コラム

人事コンサルタントの視点

ハイポテンシャル人材(3)

前回はハイポテンシャル人材の選抜をテーマに、求められる3つの要件とそのアセスメント手法について述べました。今回は能力開発とエンゲージメントの向上がテーマです。

能力開発する

能力開発についても検討が必要です。プログラム参加者の64%はハイポテンシャル人材プログラムを能力開発施策としては不満と感じています。全員一律の研修が参加者個人の開発ニーズを満たしていないことや現場のパフォーマンス改善につながらない研修内容がその原因です。
能力開発プログラムとして、多くの会社はオフサイトのワークショップ、集合研修、コーチング/メンタリング、eラーニングなどを検討しますが、学習の70%は経験から、20%は他人から、10%が研修から(70:20:10モデル)のものです。研究ではオンザジョブラーニング(体系化された経験学習プログラム)は従来型の研修に比べて、エンゲージメントを高める効果が2.5倍、パフォーマンスを高める効果が3倍であることがわかっています。最も効果的な能力開発施策は挑戦的な職務経験なのです。
また、効果的なハイポテンシャル人材プログラムは、「明確なキャリアパス」を示し、「体系的な能力開発の機会」と「やりがいのあるポスト」を提供しています。キャリアパスの提示は、社員満足度を23%向上させ、個人のキャリア目標に合った能力開発機会の提供はエンゲージメントを35%向上させます。

ハイポテンシャル人材のエンゲージメントを高める

ハイポテンシャル人材は、より大きな責任を持ち、新しいスキルを開発し、ハイリスクな状況で働くことを好みます。しかし、単にリスクにさらすだけでは不十分です。ハイリスク・ハイリターンの仕事機会が与えられ、失敗しても会社からの全面的なサポートが得られるとき、ハイポテンシャル人材の70%はエンゲージメントが高まると回答しています。

終わりに

最後にハイポテンシャル人材プログラム(選抜と育成)をうまく進めていくためのヒントを申し上げます。

・明確なハイポテンシャル人材の要件を定義する。
・アビリティ(能力)とアスピレーション(上昇志向)とエンゲージメントを正しくアセスメントして選抜する。
・ハイポテンシャル人材にはキャリアパスの提示、能力開発機会と成長を促す仕事を提供する。
・心理的安全性を与えつつ、ハイリスクな職務を与えることでエンゲージメントを向上させる。
清田 茂

このコラムの担当者

清田 茂

日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員

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