最近、新卒採用業務に携わる人事ご担当者さまと関わることが多くあります。
各社各様ですが、と、様々なことに翻弄されつつ、かなりお忙しくされているご様子です。
第三者から見て、極めてストレスフルな環境下であるとお見受けします。

もし、そのような状況下で、かつすでに当社の「ストレス耐性リポート」がお手元にあれば、是非あらためて眺めていただきたい項目があります。「ストレス対処法」です。ストレスへの対処の一助としていただければと思い、今回は標題のテーマを掲げております。

ストレス耐性リポートとは

「ストレス耐性リポート」は、パーソナリティ検査OPQから出力できるリポートです。受検者のストレスについての理解を深め、その結果を人事施策に活用することを目的に開発されました。
ストレス状態は、自分がこうあってほしいと思うけれどもそうならないときに、人が感じる「いらいらした状態」と定義されます。そしてストレス要因(ストレッサー)は人によって異なります。つまり同じ状況であっても人によってストレス反応やその強さには違いがあるのです。物事が起こったときの受け止め方、立ち向かい方はいずれもパーソナリティの影響を受けます。「ストレス耐性リポート」では、OPQ によるパーソナリティの個人差データに基づき、次の指標を提供しています。

  1. ストレス要因
    受検者がどのような活動・条件・環境をストレスに感じやすいかを、①職場環境要因、②仕事要因、③人間関係要因の3 つの要因から把握します。

  2. ストレス対処法
    受検者が、ストレスにつながるような場面で、どういう行動・認識をするかを把握します。

今回は、「ストレス対処法」について取り上げます。

ストレス対処法とは

ここで用いている対処法という言葉は、ストレス要因やストレス状態を処理するためにとる行動と認識という意味あいで使っています。心理学者リチャード・ラザラスは、大きく2つの対処法があると指摘しています。1 つは、問題そのものに対してぶつかってゆこうとする「問題中心型」対処法です。もう1 つは自分の心の平静さを維持しようとする「感情中心型」対処法です。
研究の結果によれば、人はストレスに対して単純な形では対処せず、必ず複数の対処法を組みあわせようとします。このときに、事態の評価の仕方、とりうる手段として思いつく案とその選択は、パーソナリティによって差が出ます。
リポートでは、OPQ のプロファイルから推論されるその人の「得意とするストレス対処法」に関する指標です。

ストレス対処法の種類

以下に、8項目のストレス対処法とその具体例を示します。具体例は「採用担当者として対処しきれるぎりぎりの過密スケジュールに置かれ、ストレスを感じている場面」を想定したものです。

  1. 勇気をもって立ち向かう
    逆境に立ったときに、勇気を奮い起こして、問題そのものに取り組む。直接、相手の考えに対決して、その考えを変えさせようとする。

    例:あらためてタスクを分析し重要度を整理し、重要度が低いものについてアウトソーシングや実施可否の再検討をするよう社内調整を行う。

  2. 距離をおいて見る
    今いる状況から自分を離して眺める。物事の明るい楽観的な面に目を向けるように努力する。

    例: 5分間一人になって深呼吸し、第三者として自身を眺める。「応募者がいること自体は良いことである」「そもそも仕事として任されていることは良いことである」「これを冷静に対処しきれば、次のキャリアに役立つ経験となる」と考える。

  3. 冷静に自分を保つ
    自分の感情や行動を抑えて、表に出さない。不当な批判を浴びたような場合であっても冷静に自分を保ち取り乱さない。

    例:20分間の休憩を取り、一人になって深呼吸し、自分の感情に目を向ける。「なぜ自分だけこんな目に」あるいは「自分はこんなことに翻弄されていてダメではないか」等、自分の中の不満や不安の声に耳を傾ける。その声を、落ち着いて深呼吸しながら冷静に聞き続けることで、徐々に徐々に解消していく。

  4. 胸襟を開いて助力を求める
    自分だけで問題を抱え込まないで、人に率直に話して援助を求め、アドバイスや共感を勝ち取る。

    例:上司や同僚、部下に業務に直接協力してもらえるよう相談する。他部署にいる同期社員、社外の友人(SNSでつながっている採用担当者含む)や知人で対人感受性が高そうな人に嘆く。

  5. 責任を認める
    問題に対して自分の責任を認めて、逃げない。それによって物事を打開したり、同じ間違いや問題を繰り返したりしないように決意する。

    例:この業務、責任を引き受けているのは自分であり、またこの状態を作った(もしくは合意した)のも自分であると冷静に解釈し、今後同様の事態にならないために何ができるかを考える。自分自身を非難するのではなく、事象を分析的に捉え、部分的に批判するのがポイント。
    ※この対処法一辺倒の方は、負荷が大きくなると気付かないうちに対処しきれなくなる可能性が高いので注意が必要です。

