近年「共感採用」(求職者が共感するかどうか)の手法としてもSNSでの採用活動なども目立ちますが、デメリットを挙げられるとするならばどのような点になりますでしょうか。
最近、パーパス経営がキーワードになっているように、働く側が企業の経営に対する考え方に共感できるかどうかが企業選択のポイントになってきています。優秀な人材に長く定着してほしいという点はもちろん、採用に関してミスマッチをできるだけ減らしていきたいということもあるでしょう。求職者や潜在的転職希望者に対してSNSを通じて会社のヴィジョン、ミッション、バリューを伝え理解してもらったうえで応募してほしいという企業も増えているようです。
ただし、いくつかのデメリットがあります。まず、すぐにでも転職したいと考えている人たち、特に賃金や配属ポジション、福利厚生面などの待遇条件を重要視している層には、こうした企業風土的な情報はあまり刺さりません。また、内容について理解してもらうには時間がかかります。とくに双方がSNSを通じて情報のやり取りをする場合などは顕著です。
しかも共感を熟成できたようでも、実際働いてみたわけではないのでミスマッチはゼロにはなりません。ミスマッチを防ぐには、一定の試用期間の設定やインターンシップ実施など実際に組織の中に入って業務に携わってもらわないと無理でしょう。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長