたキャリア開発では満足できなくなっています。彼らは単なる給料以上のものを求めており、将来への投資、キャリアアップの明確な道筋、そして有意義な能力開発の機会を切望しています。
サム・ホワイトマン
2024/10/17
大卒者に有意義な道筋を提供する
一般的な研修プログラムの時代は終わりました。大卒者の能力を真に刺激し開発するには、人材データに基づいて、より的を絞ったアプローチをとることが必要です。このアプローチは、キャリアの初期段階にある人材にとってより重要です。なぜなら、組織はZ世代の強みを活かすことに苦労し、彼らの価値を過小評価し、成功につながる重要な強み、能力開発領域、モチベーションを特定するのが難しい場合があるためです。
このような背景から、SHLはオーストラリアの若手人材市場においてDevelopment Beyond Learning(DBL)と分析パートナーシップを結びました。
SHLとDBLの協力により、オーストラリアの大卒者市場を牽引するエンドツーエンドのソリューションが誕生しました。このパートナーシップは単なる協働にとどまらず、今後の大卒者採用とスキル開発に対するビジョンを表しています。予測力のある分析と科学的に的を絞った能力開発プログラムを組み合わせることで、組織は大卒者の期待に応えるだけでなく、それを上回ることができるでしょう。
SHLとDBLの相乗効果
SHLの産業組織心理学リーダーとDBLの学習設計の専門家が協力し、SHLの行動アセスメントで測定された96のスキルを、40のDBL学習モジュールに紐づけました。若手人材のスキルを測定することで、彼らのスキル、将来への準備状況、組織で成功を牽引するポテンシャルについてのインサイト(知見)が得られます。重要なスキルに基づいた公正で正確な意思決定をすることで、採用において適切な決定を下すことができるようになります。
そして、これらのスキルを学習モジュールに紐づけることで、組織は採用プロセスで得た分析結果を再利用して、オンボーディングと育成を合理化できます。個人と集団のレベルで強みのスキルとギャップを特定することで、適切な場所、適切な人に投資することができ、最も効果のあるギャップに的を絞ることができます。
「SHLの96のスキルを当社のモジュールに紐づけることで、大卒者がDBで学んだことを応用し、職場でさらに成果を出すことを期待しています。」
DBLのANZ担当コマーシャルディレクター、マシュー・スティーン氏
SHLはこの他にも、SEEKおよびGrad Connectionとパートナーシップを結び、Top100 Future Leaders Programのアセスメント、ビデオ面接、分析を提供しています。また、様々な領域で英国とアイルランドの最優秀学部生を表彰するtargetjobs Undergraduate of the Year UKおよびGrad Ireland Undergraduate of the Yearの独占アセスメントパートナーも務めています。
大卒者採用を成功させるために、予測力のある採用選考だけでなく、採用後の育成やキャリア開発まで一貫して支援するソリューションが必要だという点は、日本でも同様だとお感じになる方が多いのではないでしょうか。
SHLのインクルージョンへの取り組みの1つとして、一般的でない経験を持つ候補者に対しても平等な革新的なアセスメントをクライアントと共同で開発した事例をご紹介します。
エリック・ポップ
2024/8/29
仕事に関連するスキルを育む人生経験を測定する
本事例のクライアントは、ホームレス、不安定な家族構成、薬物乱用、搾取、投獄歴、障害などの困難な状況に陥っている人々に様々な行政サービスを提供しています。クライアントは、サービス対象者と同様の経験をうまく乗り越えた人を採用したいと考えていました。そのような経験をすることで、共感や変わろうとするモチベーションへの理解など、職務に関連するスキルや態度が育まれ、職務で高いパフォーマンスを発揮できるだろうと考えたためです。
バイオデータ(履歴情報)による職務パフォーマンスの予測を再評価する
人生経験や社会的アイデンティティから仕事のパフォーマンスを予測することは、新しい概念ではありません。個人の経歴が人々の仕事における違いを説明するという原則に基づいて構築されたバイオデータのアセスメントは、1900年代初頭から使用されてきました。ただし、歴史的にバイオデータのアセスメントは、一般的に肯定的とみなされる経験と肯定的とみなされるグループとの関わりに焦点を当ててきました。典型的な項目は以下の通りです。
- 「過去6か月間に何冊の本を読みましたか?」
- 「あなたは学校でスポーツチームのキャプテンをしていましたか?」
- 「あなたの両親は、STEM(科学、技術、工学、数学)分野への関心を深めることをどの程度勧めましたか?」