  6. 他のことに目を向ける
    つらい状況や嫌な問題にいつまでも悩まない。楽しいことや自分の好きなことに目を向けようと努力する。

    例:退勤後や休日には仕事のことを一切考えず趣味に没頭する。動画配信サービスなどは、夜更かしや運動不足になりすぎないように注意が必要。旅行はよいが、長期旅行からの仕事復帰につらさを感じる方は日帰り旅行がベター。

  7. 着想豊かな解決案をつくる
    よく問題を見極め、問題そのものを解決する案を工夫して打開する。その解決案を実行するために自分ができる努力を増やす。

    例:現在おこなっている施策の質と量が適切かどうか精査する。不要なものはやめる。社内外の協力者に任せる。自動化を試みる。

  8. プラス思考で打開する
    人間的に成長する、変貌することの利益に注目して、努力する。危機をチャンスと見て前向きに努力する。

    一連の業務を経験できる貴重な機会だと認識する。自社の採用活動について社内外の専門家にみてもらい、フィードバックをもらって成長の機会とする。


そもそも、何をストレス要因だと感じやすいか、そして得意とする対処法には個人差があり、また対処法においては、現実的に取りやすいものとそうでないものが存在します。
当社「ストレス耐性リポート」の結果がお手元にあってもなくても、今回の記事が、皆様の業務にとって前向きになる一助になれば幸いです。

「就職プロセス調査」(リクルート就職みらい研究所実施)によると、2024年3月1日時点の就職内定率は40.3%で前年から10.0ポイント増えているとのことで、採用選考の早期化が日経新聞で指摘されていました。ただ内定率が4割といっても、完全に採用が終わっている企業は僅かで、多くは4月以降も引き続き選考がおこなわれます。
本コラムは、採用選考における適性検査の活用をテーマとします。適性検査の主な活用場面は選考初期のスクリーニングと面接の二つ。今回は面接での活用ポイントに絞ってご紹介します。

初期の面接で合否に悩んだ場合、合否判断の参考資料にする

書類選考と適性検査を経て行う初期の面接では、多くの応募者を選考しなくてはならないため、多くの面接官を動員する必要があります。必ずしも訓練され経験豊富な面接官だけで運営することはできないため、面接を初めて行う新任の人事担当や面接に慣れていない現場社員にも面接をやってもらうことになります。
企業や仕事に対する理解度、志望動機、能力や適性のばらつきが大きい大量の応募者を面接スキルのばらつきが大きい多くの面接官で対応しなければならないのです。

面接官が明確な根拠と自信を持って合否判定できる場合はその判定を重視すべきです。しかし、合否判断に悩む場合、判定の根拠が不明確な場合は、採用担当者が判定に介入し意思決定をサポートしてください。その際に参考にする情報は今までの選考で収集してきた情報です。これら情報の中で適性検査は最も網羅的に仕事や組織への適性を捉えることができます。面接での掘り下げが不十分だった点を補填したり、特定の要件について複数の人を比較したりすることで、より深い評価が可能となります。

採用要件と照らし合わせる

自社の採用要件に合致する適性検査の尺度を見つけ、その尺度に注目してください。
※自社の採用要件を定義していない場合は採用要件定義の資料をご一読ください。

採用要件に合致する適性検査の尺度得点を合否判定の参考にします。合否ラインを何点とするかは、採用方針や倍率によって異なります。一つの考え方を以下に示します。

・「良い人であれば次の選考に上げる」という方針の場合
偏差値60以上(パーセンタイル84以上、標準点8以上)を合格とします。適性検査結果から採用要件に対する合致度が平均よりも明らかに高いと推測されます。次の選考でより詳細に確認してください。

・「合否判断に悩んだ応募者は次の選考に上げる」という方針の場合
偏差値40以上(パーセンタイル17以上、標準点4点以上)を合格とします。適性検査結果から採用要件に対する合致度が平均よりも明らかに低いとは言えないと推測されます。次の選考でより詳細に確認してください。

汎用的なモデルを参照する

適性検査で測定される汎用的なモデルを参照することも可能です。
当社の適性検査OPQは様々な企業の人材要件定義結果をもとに「マネジメント資質」「営業適性」「エンジニア適性」「管理部門への適性」等を一般モデルとして予測できます。
「自社にとっての要件」ではなく「一般的に○○職に向いている人」「一般的に幹部候補生としてのポテンシャルが高い人」という観点で適性検査を利用したい場合は、汎用モデルをお勧めします。

適性検査を面接で活用するメリット

二つのメリットがあります。妥当性と標準性です。
適切に開発され、研究を重ねている適性検査には妥当性(予測力)があります。また、面接と適性検査のように複数のアセスメント手法を組み合わせると、さらに妥当性の向上が期待できます。
標準性とは母集団に対する受検者の位置を正しく把握できる性質のこと。自社の応募者と比較するだけでなく、一般集団と比較してどの水準であるかを判断できます。

