テレワーク下でのオンボーディング:新入社員の配属と育成
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2020年、新型コロナウイルス感染症の拡大により、テレワークが急速に拡大しました。現在も予断を許さない状況の中、テレワークと出社勤務のバランスをとりながら仕事にあたる企業が多いかもしれません。
このような中、「テレワーク下で、特に新入社員の特徴がわかりづらく、育成がしづらい」というご相談が多くなってきました。オンボーディング(新入社員が組織になじむためのサポート)は、通常勤務下でも難しいものですが、新入社員の顔が見えづらくなることで、さらにサポートがしづらくなったと感じる方が多いようです。また、配属先の決定や申し送りに関しても、新入社員の特徴がもっとよくわかる資料が欲しい、というお問い合わせが寄せられています。
そこで今回は、新入社員の特徴に基づき、つまずきやすいシーンや周囲のサポートのコツを出力する育成用帳票「TAG(タッグ)」をご紹介します。

長所と短所は背中合わせ
採用担当の皆様は、当然ながら学生の強みやアピールポイントをよく理解したうえで、入社まで寄り添ってこられたと思います。しかし、その強みは入社した瞬間からいかんなく発揮されるわけではありません。たとえば、選考で非常に説得力のある理論を展開していた新入社員が、入社したら「理屈っぽく、我が強くて扱いづらい」という評価を受けるかもしれません。柔和さや協調性を持った新入社員は、他者からの評価に敏感で傷つきやすいという面を見せるかもしれません。受け入れ先の上司・先輩方は、「優秀な新入社員と聞いているのに・・・」と思うかもしれませんが、これはその新入社員が持っている一つの個性を、長所とみたり短所とみたりしているだけなのです。
「つまずきやすい部分」に光を当てる
TAGは、新入社員のパーソナリティに基づき、つまずきやすいシーンや、コミュニケーションの取り方の特徴、上司や先輩のサポートの仕方をアドバイスする帳票です(当社のパーソナリティ検査をご利用の企業は、選考時の受検結果から出力することもできます)。参考に、筆者のパーソナリティをもとに、TAGの帳票を出力してみます(サンプル帳票PDF)。一般的に強みとされる特徴が、場合によりつまずきの原因となったりすることや、その際に上司や先輩がどのようにサポートすべきかが、文章でまとめられています。TAGが使えるシーンには以下のようなものがあります。
①配属:強みだけでなく、つまずきやすさが予想される点にも注目して、配属を行いましょう。たとえば、同じ営業職への配属であっても、リーダーシップ性が強いタイプ(その分自己主張が強く、納得しないとなかなか動かない)なのか、協調性の高いタイプ(その分自主性が弱く、指示がないと動けない)なのかで、適した上司、適した先輩、適した営業先・・・などは異なるでしょう。TAGに出力されるサポートを無理なく行えるのは誰なのか、どこなのか?ということを考えて、ぜひ配属に活かしてください。
②育成:人事や配属先の上司・先輩が新入社員のTAGを参照することで、研修中や配属先でのサポートに用いることができます。たとえば、初期の目標設定に関して、細かく目標達成までのプロセスを指示したほうがよいのか、目標を与えたら好きにさせるほうが伸びるのかという個人差を把握することができます。また、なぜ新入社員がこのようなことを言うのか、行うのか?という裏側が見えてきますので、無用の軋轢を生むことなく、効果的なコミュニケーションをとることができます。テレワークで新入社員の様子が目視しづらい状況であればこそ、ぜひ彼らの行動傾向(パーソナリティ)を把握して、育成計画を立てるようにしてみてください。
個性を長所として輝かせるオンボーディングを
TAGを使うポイントは、「つまずきやすいポイントは、長所の裏返し」であると考え、短所を直させるのではなく、個性が長所として機能するような環境を与えてあげることです。たとえば、計画性がなく行き当たりばったりの新入社員に対しては、計画のヌケモレをフォローしたり、管理に便利な仕組みを教えてあげるだけでなく、臨機応変さや柔軟さが活きるような職務にアサインしたり、そのような能力が発揮されたときに褒めるといった調子です。可能であれば、上司や先輩社員もパーソナリティ検査(「万華鏡30」がおすすめです)を受けてみると、自身の特徴について知ることができます。「自分は指示指導は得意だけど、コーチングは苦手なタイプなんだ」というようなことがわかるだけでなく、「自分はどちらかというと創造性に乏しいタイプなので、新入社員のアイデアを正しく評価できていないかもしれない。〇〇さんに意見を貰うよう勧めてみよう」といったふうに、より新入社員の個性を輝かせることができるマネジメントができるようになるでしょう。
参考事例:初任配属への課題意識から、全社のコミュニケーション改善へ。岡谷鋼機の全社員アセスメント。
育成用帳票「TAG」に興味をお持ちの方は、担当コンサルタントにお問い合わせいただくか、こちらから資料をご覧ください。

このコラムの担当者
佐藤 有紀
日本エス・エイチ・エル株式会社