タレントマネジメントに関する取り組みで成功例があれば教えてください。
【事例1】 専門商社/新卒採用――「早期戦力化人材を採用したい」
課題
法人営業職を中心に新卒採用を行っている。長年、面接重視の選考を行ってきたが面接評価と入社後の成果が異なるケースが目立ってきたため、選考手法の改革が必要となった。
具体策
採用応募者数が多く、面接を増やすことは不可能。Web適性テストを初期選抜で使用することとなった。事前に現職の営業社員を対象に戦力性分析を行い、採用基準を明確化した。
選考時はパーソナリティ検査OPQを実施し、営業適性基準に合致するを優先して面接を行った。
戦力性分析結果
戦力性分析によって以下のコンピテンシーが優秀営業社員の行動特性であることがわかった。
- 状況適応力:どんな人や状況にもうまくあわせて行動できる。
- 統率力:自分の考えている方向へ人の考えを動かすことができる。
- ヴァイタリティ:気力体力に優れ、行動的である。
成果
初年度は一部地域のみこの方法で導入し、その他地域では従来の方法で採用した。
新人の入社後1年間の個人売上平均を前年と比較すると、その他地域では変化がみられなかったのに対して、実施した地域では約10%の増加がみられた。
【事例2】 食品メーカー/マネジャー登用・能力開発――「マネジメントを強化したい」
背景
グローバルリーディングカンパニーを目指し人事制度を刷新。イノベーションを起こせるマネジャーの育成を目指した。
マネジメントコンピテンシーを明確化し、適材配置を実現し、自己開発を促す必要があった。
具体策
- 部門階層ごとにコンピテンシーモデルを作成
全社員のWebOPQ受検、高業績者およびマネジャーへのコンサルタントによる個別ヒアリングを実施。OPQ各因子得点と業績との相関分析を行い、ハイパフォーマーの行動特性を統計的に抽出し、ヒアリング結果を加味してコンピテンシーモデルを作成した。 - OPQを活用した能力開発システムの導入
社員が自らアセスメントとデベロプメント(能力開発)を実施できるシステムを導入。このシステムでは、社員が自ら職務適性を把握し、最適な能力開発プログラムを受けることが出来る。オンラインでOPQを受検し、その場でフィードバックを受けることが出来るシステム。 - OPQデータを活用した人材配置の実施
従来から考慮していた職務経験、業績、意欲に加え、コンピテンシー(OPQ得点)を加味した人事異動を実施した。
成果
- 能力開発
コンピテンシーの客観アセスメントによって、納得感の強いフィードバックが可能となった。
本人が目指すキャリアに対して能力開発すべき点が明確になり、研修プログラムへの参加者が増加した。また、上司との面談が円滑に行われるようになった。 - 人材配置
OPQ結果を加味することで、従来はあまり行われなかった革新的な人事異動がなされるようになった。

このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員