しかし、今回の対象となる応募者層は一般的にこうした肯定的な経験を積むために必要なリソースがありませんでした。STEM(科学、技術、工学、数学)プログラムがある学校へ通うリソースが不足している場合、親があなたにSTEMへの関心を深めるように促すことはまずありません。それどころか、今回の対象層の多くは良くないグループとのつながりを強いられていました。
したがって、このプロジェクトの目標は、文化的にしばしば偏見の対象となるけれども仕事に関連したスキルを開発する機会となるだろう経験を活用し、仕事のパフォーマンスを予測するバイオデータ項目を特定することでした。同時に、より一般的な経験を通じて同じスキルを育んだ可能性のある人々を排除しないことも必要でした。
平等な機会を確保するために科学を応用する
クライアント、対象となる経験を持つ現職者、SHLの三者がもつ、それぞれの知見とスキルを活用し、公平な競争の場を作ることができるアセスメントが実現しました。対象となる経験を持つ人と持たない人の間で平均得点に大きな差がないことが示されました。
現職者のプライバシーや尊厳、そして幸福を守ることに関係者全員が尽力したことで、現職者が自分の体験談を率直に語ってくれ、仕事に関連したスキルの開発、そして最終的にはアセスメントの開発そのものに有益な知見が得られました。科学的に厳密なプロセスで開発されたアセスメントによって、すべての候補者に対して平等に、仕事に関連したスキルを発揮する機会を提供できるようになりました。
最終的に、クライアントは一般的ではない背景を持つ人とより一般的な背景を持つ人が同等の得点をとることができ、職務パフォーマンスを予測できるアセスメントを手にすることができました。
このプロジェクトはSHLでの18年間で私が関わったプロジェクトの中で最も困難で最もやりがいのあるプロジェクトの1つだった、と言わざるを得ません。困難な人生経験を持つ人々に、その経験を通じて培ったスキルを活用して、就職活動において平等な機会を提供するためのアセスメントを開発するためにリソースを費やす組織の一員であることを嬉しく思います。
科学的なアセスメントによってインクルージョンを実現した、非常に興味深い事例でした。
産業:テクノロジー、規模:2000名以上、地域:東南アジア
事業の成長を促進するスキルとポテンシャルを持つ人材を見つける
One Mount Groupは、以下の3つの主要製品を通じてバリューチェーン全体にわたるソリューションを提供するベトナム最大のテクノロジー企業です。
- VinShop――食料品店のオーナーと提携して事業の成長を促す小売アプリケーション
- VinID――ベトナム人のニーズに応える顧客ロイヤルティプラットフォーム
- OneHousing――ベトナムで最も包括的で信頼できる不動産事業
One Mountは競争優位性を維持すべく、事業を前進させるスキルを持つ人材を確保したいと考えていました。One Mountのタレントマネジメントおよび能力開発ダイレクターである Phi Thi My Hanh氏は次のように述べています。「One Mountは、会社の戦略を成功させるために大胆かつ断固とした行動をとることができる将来のリーダーたちを特定し、育成したいと考えていました。」
これを実現するためには、まずは従業員を評価し、最も高いポテンシャル(潜在能力)を持つ人材を特定する必要がありました。
信頼性と妥当性のある結果を提供してくれる適切なパートナーを選ぶ
これまで人材の評価は、年次業績報告、直属上司からのフィードバック、行動に関する選択式の質問などの主観的に行われていました。 Phi Thi My Hanh 氏は、人材を評価するには、より信頼性が高く、正確で、公平な方法が必要だと気が付きました。「測定の3つの柱であるコミットメント、能力、貢献は維持したいと考えていました。しかし測定の仕方については、より客観的でデータ主導のアプローチへの移行が必要でした」と彼女は述べています。
次に新しいアプローチを支援してくれる適切なパートナーを探しました。One Mountがパートナーの要件としたのは 以下の3点です。
- アセスメント結果の妥当性が検証されており、信頼性が高い
- 従業員向けの能力開発に関する知見とヒントがある
- 管理職と参加者の双方にとって使いやすいプラットフォームである
Phi Thi My Hanh氏は、SHLのハイポテンシャル人材ソリューションのデモを見て、3つの要件を十分に満たしており、将来のリーダーを正確かつ容易に特定できるようになると考えました。彼女は次のように述べています。「SHLは、組織全体の人材を迅速に評価し、個人やチーム全体のリーダーシップ能力に関する知見を即座に得る方法を示してくれました。」
