大手企業での副業の解禁が進むと、中小企業にはどのような影響があると思いますか。
どのような影響が出てくるかは、まだわかりません。副業として複数社の業務を行った場合の残業時間の管理や労働災害が生じた場合の扱いなど法的な仕組もまだ十分に出来上がっていません。
比較的待遇に恵まれている大手企業では、副業も社員のキャリア構築にプラス、会社としても社外のノウハウを受け入れる機会が増えるといったメリットを打ち出していますが、「今後は賃金のアップは見込めません、生涯雇用はできません」といった厳しい事業運営を迫られている企業では、副業なんてもってのほか、正業に打ち込んでほしいと望むでしょうし、社員は、減った賃金分を補うために会社に黙ってバイトに精を出すかもしれません。
各種のシェアサービスに従事する個人事業者が安定していないのと同様に副業で働くということにもいろいろな側面が出てくると思います。中小企業では、副業OKは資格やスキルをもった社員が多いITベンチャー企業といったような一部の企業になるのではないでしょうか。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長