ロジャースの「自己概念は行動を規定する」という考え方と、ジョハリの窓の「自分は自覚していないが他者は認識している部分」はどのような関係にあるのでしょうか?自覚していない自分があるのならば、自己概念が必ずしも行動を規定しているとは限らないのではないかと思うのですが。
人は自己概念にそった行動をとります。自己概念は生来のものではなく、後天的に身に着けてきたものなので、時には不適切な周囲の言葉に影響を受け、歪んだ自己概念を形成することもあります。歪んだ自己概念に基づく行動は、本人の期待と異なる周囲の反応や結果を引き起こし、自己概念と経験が不一致な状態を引き起こします。
カール・ロジャースは自己概念と行動の不一致が解消された状態を望ましい状態と考え、来談者中心療法というカウンセリング理論を作りました。
ジョハリの窓は、対人関係の気づきに関するモデルです。自己理解の促進に活用されます。
自覚していない部分が自己概念を歪めているとすれば、適切な自己理解を促すことにより歪みのない健全な自己概念がもたらされます。自分が気づいていない部分を正しく認識することにより、自己概念が変化すれば行動は変わっていくのです。

このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員