能力開発に関するより強力なインサイト(知見)で、ポテンシャルを解き放つ
One Mountは、上級職での成功を決定づけることが証明されている3つの重要な特性(アスピレーション、能力、エンゲージメント)を測定する簡単なSHLのアセスメントを既存の従業員と新規採用者に実施しました。そして従業員のうち50名が、最もポテンシャルが高く、One Mountがターゲットとしたリーダーのプロファイルを満たす適切なスキルを持つ人材として特定されました。
この50名には「Unlocking Potential Report(ポテンシャルを解き放つリポート)」が提供されました。このリポートは、個人の特徴に応じた知見を提供し、リーダーシップへの明確な道筋を持って彼ら自身が学習を管理する上で役に立ちます。
Phi Thi My Hanh氏のチームは、集団としてのインサイト(知見)と個人のリポートを活用することで、組織全体で最も注意を払うべき能力開発領域はどこかを把握することができ、育成に役立つ適切なプログラムに従業員をアサインすることもできました。
従業員と組織の双方に有益であることが証明された
Phi Thi My Hanh氏は、SHLがこのプログラムを展開したスピードと効率に感銘を受け、次のように述べています。「SHLが提供してくれたスケジュールとサポートに、本当に満足しています。」
このハイポテンシャル人材発掘の新たなアプローチに関する従業員への調査では、非常に肯定的な結果が得られました。80%以上が、個人リポートなどで得られる知見は将来高い職位に就きたいというアスピレーションを実現するためにとても参考になると回答しています。
本プログラムはOne Mountで初めて実施されたリーダーシッププログラムであったため、 SHLの高い専門性に満足しており、Phi Thi My Hanh氏は次のように振り返っています。「このプログラムはOne Mountにとって本当に前進です。将来のリーダーたちの成長を楽しみにしています。」
原文はこちらです。
Leading Technology Firm Develops Skills of Highest Potential Talent With SHL
ハイポテンシャル人材ソリューションの詳細はこちらからご確認いただけます。
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ガートナー¹によると、人事リーダーの76%が、今後1~2年以内に生成AIなどのAIソリューションを導入・実装しなければ組織として遅れをとることになる、と考えています。今回は、採用活動でAIを使用する際に検討すべき4つの点について解説します。
サラ・グティエレス 著
2024年6月13日
AI採用ツールに対する恐怖が高まる
ChatGPTやその他の大規模言語モデルによって、AIアプリケーションは増加しました。採用プロセスを合理化・最適化すべく、より多くの企業がAI機能に投資すると予想されています。AIを活用することで、採用担当者がこれまでになく効果的かつ効率的に優秀な人材を特定し、惹き付け、維持できるようになるためです。しかし、採用におけるAIの使用の増加に対しては未だ恐怖があります²。
AI採用ツールの導入を検討している組織が注意すべき重要な点
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人口構成全体にわたる多様で代表的なデータを使用してAIを訓練し、バイアス(偏見)を軽減する
AIベースのツールの導入を検討する際、過去のデータで訓練されたモデルのみを利用すると、作成者である人間のバイアスが本質的に含まれてしまうので、大きな問題が生じます。データ中心の考え方で作成されたソリューションを選択すれば、採用プロセスに組み込まれたAI採用ツールが誠実で信頼できるものだと自信を持つことができます。 -
透明性のあるAIモデルを採用する
AIが下す決定に関する情報が限られている、ブラックボックスのようなモデルは避けてください。AIソリューションを評価する際は、透明性を優先し、意思決定について明確な説明を提供するソリューションを探してください。
透明性に欠けるAIシステムは、潜在的に法的・倫理的リスク、評判上のリスクがあることに注意してください。AIビデオソフトウェアによって信頼できないと判断されたために仕事に就けなかった米国の男性が最近起こした集団訴訟は、説明責任の重要性を浮き彫りにしています³。 -
候補者体験が快適であること、AIの使用を明示していることを確認する
候補者体験は、組織に迎え入れる候補者の質に大きな影響を与える可能性があります。候補者に、データがどのように使用され、採用決定にどのような影響を与えるかなど、AI採用ツールの使用に関する明確な情報を提供します。透明性と候補者の体験を優先することで、組織は評判を高め、優秀な人材を惹き付け、維持することができます。
