自律型人材の育成にあたり、人事がまずやるべきことは何でしょうか。
まずは、御社がお考えになる「自律型人材」の定義をしっかりつくることです。読んで字のごとく「自らを律し、自ら考え行動できる人材」では抽象的でわかりません。「自律型人材」といっても企業によって定義は異なります。
御社の将来の事業の方向性、必要な組織の在り方から導きだすのであれば、経営トップ層にインタビューしてみて下さい。あるいは、すでにこういう人材こそ「自律型人材」と評価されている人材がいらっしゃるならアセスメントを実施し分析を行い、そうした人材に共通の必要なコンピテンシー・スキルを整理して定義して下さい。
要件定義ができても具体的な選抜方法、育成手法が用意されなければ実現されません。育成では、これまでの OJT教育の見直しから入るべきでしょう。事業そのものの急速な変化はもちろん、コロナ禍によるテレワークの定着やDXの促進で働く環境も急激に変化しています。長年先輩から引き継いだ業務のスキルの伝授では対応できなくなりつつあります。入社者自身の仕事観、働き方に対する意識も大きく変わってきています。こうした点を踏まえて、マインドセットの教育システムへ転換して下さい。今後は、組織課題に自らが考え取り組み成果を出していかなければなりません。学習支援といったシステムも必要になるでしょう。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長