ジョブ型人事制度が向いている企業、向いていない企業の特徴があれば教えてください。
その会社の事業内容や規模によっても違うと思います。
ジョブ型人事制度がかなり広まってきているとはいえ、すべての企業に合ったものとは言えないでしょう。
向いているのは、やはり専門職が多い企業です。ジョブ型の定義がしやすいですから。
技術職や専門職が中心の企業では、職務内容が明確で連動する評価基準も明確にできます。また仕事の成果や貢献度がはっきりしていて評価がわかりやすい企業に向いています。
グローバル企業は、多様な人材を活用する必要があり、まさにジョブ型制度で運用しないと回りません。
逆に向いていない企業は、いまだに年功序列や終身雇用的な要素が残っている企業でしょう。人事制度を変える努力をしていても役職や待遇が勤続年数前提の仕組みであったり、中途採用に熱心でなかったりではジョブ型は定着しません。
チーム全体でのパフォーマンスを重視する組織では、ジョブ型の個人の役割分担がチーム連携の妨げになることもありますし、これから変革、成長していくスタートアップ企業やベンチャー型企業では変化が激しく、固定したジョブ型ではなく成長に応じて幅広い経験しキャリアを形成していく人事制度の方が向いている場合もあります。
自社の事業内容、職務内容、組織風土にあった人事制度を進めていくことが肝要であり、ジョブ型とメンバーシップ型の混合ハイブリッド型もあってもいいはずです。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長