社員の戦略的な能力開発を進めるべくプロジェクトを進めたいのですが、現場から個々人の適性を踏まえて戦略的に育成できるほど育成側の人的・能力的リソースに余裕がない、という意見をいただきました。こうした組織にこそ戦略人事が必要なのに、と思いますが何か良い推進策はないでしょうか。
現場からリソースが足りないという声はよく聞かれます。かといって上部からの指示だけでプロジェクトを動かそうとしても現場がついてこないということもあります。
それなら外部のリソースを使えば良いのでは、では回答になりませんね。
まずは限られたリソースを最大限活用するためにもプロジェクトのターゲットを限定できないか検討しましょう。
「戦略的な能力開発」とはどういうものなのかを定義するために、現状の能力開発プログラムでどのような能力開発が行われており、どのような成果を出しているのかを把握する必要があります。同時に社内の人材の棚卸を行い不足していると思われる能力、必要とされているのに育成がおいついていない能力を洗い出し、その開発を優先的にどのようなプログラムで行うべきかの検討します。こうした人材の棚卸は人事部門が主導で行える部分ですから、これにもとづいたプロジェクト案を経営トップ層に提案し、承認の上で現場におろしてはいかがでしょうか。各組織で情報共有を行いリソース的に対応可能な範囲でスタートさせることが大切です。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長