SHLの調査によると、候補者の42%が、面接中にネガティブな経験をしたために採用を辞退しています。企業の75%以上が、適切なスキルを持つ人材を見つけるのに苦労していることを考えると、これは本当に問題です⁴。 -
AIについて学び、適応できるように教育と訓練に投資する
将来にわたって事業が競争力を維持するためには、前向きな考え方を持ち、AIの新たなトレンドについて常に情報収集することが不可欠です。最新情報を学び、AIツールとプロセスについて深く理解することで、進化するAIの世界で組織を成功に導くことができます。
AIを活用した選考ツールは、恐ろしく、不透明で、ブラックボックスである必要はありません。これらのツールを実装する際には、ベストプラクティスを採用し、多様なデータを使用してAIモデルを訓練し、ツールの提供事業者からAIによる予測について明確な説明を受け、教育に投資しましょう。そうすることで、偏見を軽減し、すべての候補者に公平な結果を保証し、関係者との信頼関係を構築し、法的・倫理的リスク、評判上のリスクを軽減することができます。
参考文献:
¹ https://www.gartner.com/en/human-resources/topics/artificial-intelligence-in-hr
² https://www.businessinsider.com/coffee-cup-test-fears-about-rise-of-ai-hiring-process-2023-9
³ https://www.computerworld.com/article/3698191/governments-worldwide-grapple-with-regulation-to-rein-in-ai-dangers.html
⁴ https://8573936.fs1.hubspotusercontent-na1.net/hubfs/8573936/Research/HCM/HR%20Tech%20Report%20Q1-2024.pdf
AIの活用が一層の広がりを見せようとしている今、SHLが以前から一貫して主張している注意点をまとめた記事でした。SHLグループは、アセスメントソリューションの科学的な頑健性、多様性・公平性・包摂性を重視し、誇りをもっています。
学習文化を作ることで、将来ビジネスをリードする人材を育成し、より機敏に従業員を配置することができます。では、学習する文化を作り、組織全体に浸透させるにはどうすればよいのでしょうか。経験豊富な人事リーダーであるジョン・マロニー・フィリップス博士に、学習文化を築くための5つの方法についてお話を伺いました。
ナタリー・アッシャー 著
2024年6月6日
文化は一夜にして実現できるものではない
学習文化とは、メンバー間の継続的な学習、成長、能力開発を優先し、奨励する組織環境です。学習文化は、個人が知識を求め、自発的に学習し、知見を共有し、新しいスキルを活用して個人と集団のパフォーマンスを向上させるという考え方を育みます。
多くの組織は、最新の学習ツールやコンテンツを購入するという落とし穴に陥ります。これらが人材育成を強化するための万能薬だと考えてしまいますが、これらの利用を促すために莫大な労力をかけなければ、効果はあまり得られないかもしれません。それよりも基本的なソリューションを使用して、従業員に利用を奨励してやる気にさせ、関係者全員に利益をもたらす学びを実現するよう、強力な計画を実行するほうが成功の確率は高まります。学習文化を構築する上で良い出発点となる5つのステップをご紹介します。
学習文化を築くための5つのステップ
- 学習目標を定義する
これは当然のことのように思えますが、まず従業員にスキルの開発を奨励する目的を理解することが重要です。一般的に買い手は、売り手に対し特定の業界の最前線にいて、最新の関連技術、研究、トレンドに精通していることを期待するので、この点が目標となるでしょう。しかし、それ以外の目標もあります。組織内のスキルギャップを埋めることや、従業員が個人的な目標(例:予算編成をする)を達成できるようにすること、AIなど業界外の新しいトレンドに遅れずについていくことなどです。最終目標が何であるかを理解することは、その目標に到達するためのステップ、そして適切なツールとプロセスを決定する上で役立ちます。 - メリットを伝える
今日の世界では、あらゆるレベルと役割において、自分のスキルを最新の状態に保つことが極めて重要です。新しいスキルの習得に時間を投資しなければ、雇用が危うくなるでしょう。このようなメリットを伝えることで、学習は組織を助けるだけでなく、その人の組織内での昇進や将来のキャリアに役立つことを理解してもらえるでしょう。 - リーダーの協力を得る
