事例:質の高い成長のためにブランドのスターを見極め――インターコンチネンタル ホテルズ グループ
公開日:2013/07/08
このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回は事例をご紹介します。
インターコンチネンタル ホテルズ グループ(IHG)は、インターコンチネンタル、クラウン・プラザ、ホリディ・イン、ホテル・インディゴなど9つの系列ブランドをもつ、大手グローバルホテル会社です。ホテル数4,500軒、客室数666,000室を超え、IHGは世界のどのホテル会社よりも多くの客室を持っています。
課題
グループは2014年までに新しいホテルを1,000軒以上オープンする計画です。予想される成長に対応するため、90,000の新しいポジションが加わります。「顧客に愛される素晴らしいホテル」であることを誇る会社にとって、この大量採用は大きな課題です。
「ホテルが成功するためには個々の従業員が果たすべき役割がありますが、マネジャーの影響力が大きい」とジャネット・ワン(IHG グローバル・リソーシング・プロジェクト ディレクター)は言います。「適切なリーダーシップ・スキルと行動を備えたマネジャーを選抜することが、ブランド支援に特に重要です。ホテルのゼネラル・マネジャーはそのホテルのカルチャーに大きな影響を及ぼします。」
IHGはリーダーシップ・ポテンシャルの評価にすでにSHLアセスメントをグローバルで使っていました。しかし、IHG社内で作成されたリーダーシップ・コンピテンシーで使われている言葉は、SHLが用いているユニバーサル・コンピテンシー・フレームワーク(UCF)の言葉とかなり異なります。IHGコンピテンシーとUCFの対応付けはできていますが、それはつまり、IHGが各受検者のアセスメント結果を手作業で解釈するのにかなりの時間を費やさなければならないということでした。
より早く、より優れた雇用決定ができるよう、採用プロセスを効率化するため、IHGとSHLが動くことになりました。
解決策
IHGのコンピテンシーとブランドに合わせて、SHLパーソナリティ検査OPQの結果をカスタマイズしたリポートが作成されました。これによって、アセスメント結果の解釈が容易になり、アセスメントに対する社内の賛同を得ることができました。リポートは、IHG採用マネジャーに、会社の6個のリーダーシップ・コンピテンシーそれぞれの強みと弱みの分析だけでなく、職務に対する受検者の総合的な適性情報を示します。知的能力検査結果と職歴も含まれ、採用担当者にとって各受検者の包括的情報源となります。
ジャネットは続けて次のように述べています。「リポートは我々の言葉を使っているので、解釈がはるかに簡単になりました。一目見ただけで我々が必要なコンピテンシーをその人が持っているのかどうかがわかります。職務適性の判断にかかる時間がずいぶん短くなります。」
このアプローチは採用マネジャーと人事に好評で、現在では中途採用や新卒採用でグローバルに使用されています。リポートは11の言語で利用可能で、要約版と詳細版があります。SHLは、IHGがオラクル社と協力してアセスメントを自社のタレオ応募者追跡システム(Applicant Tracking System: ATS)に統合するシステムを開発してさらに採用を効率化することを、支援してきました。「以前は、我々の手作業によって、2つのシステム間でアセスメント結果が移行されていました。統合ソリューションが採用プロセス全体の最適化になっていると思います。」(ジャネット)
結果
カスタマイズ・リポートの導入によって、効率的でIHGに特化されたアセスメント結果解釈が可能となり、採用の質が上がりました。
リポートの使用によって多大なHRリソースが省けました。対応付け作業をする人はもう必要なく、リポート導入からの一年間で748時間が節減されました。また、アセスメントとタレオATSの統合によってさらに498時間が節減されました。「合わせて1246時間、つまり156日分です。ひとりの約半年分の生産性が浮いたことになります。」(ジャネット)
IHGにとって同様に重要なのは、採用の質がどうなったかです。ジャネットは次のように説明しています。「特注リポートによって、人材測定について社内の賛同を得て、採用において一貫した客観的な基準を適用することがかなり容易になっています。より良く、より速い採用決定ができ、それは我々にとっても受検者にとってもよいことです。」
さらに、新しい統合プロセスによって、あるポジションに合わない受検者を他のポジションならどうか検討することが容易になりました。「当社の機密の受検者データベースにアクセスできる採用担当者は、我々がすでに評価したことのある人材プールから適切な人を選抜することができます。」(ジャネット)
ジャネットによれば、SHLとの関係の強さがプロジェクト成功の鍵でした。「サッカー・コーチとの共同作業にちょっと似ています。SHLは当社の強みとニーズを理解しており、専門性とマーケットをリードするようなアイデアをもたらして、我々が『人材獲得競争』のゲームに勝利することをサポートしてくれました。より効果的でリソース効率のよい採用を可能にすることによって、SHLは我々が高い質の成長を達成し、『顧客に愛される素晴らしいホテル』になることを支援してくれました。」
この事例で述べられているように、リポートのカスタマイズには数多くのメリットがあります。このサービスはSHLが最も得意とすることのひとつです。

このコラムの担当者
堀 博美
日本エス・エイチ・エル株式会社