毎年、面接官の研修を行っています。はたして数時間の講義や演習で十分なのか?と疑問に思っています。時間と費用を十分にかけられることを前提にした場合、どのような育成方法が効果的でしょうか。
面接はスポーツやマネジメントと同じで理屈だけ知っていても機能させられません。体を動かすようなものだと思ってください。
一部には理屈を知らずに良い面接をする人も存在します。その場合、技術を他人に継承していくことができません。よって技術と知識の両輪が必要です。
回答ですが、数時間の講義や演習では全く不十分です。大半は実技ができないからです。見様見真似でなんとなく面接をしてなんとなく評価しているだけです。日本の採用面接の70%(あくまで個人の感覚値)くらいはこの見様見真似だと思います。
ずいぶん前ですが仕事柄面接映像を何度も見ました。
面接の技法の知識は持っていても、応募者の良さを引き出す莫大な知識を持たず相手を緊張させることしか才能の無い面接官が世の中にあふれかえっています。
効果的な育成方法とはなんでしょうか?それは振り返りです。
実際に面接した人がその後どうなったか、評価通り活躍したか(評価が抽象的では意味が無い理由)を検証して磨きつづけた人だけが一定水準の面接官になります。
途中検証が嫌になる、怖くなる、結果の乖離から目を逸らす、配属先の現場のせいにする人は面接官失格です。
面接結果は必ず検証してください。検証すると面接官が萎縮して誰もやらなくなるというのであれば、その誰もが面接官に向いていないのです。選抜から見直すべきです。少なくとも検証作業については自分が育成されてきた環境では当然でした。
もう一点。面接官には幅広い知識が必要です。知識や興味関心が無いと面接で相手の懐に入っていけません。相手が興味の無い話を情熱的に話せる人など居ません。人の本質を見えなくします。好奇心、知識欲のない人は面接官として一流になることはないでしょう。

このコラムの担当者
三條 正樹
日本エス・エイチ・エル株式会社 取締役