リーダーは、成功のチャンスを掴むために学習を支援する必要があります。チームに学習の時間を与えるだけでなく、利用可能なリソースを思い出させて学習を促したり学習のメリットを伝えたりするという重要な役割を担います。リーダーは、他者の学習を支援するだけでなく、自らも積極的に学習をして模範となる必要があります。 - 報酬と表彰
業績管理に学習を含める必要があります。ボーナスなどに影響する定期的な目標と評価に、学習の要素を含めるべきです。金銭的な報酬がなくても、学習を個人の重要な目標とすることで、組織が能力開発を重視していることを示すことができます。成功を祝いましょう。リーダーが「学習のヒーロー」を称えることは、従業員にとって、自分の仕事が注目され評価されていることを実感でき、大きな動機付けとなります。
従業員に期待する行動を強化する上で役に立ちます。 - 適切な構造とツールを提供する
目標が決まったら、使いやすく理解しやすい効果的なツールを用意できるかどうかで大きな違いが生まれます。最適なツールは、スキルギャップや開発すべき領域に関する知見を提供し、個人に合わせた能力開発計画を関係者間で容易に共有できます。そして組織が適切なリソースを確保し、透明性のあるキャリア開発の道のりを作るための構造的な手法を提供してくれます。
学習文化を実現する方法はひとつではなく、各組織はそれぞれの目的に応じて独自のアプローチをとりますが、事前によく検討することと、リーダーシップチームが有能であれば、学習文化を根付かせ、従業員と組織の両方に利益をもたらすことができます。
SHLのスキル開発ソリューションは、客観的なスキルに関する知見を提供し、外部採用であれ育成であれ、いずれの人材戦略であっても、より的を絞った人材育成投資ができるように支援します。
原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2024/5-steps-to-build-a-learning-culture/
以前からスキルベース採用、スキルベースの組織という話題をご紹介してきました。この記事もスキルに関係したものです。従来のコンピテンシーが職務を中心としていたのに対し、スキルは人を中心とする考え方です。今回はスキルベースの組織が成功するには、個人のスキル習得を促す、学習する組織文化が必要であり、そのような文化を築くためにまず検討すべきポイントとして5つを紹介しています。
SHLのニューロダイバーシティ研究プログラムは、ニューロダイバースな人材をアセスメントする際のエビデンスに基づいたベストプラクティスを追求し続けています。このブログでは、最新のニューロダイバーシティ研究レポートからの知見をご紹介します。
マッケンジー・スペクト 著
2024年4月17日
ニューロダイバーシティとは何か?
ニューロダイバーシティ(神経学的な多様性)とは、人々の考え方や情報処理の仕方における自然な変異を指す包括的な用語です。世界人口の約15~20%がニューロダイバージェントであると推定されています。
近年、障害者雇用の拡大を目指したインクルージョンの取り組みに対する関心が高まっています。しかし、ニューロダイバージェントな成人の失業率は、他の障害のある人の3倍、障害のない人の8倍です。
ニューロダイバーシティ研究の主な発見
50万人以上の候補者のパフォーマンスと反応を分析した白書「ニューロダイバースな人材のアセスメント」発表後のニューロダイバーシティ研究の進捗状況を、2023年「ニューロダイバーシティ研究レポート」にまとめました。この研究では、3つの主要分野におけるニューロダイバージェントな人材の受検体験を理解することに焦点を当てました:
異なるテストタイプに対するパフォーマンスと反応、障害開示の決定、調整の検討、です。
主な発見は以下の通りです:
- 認知能力アセスメントが有望な選択肢であることを強調しています。認知能力アセスメントはインタラクティブな形式であっても伝統的な形式であっても、ニューロダイバージェントな候補者が自分のスキルや能力を示す機会を提供します。
- 研究は、支援的なアセスメント環境を育むためにインクルーシブな言語を使用することと調整の重要性を強調しています。
- 研究は、認知的な観点の多様性を強調し、アセスメントの内容や技術におけるユニバーサルデザインの原則を支持するという、ニューロダイバーシティの動きと一致しています。
- 様々なニューロタイプにわたる継続的なデータ収集は、私たちの包括性へのコミットメントを強調し、多様な候補者により良いサービスを提供するために、プラットフォームと製品の継続的な改良を推進しています。
