仕事の手順やテクニックなど、表面的なことだけを教えて育成担当の役割を果たしていると勘違いしている社員がいる。一人ひとりの特徴に合わせて、意欲形成、能力開発を補助する役割を期待しているが、そこまで出来ている人は少ない。「育成担当の育成」に有効な方法があればご教授頂きたい。
育成担当は誰を見てそうしているか考えてみてください。
育成担当はまずその環境の先輩を見て行動の下地を作ります。
同じミッションを与えても行動が異なるのは手本にしている先輩や組織風土が強く影響しているからです。育成担当の個性や能力は個人のパフォーマンスとしてその先に関係しますが一旦は度外視したほうが育成という部分はよく見えます。
仮に問題解決策として「育成担当の育成」のために講義を行い、理解したようなリアクションがあったとします。
それでもその理解を行動に移せるかどうかは環境に大きく依存します。
ご質問の通り、仕事のテクニックなど教えようとしている時点でその環境はそういう部分を偉そうに言うことがヨシとされる組織風土なのです。そこを上長が指摘してある一線を超えないようにしなくてはなりません。その一線をどうするかが組織風土を決定づけます。
育成担当は与えられたミッションやテキストを何度も読み直し、指導する人の悪癖をつけないように注意を払いつつ能力を開花させる指導をしなくてはなりません。その指導とは適切な目標設定と観察、そして育成担当や上長が常に最高のお手本となること。意欲形成などそれさえできていれば意識する必要すらありません。そこまで理解して行動できるようになれば育成担当の育成は十分です。

このコラムの担当者
三條 正樹
日本エス・エイチ・エル株式会社 取締役