今回ご紹介した活用方法はあくまでも一例です。この他にも様々な活用方法がございますので、興味のある方は無料のダウンロード資料「面接官のための適性検査読み解きハンドブック」をご覧ください。

「タレントマネジメント」というキーワードが流行、浸透してくるにあたり、様々な業種業界の人事ご担当者様と、情報交換をする機会が増えてきました。各社の具体的な取り組みは、その目的に応じて多岐にわたりますが、ほとんどのケースで関わってくるのが「社員データの取得と管理」です。

活用する人材データの種類(例:所属部署、保有スキル、経歴等)、対象者の範囲(例:管理職以下全体、対象事業部のみ等)は目的により異なりますが、活用する人材データの一つとして「パーソナリティ検査」を採択いただく事例も増えております。

そこで今回は、パーソナリティ検査の社員データ取得やご活用いただく上でのポイントを、クライアント企業における事例をもとにお伝えいたします。

1.「とりあえず全社員のデータを取得」よりも、スモールスタートの方が良いこともある。

最初から全社員のデータがそろっている方が、あとから追加取得する必要がなくなるという点ではメリットがあると思います。一方、データを活用する目的が明確でない状態だと、「データを取得されただけで、その後のフィードバックがない」と社内の不興を買い、その後の施策提案が通りづらくなる可能性があります。まずは限られた対象者範囲のデータを取得し、活用のめどが立ってから、全社員に適用するというステップを踏むことが有効な場合もあります。
※スモールスタートの場合も、データ取得対象者に取得の理由を納得してもらうことは重要です。

2.受検案内時に、データ活用に関する説明と同意取得を行う。

パーソナリティデータは、センシティブな側面を持つ個人情報です。「知らぬ間に勝手に活用されていた」とトラブルにならないよう、受検時に活用範囲と目的について同意を得ておく必要があります。もし、どのような同意を取得すべきかご不明な場合は、当社の担当コンサルタントまでご相談ください。

3.結果を受検者本人へフィードバックする方が、受検率は高まる。

受検者本人に結果をフィードバックすると事前に伝えておくと、多くの方が受検に対して前向きになります。受検率が9割を超えるケースもございました。逆に、これを伝えなかった場合、受検率が7割となったケースもございました。
もちろん、フィードバックの有無は受検の目的によるため、フィードバックしないことを一概に悪いとは言えませんが、受検者が自分の結果を閲覧できる方が、データ取得は好意的に受け止められるようです。
フィードバックの具体的な方法は各社の状況によって様々ですが、当社コンサルタントにご相談いただければ、最適なタイミングやアウトプットをご提案させていただきます。

4.集団の傾向を統計的に分析するだけでなく、少数のケーススタディをもとに分析する方法も有効。

「受検者の人数が少ないから受検データを分析ができない」という声が寄せられることがあります。統計的検定やAIの学習データとして用いるのであれば、確かにサンプル数は重要です。しかし、数名の受検結果をケーススタディ的に検討する場合もあります。特に、まれな事象について分析を行いたい場合、十分なサンプル数が集まらないことがあります。データの偏りには十分注意しつつ、少数のデータからも示唆を得られることをご認識ください。

5.データの取得頻度(更新頻度)について、事前に決めておく。

パーソナリティは比較的変動しづらい個人特性ではありますが、生涯を通して「絶対に変わらないもの」ではございません。利用用途に応じて、適切なタイミングで再受検し、データを最新の状態にしておくべきものです。特に、異動、昇格、転職など、職務環境の大きな変化は行動変容を促し、そのことがパーソナリティに影響を与えることがあります。このような大きな環境変化を経験した方の場合、再受検によるデータの更新をお勧めします。あらかじめ受検データの利用期間や再受検を実施時期についてアナウンスしておけば、受検者も安心です。

以上が、パーソナリティ検査の社員データ取得における主なポイントです。
最後に人材データとしてパーソナリティ検査を利用する上でご注意いただきたいことを一つ申し上げます。パーソナリティ検査で測定しているのは、あくまでも社員のパーソナリティです。パーソナリティがコンピテンシーや職務適性、リーダーシップスタイルに影響していることは自明ですが、実際のコンピテンシーやパフォーマンスを測定しているのではありません。パーソナリティ検査結果と実際の職務パフォーマンスやコンピテンシーの発揮度合との関連について十分な検証を行ったうえで、ポテンシャルを判断するための一つの参考情報としてご活用ください。

有効な活用方法についてご検討の際は、ぜひ当社コンサルタントまでお問い合わせください。貴社にとって現実的で有効な着地点を見出すためのサポートをさせていただきます。