一時、人事部門の人員体制として、採用と育成を切り分ける(それぞれ別の担当が就く)ことを是とするような風潮がありました。それがここ数年で、その逆の流れが出てきているように思います。これについてどうお考えですか?
そのような風潮があったのかは存じませんが、バブル期の大量採用の時代には、採用するだけでも手一杯で育成までは手が回らないので分担したかもしれません。
少数精鋭採用で質重視の現在は将来の少子化も視野に捉え、むしろ手間かけて採用した優秀な人材をいかに欠けることなく成長させ幹部として育てるかという観点から、採用時に本人の適性や希望などを把握している採用部門がそのまま配属、3年目までの育成期間の面倒をみるというように変化してきています。採用規模の面でのフォローできるのであれば、特に入社後3年ぐらいまでの「修行時期」は育成面でも採用担当が引き続き担当する、あるいは部分的に支援するという方がよいのではないでしょうか。いまの、「ゆとり教育世代」は年配者と接するのが苦手です。採用の時に自分とウマが合った採用担当者や先輩とのやり取りで、自分がその会社の雰囲気に合っている、自分の思いが全て会社に受け止められたと勝手に?考えて入ってきますので、配属先でそれまでの選考中のやり取りなど一切無視した新人教育やOJTを受け、ある人はショックを受け早々脱落してきます。しばらくは、「君たちを選んだ我々(採用担当者)がみているから、現場でもしっかり頑張ってね。」という視線を新人たちに送る必要があります。
人事部門のコスト効率の面からも採用と育成とを兼ねることで効率化が図られると思います。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長