コラム

人事コンサルタントの視点

エンゲージメントに直結する従業員支援のヒント ~産業カウンセリングの視点から~

公開日:2022/05/20

「従業員支援」というとメンタルヘルス対策を思い浮かべる人も多いかと思いますが、実際はキャリア支援や能力開発の支援などその領域は多岐に渡り、従業員のエンゲージメントの向上につながる取り組みです。本コラムでは、従業員支援を現場レベルで実施する際に心得ておきたいポイントをお伝えします。

日本における従業員支援制度

これまで日本の人事に関する取り組みは、オンボーディング、ジョブ型雇用、1on1ミーテイングなど、主にアメリカなどを参考とし取り入れてきた部分もありますが、すべてをアメリカ同様に行っているのではなく、独自の文化や価値観を踏まえて実践しています。
下記の表のとおり、産業カウンセリングの視点における従業員への支援もそうです。

表1:日本とアメリカの産業カウンセリングの比較 参考文献:中澤次郎(2008).『産業カウンセリング入門 改訂版-産業カウンセラーになりたい人のために-』.日本文化科学社

産業カウンセリングとは、
・仕事や職場の人間関係などから生じるストレスや心の問題に対するカウンセリング(メンタルヘルスカウンセリング)
・産業社会における生き方の設計や近年の人事制度や組織の変更に伴う職業生涯における生き方の再設計とそれに対応する能力開発を支援するためのカウンセリング(キャリアカウンセリング)
・産業場面におけるカウンセリングマインドの普及や啓蒙
など大きく3つの領域・機能に分けられ、働く人々が自らの力で問題を解決できるように援助することを言いますが、普及状況や企業側の理解、カウンセリングにかかる費用などアメリカと比較すると、日本においては十分普及しているとは言えません。

昨今における従業員支援の必要性

「人生100年時代」「変化が激しく先の読めない時代」と言われている中で、企業が従業員の支援を行うことは必要不可欠となっています。
2015年、企業には「ストレスチェック制度」が導入され、2016年には「キャリアコンサルタント」が国家資格となるなど、国の政策においても従業員支援の潮流が生まれていますが、とはいえ現状は、多くの企業に十分専門的支援が行き届く状態にあるとは言えません。
主に従業員の上司や人事担当者などが個別に1on1ミーテイングや面談等で対応している現状においては、少しでもその時間が有効となるよう準備をしておくことが重要です。

ロジャーズの来談者中心療法の観点から

カウンセリングの場面で最も親しまれている「来談者中心療法」で述べられる、相談援助において大切な態度条件というものがあります。
これは従業員の上司や人事担当者などが1on1ミーテイングや面談等を行う際にも心構えとして持っておきたい要素です。

1、「純粋さ(genuineness)」又は「自己一致(congruence)」
話を聞く側は、率直で透明な心で接すると相手も心を開き両者に信頼関係が作られます。
2、「受容(acceptance)」
話を聞く側は、自分の枠組みや価値観にとらわれずに、もっぱら相手の考えを受け入れ、温かい思いやりの心で接します。「無条件の肯定的関心」とも言います。
3、「共感的理解(empathic understanding)」
相手について理解するのではなく、彼とともに理解するという姿勢で、共感する心で理解することが大切です。

さいごに

日本エス・エイチ・エルのパーソナリティ検査の受検結果は、本日ご紹介したような上司や人事担当者が従業員の支援を行う場面においても補助道具として利用することができます。
相手との信頼関係、相手への肯定的関心、共感的理解の創出のために当社のOPQを是非ご活用ください。

森 華世

このコラムの担当者

森 華世

日本エス・エイチ・エル株式会社

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