現場にかける人数も少ないこともあり、新人育成のために行っているOJTがうまく機能していないように思える。OJTをうまく進めていくコツなどあるでしょうか?
OJTという名の下にデタラメな育成をやる企業を多く見かけます。
定着率も低く、育成のノウハウも身につかないため本人の資質と生き残りだけに頼る「ソルジャー採用」と自分は呼んでいます。
OJTにはいくつかポイントがあります。
1)記録を取って成長を把握させること(同時に記録を取る習慣を新人のうちに身につけさせる)。
できないことが出来る様になっていくことで環境に対する感謝が生まれてより能力を吸収する土台ができあがるからです。
2)かならず教える側がやって見せること。
ただ目標を与え「やれる、できる、俺も新人の頃やった」という育成担当者は即刻更迭すること。その場、その時点で手本を見せて実践して本当に教える側がその目標をクリア出来ることを見せることです。出来もしない、やりもしない目標を与える人間など英語が話せない英会話の講師のようなものです。役立つかどうかすぐに解るでしょう。
3)OJTを受ける側から見て育成担当は常に一人であること。
何名かの育成担当があれこれ口を出す、別の上長が現場に出てああだこうだ言うなどは御法度。育成を理解していない人など先輩社員なら誰に聞いても良いとか不適当なことを平然と言います。成長を見守るのは一人で十分。朝顔を育てるのに2名担当がいたら余計な水や肥料を与えて育たなくなります。
4)業務の能力は業務でしか身につかないこと。
社内にいて勉強会をやって業務の能力を身につけようとする、OJTと反対の行動を取る人がいます。これは先輩社員が知識と経験を見せつける(威厳を保つため)ためにやりたがるのです。実践だと知識や経験を超えて新人の方が優秀なケースもあります。自分が新人のころ、社内の勉強会があまりにも不愉快で会社に食い付いたことがあるくらいです。お手本は実践で見せる。口では無く先輩は結果で信頼を得る。新人は経験者より優秀かも知れないという目で見る。だから「新人ちゃん」とかいう人は育成のセンスがありません。こんなことはプロの世界では当然です。
5)誰もが伸びる能力を持っていると信じる。
あいつはいい、こいつはダメと勝手にポテンシャルを決めつける人がいます。確かに同じ仕事を10年もやって成果が出なければそれも良いでしょうが未経験かつ社会やその組織に慣れる段階で決めつける思考回路が理解出来ません。この人はダメと思って接したら本当にその人は伸びなくなります。育成にとって先入観はあってはならないのです。OJTだけではなく育成のキモの部分です。
他にもまだまだあるのですが特に重要な点だけを回答しました。

このコラムの担当者
三條 正樹
日本エス・エイチ・エル株式会社 取締役