事例:オーストラリア ビクトリア州司法局
公開日:2014/08/29
このコーナーは、イギリスのCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回はオーストラリアの公的機関(ビクトリア州司法局)での人事アセスメント活用事例をご紹介します。
ビクトリア州司法局は将来のリーダー人材不足という課題に直面していました。SHLの支援によってリーダーシップの継承が改善されました。リーダーシップ・アセスメントセンターに参加した人の半数以上が現在は新しい役割につき、17%が昇格しています。
課題 将来のリーダー不足への準備
多くの組織と同様、司法局も「ベビーブーム世代の退職」という状況に直面しています。オーストラリアではベビーブーム世代が55歳を迎えて引退を選んでおり、55歳以上の幹部のいる組織にとっての脅威となっています。
この問題をさらにこじらせているのは、将来リーダーとなる人材の規模が人口統計的に小さくなっていることです。労働人口に新たに加わる人の数は現在の年間17万人から、20年後には年間1.25万人まで減ると予測されます。司法局は現在のリーダーの多くを失い、かつ、その後任となる人材は減っていくという見通しに直面しました。
解決策 リーダーシップ・アセスメントと360度フィードバック
包括的なリーダーシップ戦略開発における最初の重要なステップは、リーダーやシニアマネジャーの成功要因を明確に定義するコンピテンシー・フレームワークを確立することでした。主に2つの評価テクニックが用いられました。リーダーシップ・アセスメントセンターと360度フィードバックです。両方のプロセスに共通するのはフィードバックとコーチングのセッションです。プロセスから得られた洞察を具体的な結果に結び付けられるよう「行動すること」に力点が置かれました。
結果 参加者の59%が新しい役割に
このリーダーシップ戦略がうまくいった要因は、関係者全員への明確で率直なコミュニケーションである、と司法局は述べます。コミュニケーションによってスタッフの関与が高まりました。アセスメントセンターと360度フィードバックの両方から得られた情報を使って、組織全体の能力開発ニーズ分野を明らかにすることができました。
ヘレン・シャープ(司法局人員計画開発担当マネジャー)は次のようにコメントしています。『プログラムはその目的を全て達成しました。プロジェクトの様々なフェーズでCEBはプロフェッショナルで生産的なパートナーとして動いてくれました。』
リーダーシップ・アセスメントセンター参加者の59%は新しい部署や職務に進み、19%が昇進しました。彼らは現在、司法局の将来のリーダーとなるべく、自分たちが受けたフィードバックに答えてスキルや能力を開発しています。
ビクトリア州はオーストラリア本土の中で最も小さい州ですが、人口は500万人以上と人口密度の高い州です。州都はオーストラリアNO2の都市メルボルン。そのDepartment of Justice(司法局)のスタッフは7000人。リーダーシップのスムーズな承継を目的に、アセスメントセンターと360度フィードバックを活用した事例です。

このコラムの担当者
堀 博美
日本エス・エイチ・エル株式会社