なぜディベロップメントセンターを使うべきなのか?
公開日:2017/02/27
このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回はCEBブログの記事をご紹介します。
優れたディベロップメントセンターの活用は、上級リーダー職において真の違いを生み出す社員の選抜と能力開発に役立ちます。
ディベロップメントセンターは最初に米国電信電話会社AT&Tによって、社員のポテンシャルを通常の職場から離れた場所で評価するために確立されました。優れたディベロップメントセンター(DC)はより上級の職務で成功する社員のポテンシャルの質を予測する最も信頼できる方法の一つであることは多くの研究が示しています。
現在多くの会社でDCが活用されていますが、活用すべきかどうかについてまだ確信の持てていない人事担当者も多いようです。
パフォーマンスとポテンシャルは同じではない
DCが役に立つのは、パフォーマンスの高いこととポテンシャルの高いことがイコールではないという点にあります。管理職の大半は直属部下のポテンシャルを客観的かつ正確に測定することができません。
管理職はパフォーマンス評価、すなわち過去にその人が何を行い、どんな業績を達成したかを評価するトレーニングは受けています。そして、パフォーマンスの指標は大多数が測定可能です。明確に規定されたKPIはパフォーマンスマネジメントシステムやプロセスを通して評価できます。一方、ポテンシャルの評価は未来についてです。その人が別の職務役割(通常は現職よりも高いレベルの職務役割)で結果を出すことができるかどうか、の評価に関するものです。
管理職はパフォーマンス(過去)とポテンシャル(未来)を混同しがちです。しかし、ほとんどの会社において、ハイポテンシャル・プログラムが失敗する主な理由のひとつが、管理職がハイパフォーマーをハイポテンシャルと間違って見なすことだと、CEB調査は示しています。CEBデータによれば、実際は、ハイパフォーマーのうちハイポテンシャルであるのは約15%にすぎません。
ポテンシャルのパワー
社員の中でこの15%の集団を見分けることには多くのメリットがあります。承継計画(定年退職などによって空いた上位職を埋める人を見極める)や将来のリーダーの能力開発、現職における社員の業績改善やハイポテンシャル者の早期育成にどんな能力開発が有効かの見極め、などです。
DC参加者は複数の演習に取り組み、訓練された観察者があらかじめ定められたコンピテンシーに照らして評価します。より上位の職務で望ましい業績をもたらすために求められるコンピテンシーです。
最も一般的な演習は、オンラインアセスメント(パーソナリティ検査、知的能力テスト、意欲検査など)と、対面で実施するロールプレイ、ケース分析、グループ討議などのビジネスシミュレーション演習です。
オンラインツールであれビジネスシミュレーション演習であれ、重要なことは、全てが対象コンピテンシーを信頼性と妥当性をもって評価できることです。
外部ベンダーを使う
社内でDCを実施することは可能です。コストを削減できます。しかし、外部エージェントを使うことには以下のメリットがあります。
- 客観性:DCのオブザーバーやアセッサーは評価において完全に客観的でなければなりません。参加者もまたアセッサーは中立的な第三者であると確信できなければ、会社と社員の関係が悪くなります。これは社外のコンサルタント会社のほうがうまくできます。
- 専門性:アセッサーは参加者の行動を観察して記録、採点する訓練を受けています。厳しいトレーニングと継続的な練習が必要です。通常業務のプレッシャーを考えると社内の管理職にはなかなかできません。定評のあるコンサルタント会社はアセッサーのトレーニングに膨大な時間と努力を投資しています。
- DC演習の信頼性と妥当性:DCの最も重要な側面の一つは、オンラインツールであれ対面ビジネスシミュレーション演習であれ、信頼性と妥当性の高い演習を使うことです。DCの実施を専門とする優れたコンサルティング会社は、使用するツールの信頼性と妥当性を確立するために広範な研究を実施しています。
- ベンチマーキング:社内でDCを実施する場合、ベンチマークするデータ(業界他社と比べてどうかなど)がありません。多くの会社、多くの業界でのDC実施の経験を積んだコンサルティング会社は妥当なベンチマークデータを提供できます。
外部エージェントをどう選ぶか?
DCを実施する外部エージェントやコンサルティング会社を選ぶ際、人事チームは次の3つの重要な問いを検討すべきです。
- その会社は充分に研究された、信頼性と妥当性の高いオンラインツールとビジネスシミュレーション演習を持っているか?
その主張を立証する信頼性/妥当性データを求めましょう。さらにそのツールが英国心理学会など定評のある機関によって認定されているかどうかを質問するとよいでしょう。 - その会社はどれくらいの期間、DCを実施してきたか?
ベンチマーキングのデータが欲しい場合、この点が特に重要です。様々な会社や業界での経験、初級マネジメントから上級マネジメントまで評価した経験は、その会社が現地のマネジメント人材やビジネス状況について深い理解を持っていることを示します。 - その会社は訓練された経験豊富なアセッサー集団を持っているか?
アセッサーは人事の上級職もしくは他部署の上級リーダー職(CEOやMDだとさらによい)の広い業界経験を持っていなければなりません。その会社はアセッサーのトレーニングに継続的に投資していますか?
DCはやはり対面で行われるべき
テクノロジーが発達し、DCの多くの部分をコンピューター上で実施することが可能になっていますが、対面でのやり取りが求められる側面はなおいくつかあります。インターネットのスピード、充分な回線容量、中断しないビデオ会議施設などが不適切な場所もあります。
ロールプレイや結果フィードバックの際は、テレビ電話より対面でやり取りするほうが非常に有利です。フィードバックやロールプレイで非常に重要なボディランゲージや温かみ、つながりは、バーチャルではなかなか出ません。対象者が同僚との場面でどのようにふるまい、どうやり取りするかを評価する重要演習であるグループ討議もまた、バーチャルな設定で効果的ではありません。
ディベロップメントセンターとは、通常の職場から離れた場所に参加者を集め、複数の演習や課題をやらせて評価するアセスメント手法です。その目的が「評価」を主眼とする場合に「アセスメントセンター」、「能力開発」を主眼とする場合に「ディベロップメントセンター」と呼ばれます。
複数の手法を使って多角的に、複数の評価者が、参加者の行動や持ち味を客観的に観察するところがポイントです。日本でも管理職以上の職務の中途採用や研修で使われることが増えてきました。

このコラムの担当者
堀 博美
日本エス・エイチ・エル株式会社