会社の人材アセスメントを改善する(さらに)5つのステップ
公開日:2017/09/18
このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HP、プレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回もCEBブログからの記事です。前回の続きで、会社の人材アセスメントを改善するステップ、残りの5つをご紹介しています。
応募者や候補者の評価方法を改善することによって、人事チームは会社に大きなインパクトをもたらすことができます。
これまで会社は職務の候補者を評価することに何億円も費やしてきました。しかし、適切な社員を採用できなかったことによるコストは上がり続けており、採用チームの機能に満足している管理職は3人に1人だけです。
問題の核心は、伝統的な採用プロセスがもはや、空きポジションを素早く埋める以上のことをしなければならない採用担当者にとって不適切であることです。人事活動の全ての側面でビッグデータ化が進む中、いかなる会社においても、人材アセスメントのデータ活用・分析は採用戦略の一部分であるべきです。
会社の人材アセスメントプロセス改善に役立つベストプラクティスが10個あります。前回の記事ではまず5個をご紹介しました。残りの5個について以下、説明します。
- 受検者のエクスペリエンス(経験)を魅力的なものにする
受検者エクスぺリエンス、すなわち、応募から面接を受け(合格したら)、仕事を始めるまでの一連のプロセスは、採用プロセスで見過ごされがちです。これが間違いです。
CEBの分析によれば、ネガティブな経験をした受検者の3分の1(33%)がそのことを友人に話し、12%がソーシャルメディアでその会社をけなし、18%がその会社の商品やサービスを使うことを止めます。それゆえ、プロセス全体を通してポジティブな受検者エクスペリエンスを作り出すことが会社にとって一番利益になります。そのためにはマネジャーが受検者の立場から採用プロセスを見ることが必要です。
一つのやり方は受検者を顧客とみなし、彼らを引きこむような、途切れのないプロセスを作り出し、同時に会社や職務要件、職務適性についての透明性を提示することです。受検者に大きな負担がかかるわりにはあまり見返りのない、ややこしい応募プロセスのせいで、優秀な応募者を失う会社は多いです。
- ローカルな柔軟性をもつグローバルなベストプラクティスを取り入れる
グローバルな会社は、必要に応じて例外扱いを認める柔軟性を備えた、事業部門や国を超えて統一された人材戦略をもっているはずです。例えば、ある国で受検者の英語力をテストする必要があるならば、それを適宜採用プロセスに追加する余地がある、などです。
採用から後継計画まで、グローバルで統一された人事プロセスを作ることの最大の利点は、会社が他の地域にいる高業績人材を見つけて接触できることです。標準的なプロセスはまた、グローバルのベンチマークや分析を可能にし、全社的な人事管理施策を展開しやすくします。
- アセスメントプロセスとその「成果」を評価する
会社にとって、人材アセスメントツールの定期的な評価は、採用や昇進、人材開発の意思決定が適切に行われていることを確認できることにつながります。次の3つのステップで行います。
- 計画:
単純に新しいアセスメントツールを導入して、その後ほうっておくのでは不十分です。アセスメントツールは2~3年ごとに妥当性を確認しなければなりません。社員数が一定数に達したり職務役割が変化したりした時などです。そうするためには、人事は将来の計画を立てて、ツールのパフォーマンスをモニターして妥当性を確認するためのリソースを割り当てなければなりません。 - モニター:
組織再編成や新戦略、新しい職務役割などの社内の変化に人事マネジャーが目を光らせておくと、アセスメントツールがなお適切かどうかの判断に役立ちます。 - 妥当化:
妥当化とは統計手法を活用して、アセスメントツールの成績と業績との相関を計算するものです。アセスメントツールの妥当化は、現在の測定方法に基づいて採用プロセスがアップデートされており適切であることを確保します。
- 計画:
- アセスメントのやり方を継続的に調整する
今日のビジネス環境は過去のどの時点よりも複雑です。CEBデータによれば、3分の2の会社がほんの3年前と比べて新しい異なる労働市場で採用を行っています。会社のデジタル化が進むにつれ、職務要件は毎回変化し、職務はより専門化していきます。
人材アセスメント戦略もまたこの現実を反映し、ツールやプロセスが長期的なグローバル経済のトレンド変化に合ったものであるようにしなければなりません。職務群や役割プロファイルが新しく生まれたり変化したりするたびに、人事マネジャーは社内の利害関係者からフィードバックをもらい、人材アセスメントのパラメーターがそれに合ったものであるようにしなければなりません。
- 会社にとっての人材アセスメントの価値を広げる
従来のアセスメントプロセスは、ある特定の役割にどんな候補者が適切かなど、短期的な結果に焦点を当てていました。しかし、アセスメントデータは単に採用プロセスの副産物である以上のものです。今や先進的な会社はこのデータを使って、個人やチームの能力開発の機会を創り出しています。
個人のレベルでは、アセスメント結果が新規採用者の強みと弱みを指摘することができ、トレーニング目的で活用されたり個別の能力開発計画を作り上げたりできます。チームのレベルでは、会社がアセスメントデータを使って最大限の効果を生むコーチングや能力開発活動を設計できます。例えば、もしデータが、今年の新入社員はチームワークのトレーニングが必要であると示すならば、人事はその領域にリソースを集中させることができます。
大きなテーマは「統合」です。アセスメントニーズが起こるたびにばらばらに実施して終わり、ではもったいなさすぎます。

このコラムの担当者
堀 博美
日本エス・エイチ・エル株式会社