スキルベースがよく話題に挙がりますが、実際にスキルをベースにジョブを再定義した例があれば教えてください。
スキルベースがよく話題に挙がるとは、世界の最先端企業にお勤めでいらっしゃると存じます。スキルベースを導入している企業はまだ世界でもわずかしかありません。日々移り行く有用なスキルと日々成長していく人々のスキルを更新し続けることの困難さ、スキルをベースにした報酬や評価の難しさなどが普及を妨げている要因と考えています。
そんな中でも、当社が行ったスキルベースによるジョブの再定義についてご紹介します。
当社の営業職はHRコンサルタントという職種名で、顧客への提案、契約、プロジェクト管理、プロジェクト実務、顧客サポートなど提案からコンサル実務、サポートまでの全てを担います。評価は主に年間の売上目標の達成率によってなされます。提案し成約するという業務の前半部分を頑張れば、会社から評価される仕組みになっているのです。このような仕組みにもかかわらずコンサルタントの中には、受注後のプロジェクト管理やその実務および顧客サポートを丁寧に行い続ける人がいました。彼らは常に顧客から高い信頼を得るのですが、売上目標は未達成となり、低い評価となっていました。
提案スキルの高いコンサルタントとプロジェクト管理及び実務スキルの高いコンサルタントの役割(ジョブ)を分け、それぞれの高いスキルを発揮してもらうことが組織全体の生産性向上につながると私は考えました。8名の大手企業担当セールスチームを担当する3名のプロジェクトマネジャーチームを作りました。この結果、セールスチームの8名は、ひとりにつき約40日分のプロジェクト業務から解放され、その時間を提案業務に充てることができました。

このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員