インクルーシブなアセスメントによるDEIへの取り組みの継続的な推進
SHLは、ダイバーシティ、公平性、インクルージョン、帰属意識、アクセシビリティへのコミットメントを誇りにしています。この分野のリーダーとして、SHLは研究と実践の間の溝を埋めることを目指しています。私たちの研究は、ニューロダイバースな人材をアセスメントするためのベストプラクティスに役立つだけでなく、受容の文化を育むというより広範な価値も強調しています。
2024年、私たちのニューロダイバーシティ研究チームは、研究範囲を引き続き拡大する予定です。私たちは、より多くのニューロタイプを取り入れることを目的とした継続的なデータ収集に加え、状況判断テストや履歴情報などを含める研究を行い、アセスメントを多様化させています。
原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2024/insights-into-neurodiversity-in-the-workplace
2023年の研究結果の詳細にご興味のある方は、ぜひ以下のリンクからリポートをダウンロードしてください。
https://www.shl.com/resources/by-type/whitepapers-and-reports/neurodiversity-research-program-annual-report/
労働者数が減少し、雇用コストが増加する中、企業は人材を最大限に活用するためにこれまでとは異なる考え方をする必要があります。ゼネラル・ミルズは、採用時に未来に求められる能力を優先し、スキルベースアプローチで従業員が自らの能力開発を主導できるようにする方法を紹介しています。
アンドリュー・ネレセン 著
2024年3月14日
スキルベースアプローチで、避けられない変化から組織を守ります
個人のポテンシャルを最大限に引き出し、進化するビジネスニーズに対応できるような戦略を構築することは、今日の組織にとって重要なテーマです。
スキルベースアプローチでは、学歴や経験年数を重視するのではなく、個人が持っているスキルと、それをどのように活用できるかを重視します。組織は、ポテンシャルを考慮して個人を採用、昇進、育成することができ、指数関数的な変化のペースに対応しやすい労働力を生み出すことができます。
スキルの詳細やデータを得るには、さまざまな方法があります。例えば、AIを使用して過去の経験から推測することができます。しかし、本当に価値を提供できるのは、ある人が発揮することができるけれども未だ発揮していないスキル、つまりポテンシャルを示すことができるアセスメントです。スキルについて将来を見据えた客観的な視点を提供できるアセスメントメントは、様々なツールの中でも強力なツールとなり得ます。
ゼネラル・ミルズのタレント・ダイレクター、リチャード・チェンバース氏に、タレント・マネジメント戦略と、人材データを活用したスキルベースアプローチによって、人材を最大限に活用し、各従業員が自らの能力開発をリードできるようにする方法について伺いました。
- Q:ゼネラル・ミルズがタレント・マネジメントにどのように取り組んでいるかを教えてください。
- A:ゼネラル・ミルズでは、継続的に適応し、物事のやり方を再考しているため、その適応性とレジリエンス(回復力)を備えた人材を必要としています。さらに、継続的な学習と開発を通じて進化できる人材を求めています。
従業員がここに残りたいと思った場合、ここで長期のキャリアを築くことができると感じることが重要です。私たちは引き続き賢明であり、従業員が転職を選択した場合にパイプラインの観点から確実に保護されるようにしますが、彼らがここで個人的なキャリアの成長を遂げ、必要なサポートが確実に得られるようにすることを目指しています。
- Q:人材戦略の概要について教えてください。
- A:最終的な目標を明確にした上で計画を立てました。その結果、ゼネラル・ミルズの3つの差別化要因を特定することができました。それは、将来に求められる能力を特定すること、優秀な候補者を特定し選抜すること、そして確実で実用的なインサイト(知見)を用いてキャリアを促進することです。
最初の2つは入社前に焦点を当てたものですが、3つ目については、実用的なインサイトを提供し、学習マインドを生み出す能力開発体験を作りたいと考えました。そのため、スキルベースアセスメント主導のアプローチを作成しました。これは選考にとどまらず、タレント・マネジメントのエコシステムに統合され、能力開発計画の基礎となり、社内における人材の流動性を促進します。そして、能力開発だけでなく、自己省察や機会の創出を促進するために、厳選された堅牢なツールとリソースを用意しました。 - Q:人材戦略の一環として人材データをどのように活用していますか?
