人材可視化を行う際に用いられる統計分析の多くは一定以上のサンプル数を必要とします。一方、必ずしも十分なデータが取得できるとは限りません。対象となる層や部署などのサンプル数が少なくてもできる、可視化に有効な手法のひとつであるヒートマップをご紹介します。

ヒートマップとは

ヒートマップとは、個々の数値データを色やその濃淡で表現して可視化する手法です。本コラムでは組織のパーソナリティ特性を視覚的に表現する手法としてご紹介します。
ヒートマップ作成にあたり、まずクラスター分析(ウォード法)を実施します。クラスター分析とは、いろいろな性質のものが混ざった集団の中から、似たものを集めていくつかの集団(クラスター)に分割する手法です。クラスター分析でグルーピングした結果を、得点の高低が容易に判別できるよう色分けし、ヒートマップを作成します。縦軸にはパーソナリティの傾向が似ている人同士を集め、横軸は似ているパーソナリティ尺度を集めます。色やグラデーションを用いてデータの値や密度を表現します。ヒートマップを使用することで、組織やチーム内のパーソナリティ特性の分布や傾向を一目で把握することができます。

ヒートマップのメリット

ヒートマップのメリットは次の3つです。

パーソナリティの視覚化:組織内の個々のメンバーのパーソナリティ特性を視覚的に表現することができます。色やグラデーションを使って特定のパーソナリティ特性の度合いや傾向を表示するため、異なるパーソナリティプロファイルを簡単に比較することができます。

人材の棚卸:組織やチームのパーソナリティ特性の分布やバランスを視覚的に把握することができます。特定のパーソナリティ特性が偏っているか、あるいはバランスが取れているかを可視化できます。またクラスター分析を用いているため、いくつかの集団として特徴をまとめて観察することも可能です。この分析結果に所属部署や職位、高業績者の情報を付け加えることで、どの集団にどういった人材がいるのかを同時に整理することができます。

メンバーの相性確認:メンバー間のパーソナリティの相性を確認することができます。ヒートマップの隣同士はパーソナリティ傾向が似ており、コミュニケーションがスムーズにいく可能性が高いと考えられます。一方、異なるパーソナリティ特性を持つメンバーの組み合わせによって、チーム全体のパフォーマンスが向上する可能性もあります。また個々人がどのグループに属しているのかを確認することができます。

おわりに

人材可視化は次の人事戦略を考える上で重要なプロセスの1つです。ヒートマップは、サンプル数が少なくても有効に活用でき、直感的に分かりやすい人材可視化の手法です。これまでデータ数が少なく分析ができていなかった企業様も一度ご相談頂けますと幸いです。