なぜ「育成」という観点が欠如している役職者が多いのか。
大きな理由は二つあります。会社から結果を求められているからと短期的効果が不確実な投資だから、です。
出来ない人に仕事をさせて出来るようにすることが育成です。役職者は育成を短期の成果創出に非効率的なものと考えています。出来る人に任せれば確実に結果が出る。出来ない人に任せれば結果は不確実になる。結果責任が問われる立場ではどうしても前者を選択してしまいます。
役職者の方に自分の成長機会になった経験を質問すれば、全員はっきりとその経験を語ることが出来ます。つまり、自分自身が「育成」された仕事や環境についての認識を持っているのです。しかし、その仕事や環境は偶発的、個別的なもので、同じものを部下に組織的継続的に提供することは不可能であり、仮に出来たとしても全員が短期的に成長するとは思っていないのです。
これが役職者に「育成」という観点が欠如しているようにみえる理由です。役職者に組織の長期的な成長責任と人事権を与えれば、育成の視点が欠如しているわけではないことがよくわかるはずです。

このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員