- A:アセスメントから得られる優れたデータを活用することで、スキル面をより深く掘り下げ、戦略的な人員計画、後継者計画、能力開発計画に役立てることができます。L&Dチームと連携することで、スキルに基づいてより強固な戦略を構築することができます。同時に、従業員に付加価値を提供し、個人的な成長という点で他社と差別化しています。 また、オンボーディング・エクスペリエンスの向上などを通じて、入社した社員に何かを還元する機会も生まれました。組織に入った初日から、あなたとあなたのリーダーが、あなたの強みとそれに基づく機会が記載された能力開発リポートを受け取り、個別の能力開発計画に組み込むことができる世界を想像してみてください。
- Q:人材戦略はどのように社員の能力開発を促進するのでしょうか?
- A:当社では、各機能のコンピテンシー・モデルとして「人材プロファイル」を使用しています。このプロファイルには、各機能で成功するために必要な経験や、その機能内での役割に期待されるリーダーシップ行動などが含まれています。
その目的は、ある部門で働く人が短いアセスメントに参加して客観的なインサイトを得ることで、自分自身の能力開発計画を立てることができるようにすることです。その後、他部署でクロスファンクショナルな役割を担いたいと考えた場合は、自分の強みと機会を他の人材プロファイルやその職務に最適なコンピテンシーや能力と比較することができます。
このようなアセスメントへの参加はすべて従業員主導で行われ、組織はマネジャーがアセスメントのインサイトを活用する際に適切な会話ができるようにサポートしています。従業員に責任を持たせることで、従業員に力を与え、希望すれば簡単に能力開発を受けられるようにしています。ただし、従業員には自らキャリア開発を求めるアスピレーションを期待しています。
より適切な採用、育成、異動の決定をサポートする最先端のソリューションとプラットフォームによって、人事慣行を変革することを目指しています。
ロンドン、2024年3月6日――タレントインサイトの世界的リーダーであるSHLは、タレントアクイジションおよびタレントマネジメントソリューションにおける地位向上戦略の一環として、人材アセスメント事業者であり長期パートナーであるエシャエル・インドネシアの買収を発表しました。
SHLは、企業とそのリーダーが適切な人材を雇用、動員、育成するのを支援するデータ主導型SaaS人材ソリューションを拡張し、インドネシアの組織と人々の成長機会を解き放ちます。
SHLのチーフ・ストラテジー・オフィサー(最高戦略責任者)であるヒマンシュ・アガルワル氏は、「当社のインドネシアへの投資は、このダイナミックな市場への戦略的対応であり、世界的な展開を強化し、成長の機会を解き放つものです。インドネシアでは、経済が発展しており、世界第4位の生産年齢人口をもち、そして急速なデジタル化によって変革が進んでいます。組織は機会を最大化し成果を達成するために、適切な人材と適切な HRテクノロジーに投資する必要があります。」
アガルワル氏はさらに、「エシャエル・インドネシアは、人材を通して事業の成果を推進することに情熱を注ぐ専門家チームであり、市場をリードするビジネスを構築してきました。これからも共に、組織の成功を促進する革新的なデータ主導型の人材ソリューションによって、戦略的な人事決定を強化することに取り組んでいきます。」
この買収により、SHLは東南アジアの主要市場であるインドネシア、シンガポール、フィリピンでの直接的なプレゼンスを通して、東南アジアにおける主導的地位を強化し、米国、EMEA、APAC地域にわたる当社の顧客に大規模にサービスを提供できるようになります。
エシャエル・インドネシアのマネージング・ディレクター、マリツカ・タンブナン氏は、顧客への影響を次のように説明しています。「この地域におけるタレントマネジメントの新時代が来ました。SHLの専門知識と、世界中で構築されテストされている強力なソリューションが利用可能になり、顧客はSHLと共にグローバルに活動できます。」
SHLはこの12ヶ月間で2回の買収を行いました。1回目は日本であり、今回は2回目です。アンディ・ブラッドショーが2018年にCEOに就任して以来、SHLは従業員のライフサイクル全体にわたってデータに基づいた意思決定を強化するSaaSソリューションを提供するタレントインサイトパートナーへと戦略的な進化を遂げており、今回の買収はその最新のステップです。
東南アジアでのプレゼンスを高めたSHLグループですが、次なる進化のステップは何でしょうか。