役員の面接態度が現在も学生を「選ぶ立場」であると考えている様子です。意欲形成が重要であると訴求しても「これまでの経験があるから」と耳を傾けてくれません。応募者の満足度向上のためにも態度を見直して欲しいが、どのように働きかけるべきでしょうか。
人事の方を共通して悩ます問題ですね。役員の方には、今のインターンシップから始まる就職活動や、学生の逆求人サイト利用率のアップなどの実態がなかなか伝わっていません。「買い手市場ではなく、売り手市場なのです」と説明しても、「当社に限ってはそんなことはない」とお考えの役員さんが多いのではないでしょうか。
「学生に対してそのような態度は控えて下さい」と言うだけでは通じませんね。
まずは、現在の新卒採用の実態を理解していただくために、また所詮他人事と思われないように、市場データや他社の事例を示すのはいかがでしょう。就活サイトの学生アンケート結果には、「こうした役員面接は嫌われる」「学生の〇パーセントが面接官の態度で志望度が変わると答えている」といった項目があります。参考にしてみて下さい。
さらに実際の御社の面接を録音、録画して、学生に対する質問、態度として問題のある事例をまとめてみていはいかがですか。もちろん学生側に収録の同意を得たうえで活用して下さい。役員ではない、課長、部長の面接であっても、実際の面接場面の例を示されると役員にも自分事として十分伝わると思います。役員の面接を収録してフィードバックできれば、さらに効果的です。
入社後の新人や若手社員は、自分たちが採用の際に受けた役員面接に対する印象がまだ残っているはずです。「あの役員の発言は圧迫面接に感じた」「あの時の専務の一言で入社を決意した」など、若手社員の生の声を集めてみるのもよいでしょう。
役員に対する面接レクチャを実施する場合は、外部講師やコンサルタントを活用した方がスムーズな場合があります。役員さんは、これまで自社の顔として外部と接してきたという自負のある方も多いでしょう。外部のプロの目線による提案の方が、耳を傾けていただけるかもしれません。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長