コラム

人事コンサルタントの視点

「ストレス対処法」を用いて適切にストレスコーピングを行う

最近、新卒採用業務に携わる人事ご担当者さまと関わることが多くあります。
各社各様ですが、
  • 夏に実施したインターンシップやオープンカンパニー参加者向けに、次の一手を検討中。
  • 秋ごろに実施するイベント内容、参加者の募集・選抜手法を検討中。
  • 一部、早期選考を実施するかどうか、時期や手法含め検討中。
  • 2025年度新卒採用内々定者の中で、承諾後の辞退が発生。
と、様々なことに翻弄されつつ、かなりお忙しくされているご様子です。
第三者から見て、極めてストレスフルな環境下であるとお見受けします。

もし、そのような状況下で、かつすでに当社の「ストレス耐性リポート」がお手元にあれば、是非あらためて眺めていただきたい項目があります。「ストレス対処法」です。ストレスへの対処の一助としていただければと思い、今回は標題のテーマを掲げております。

ストレス耐性リポートとは

「ストレス耐性リポート」は、パーソナリティ検査OPQから出力できるリポートです。受検者のストレスについての理解を深め、その結果を人事施策に活用することを目的に開発されました。
ストレス状態は、自分がこうあってほしいと思うけれどもそうならないときに、人が感じる「いらいらした状態」と定義されます。そしてストレス要因(ストレッサー)は人によって異なります。つまり同じ状況であっても人によってストレス反応やその強さには違いがあるのです。物事が起こったときの受け止め方、立ち向かい方はいずれもパーソナリティの影響を受けます。「ストレス耐性リポート」では、OPQ によるパーソナリティの個人差データに基づき、次の指標を提供しています。

  1. ストレス要因
    受検者がどのような活動・条件・環境をストレスに感じやすいかを、①職場環境要因、②仕事要因、③人間関係要因の3 つの要因から把握します。

  2. ストレス対処法
    受検者が、ストレスにつながるような場面で、どういう行動・認識をするかを把握します。

今回は、「ストレス対処法」について取り上げます。

ストレス対処法とは

ここで用いている対処法という言葉は、ストレス要因やストレス状態を処理するためにとる行動と認識という意味あいで使っています。心理学者リチャード・ラザラスは、大きく2つの対処法があると指摘しています。1 つは、問題そのものに対してぶつかってゆこうとする「問題中心型」対処法です。もう1 つは自分の心の平静さを維持しようとする「感情中心型」対処法です。
研究の結果によれば、人はストレスに対して単純な形では対処せず、必ず複数の対処法を組みあわせようとします。このときに、事態の評価の仕方、とりうる手段として思いつく案とその選択は、パーソナリティによって差が出ます。
リポートでは、OPQ のプロファイルから推論されるその人の「得意とするストレス対処法」に関する指標です。

ストレス対処法の種類

以下に、8項目のストレス対処法とその具体例を示します。具体例は「採用担当者として対処しきれるぎりぎりの過密スケジュールに置かれ、ストレスを感じている場面」を想定したものです。

  1. 勇気をもって立ち向かう
    逆境に立ったときに、勇気を奮い起こして、問題そのものに取り組む。直接、相手の考えに対決して、その考えを変えさせようとする。

    例:あらためてタスクを分析し重要度を整理し、重要度が低いものについてアウトソーシングや実施可否の再検討をするよう社内調整を行う。

  2. 距離をおいて見る
    今いる状況から自分を離して眺める。物事の明るい楽観的な面に目を向けるように努力する。

    例: 5分間一人になって深呼吸し、第三者として自身を眺める。「応募者がいること自体は良いことである」「そもそも仕事として任されていることは良いことである」「これを冷静に対処しきれば、次のキャリアに役立つ経験となる」と考える。

  3. 冷静に自分を保つ
    自分の感情や行動を抑えて、表に出さない。不当な批判を浴びたような場合であっても冷静に自分を保ち取り乱さない。

    例:20分間の休憩を取り、一人になって深呼吸し、自分の感情に目を向ける。「なぜ自分だけこんな目に」あるいは「自分はこんなことに翻弄されていてダメではないか」等、自分の中の不満や不安の声に耳を傾ける。その声を、落ち着いて深呼吸しながら冷静に聞き続けることで、徐々に徐々に解消していく。

  4. 胸襟を開いて助力を求める
    自分だけで問題を抱え込まないで、人に率直に話して援助を求め、アドバイスや共感を勝ち取る。

    例:上司や同僚、部下に業務に直接協力してもらえるよう相談する。他部署にいる同期社員、社外の友人(SNSでつながっている採用担当者含む)や知人で対人感受性が高そうな人に嘆く。

  5. 責任を認める
    問題に対して自分の責任を認めて、逃げない。それによって物事を打開したり、同じ間違いや問題を繰り返したりしないように決意する。

    例:この業務、責任を引き受けているのは自分であり、またこの状態を作った(もしくは合意した)のも自分であると冷静に解釈し、今後同様の事態にならないために何ができるかを考える。自分自身を非難するのではなく、事象を分析的に捉え、部分的に批判するのがポイント。
    ※この対処法一辺倒の方は、負荷が大きくなると気付かないうちに対処しきれなくなる可能性が高いので注意が必要です。

  6. 他のことに目を向ける
    つらい状況や嫌な問題にいつまでも悩まない。楽しいことや自分の好きなことに目を向けようと努力する。

    例:退勤後や休日には仕事のことを一切考えず趣味に没頭する。動画配信サービスなどは、夜更かしや運動不足になりすぎないように注意が必要。旅行はよいが、長期旅行からの仕事復帰につらさを感じる方は日帰り旅行がベター。

  7. 着想豊かな解決案をつくる
    よく問題を見極め、問題そのものを解決する案を工夫して打開する。その解決案を実行するために自分ができる努力を増やす。

    例:現在おこなっている施策の質と量が適切かどうか精査する。不要なものはやめる。社内外の協力者に任せる。自動化を試みる。

  8. プラス思考で打開する
    人間的に成長する、変貌することの利益に注目して、努力する。危機をチャンスと見て前向きに努力する。

    一連の業務を経験できる貴重な機会だと認識する。自社の採用活動について社内外の専門家にみてもらい、フィードバックをもらって成長の機会とする。


そもそも、何をストレス要因だと感じやすいか、そして得意とする対処法には個人差があり、また対処法においては、現実的に取りやすいものとそうでないものが存在します。
当社「ストレス耐性リポート」の結果がお手元にあってもなくても、今回の記事が、皆様の業務にとって前向きになる一助になれば幸いです。
内田 敬己

このコラムの担当者

内田 敬己

日本エス・エイチ・エル株式会社
HRコンサルティング1課 主任

メールマガジン登録

日本エス・エイチ・エルのメールマガジンではタレントマネジメント・人材採用に関する様々な情報を発信しております。

メールマガジンに登録する

組織人事や採用の問題解決は
日本エス・エイチ・エルに
ご相談ください

サービスをもっと知りたい方

資料ダウンロード

サービスの導入を検討している方

お問い合わせ