会社の人材アセスメントを改善する5つのステップ
公開日:2017/09/04
このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HP、プレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回は、CEBブログの記事をご紹介します。
適切な社員を見つけて採用することがかつてないほど厳しくなってきました。貴社の人材アセスメントプロセスを改善すると効果てきめんです。
会社の採用チームは優れた候補者を大量に見つなければならないという大きなプレッシャーに直面しています。CEBデータによれば、成功する社員を採用するプロセスは今やかつてないほど時間とリソースがかかるものになっていますが、会社はまだそれに見合った結果を得ていません。
例えば、空きポジションを埋めるまでの平均日数は過去5年間で50%増加しました(2010年は42営業日だったものが、2015年は63営業日)が、採用者の質はほとんど改善していません-新規採用者の上司による評定点の平均は、5年前、10点満点中の7.97点だったものが現在8.02点でほぼ同じです。
人材プログラムへの投資が大きくなっているのに何故、よりよいビジネスにつながっていないのか、世界中の人事担当者は不思議に思っています。答えは、会社の人材マネジメント活動全てに統合的なアプローチを確立することです。
CEBの人事担当者ネットワークで、ある人事部長が次のように述べていました。「評価、選抜、能力開発について全社で一貫したプロセスを持っていません。それがまずい意思決定につながっているかもしれません。」
この難しい問題で人材アセスメントに関する部分を解決するには、10個のベストプラクティスが必要だとCEBは分析しています。この記事ではうち5個を紹介します。残りの5個は次回の記事で紹介します。
- サポートと専門性の土台を作る
アセスメント戦略は現実のビジネスゴールに基づいたものでなければなりません。つまり、人事部門のリーダーは社内の利害関係者と連携している必要があります。これら社内顧客の助けをかりて、人事が、社員のベースラインのパフォーマンスを測定し、時を越えての比較ができるような具体的な指標を定義します。具体的であればあるほどよいです。
人事チームが設定する目標は、例えば、「定着率を改善する」ではなく、「XYZ市場/部門/職における退職をx%減らす」とすべきです。目標をそう定義するほうが、結果を達成して投資効果を示す可能性がはるかに高いのは当然のことです。
- ビジネス上の成功を支える特性を識別して測定する
職種によって求められるコンピテンシーは異なります。適切な候補者を見つける際、アセスメント戦略は次の3つの要素を検討しなければなりません。
- ハイパフォーマンスの特性をどうやって定義するか:
会社がハイパフォーマンスを、コンピテンシーフレームワークとして定義するか、リーダーシップモデルとして定義するか、職務記述書として定義するかに関わらず、それは最新のもので全体戦略に沿ったものでなければなりません。そうすれば、社員が自分の職務で成功するために何を発揮しなけばならないのかを正確に理解することができます。 - 包括的なプロセスを用いてハイポテンシャル社員の特性を測定する:
会社は候補者のスキルや行動、パーソナリティを検討しなければなりません。特に高いレベルの職務を採用する場合はそうです。頑健なアセスメントプロセスは候補者のポテンシャル(パーソナリティと知的能力)、知識(スキルと判断力)、職務上の行動をカバーします。将来、職責は変わる可能性がありますが、それらが社員のポテンシャルを示すよい指標だからです。 - 継続的な妥当化と吟味:
職務が進化し会社が成長するにつれて、人材戦略もモニターされて常に更新されるべきです。
- ハイパフォーマンスの特性をどうやって定義するか:
- テスト結果を提示するのではなく、答えを提示する
従来の人材アセスメントは、テスト得点やパーソナリティ・プロファイルの形で結果を提示し、人事がそれを解釈しなければなりませんでした。しかし、より洗練されたやり方は、チームの目標達成に貢献できる社員で会社が空きポジションを素早く埋めることを支援するような、具体的で職務に関連する答えが出るようにアセスメントをカスタマイズすることです。
時間と共に、このタイプのアセスメントは新規社員や既存社員の強み(と弱み)についてのおおまかな像を会社に提供します。そうすれば、採用担当者はこのデータを使って人材プールの能力開発分野を見分けたり、採用や承継計画でよりよい意思決定をしたりすることができます。
- 高度な分析やビッグデータを有効活用する
ビジネス上の決定に人材分析を用いることがますます一般的になってきました。採用リーダーの70%が現在の分析データはすでに結果を出していると思っており、73%が今後2年間で分析データがはるかにより重要になるだろうと予測しています。
しかし、たとえ最良の分析ソフトウェアであっても、その良さはそこに入力されるデータ次第です。完璧な人材アセスメント戦略は、分析がプロセスに組み込まれているよう土台から設計されているものです。そのためには、アセスメント結果が中央で集中保管されており、全社的な分析のための標準的な指標があり、人事管理システムや社外の労働市場など様々なところからデータが集められていることが必要です。
- 技術の進歩に合わせてアセスメントをイノベーションする
CEBの研究によれば、適切な人材の発見に平均で30%長くかかっています。これは、採用担当者がかける時間や空きポジションを空いたままにしている時間などの点で、会社に大きなコストがかかることにつながります。
結果として、会社は常に、質や完璧さで妥協することなく採用プロセスをスピードアップする方法を探しています。人事マネジャーがそれを行うひとつの方法は、アセスメントプロセスを人材マネジメントシステムに統合することです。そうすれば、ルーチン業務が自動化され、採用にかかる全体の時間が最大50%は減ります。
採用や昇進/昇格、能力開発において、多くの企業が適性検査やアセスメントセンターなどの人材アセスメントのデータを活用しています。より大きな効果を生むためのカギは「統合」です。その時々や場面ごとに実施して終わり、ではなく、長期的にまた会社全体で横断的にデータを収集して活用することが求められます。

このコラムの担当者
堀 博美
日本エス・エイチ・エル株式会社