キャリア自律支援を行う企業が増えてきました。日本社会の人材流動性を高めるためであれば理解できますが、中小企業がやる意味がわかりません。
キャリア自律支援は概ねエンゲージメントを高め、定着を促す効果のある施策です。この取り組みが退職の誘因につながるケースは限定的です。転職活動をして明らかに高い待遇で望んだ仕事ができる会社から内定がもらえるケースが該当しますが、そんな都合の良い話はそうそうありません。
このご説明は、キャリア自律支援が退職につながることを懸念する方に対する説明です。一方、中小企業こそローパフォーマーを部署異動させてうまく活用できる可能性が低いので、本人が納得して自ら進んで退職する状況を作る必要があるという考え方もあります。中小企業にはうまく活用できない社員を抱える余裕はないからです。
キャリア自律支援を退職勧奨のために行うのは間違った行為ですが、結果的により活躍が期待できる他社に従業員が目を向ける機会となるのは望ましいことだと考えます。

このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員