結局、採用時期はいつが一番良いのでしょうか。学生の勉学の邪魔になるから4年の夏という意見や、理系の研究の邪魔になるから4年の春と言う意見、4年の10月以降では卒業までに就職が決まらない学生や採用が終わらない企業が出てくるという意見、色々ありますが、最適な時期は結局いつなのでしょうか。
誰にとって最適かということですが、企業側、学生側、大学側全てにとってベストの時期はないと思います。大学生の本分が学業にある。学生時代にしっかりと社会で活躍できる力をつけてほしいというのであれば、卒業後あるいはほぼ卒業が決まる4年次の卒業前の春になるでしょう。欧米のように、新卒というだけでは戦力になるとは限らないので、就職前提のインターンシップが前提、あるいは第二新卒、既卒者と同じ扱いで実力次第ということになれば在学中から就職活動がスタートし、一括採用がなくなります。
企業側が新卒の一括採用、入社後の同時研修、教育実施といった制度を見直し通年採用にすれば、時期の問題は解決しそうですが、卒業までには長期雇用してくれる勤務先を決めたいと学生側が強く望むなら、採用が決まるまで入学直後から「通年」で就職活動する学生が増えるだけかもしれません。
結局なぜ大学に行くのか。大学教育とは何なのかという問題に戻るのではないでしょうか。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長