コラム

人事コンサルタントの視点

BtoB営業の新たなモデル(前編)

デジタルトランスフォーメーション(DX)は事業活動のあらゆる側面に影響を及ぼし、もちろん営業機能も例外ではありません。営業職に求められる能力も変化しています。

本コラムでは、BtoB営業を取り巻く大きな変化とそれに基づく新たなコンピテンシーモデルについて、SHLグループのeブック「Three Mega-Trends Transforming Sales Success」に基づいてご紹介します。

新しい営業の世界に適応する

企業の購買や販売、デジタルのコミュニケーションを形成している以下の3つのトレンドと、それらが営業職にとって何を意味するのかを見ていきます。

① 変化した営業現場: 高業績者は、デジタル化が進む営業環境に適応しています。
② 変化した消費者の行動: 高業績者は、新しい購買行動を理解しています。
③ 変化した成功する営業職の行動: 現在、成功につながる営業行動は、過去の営業行動と大きく異なります。

①変化した営業現場

以下の2つの環境変化により、営業現場はデジタルファーストへと変容しています。

・データに基づく営業活動
営業プロセスは、技能からデータと分析に裏打ちされた科学へと移行しています。BtoB営業リーダーの75%は営業プロセスを強化するためにデータとデジタル戦略を導入しています。これは営業職にとって、テクノロジーの導入が不可欠であることを意味します。革新的なテクノロジーを積極的に採用し、うまく活用することに加えて、データに基づいた営業活動を行うことが求められます。

・デジタルコミュニケーションのニーズ
BtoB営業の大半は、従来の対面営業からオンライン営業へと移行しています。ガートナー社は2025年までには、BtoBの営業活動の80%がデジタルで行われるようになると予測しています。
営業職にとっては、オンライン営業の導入は不可欠です。従来の営業活動は、対面での関係構築や商談に重きを置いていました。しかし、現在、そして将来的に成功するためには、リモートで仕事をし、オンライン営業で成功する必要があります。

②変化した消費者の行動

買い手の購買体験に対する期待は大きく変わってきています。

・パーソナライズされたアプローチ
昨今の買い手は、パーソナライズされた購買体験を期待し、それに対してより多くのお金を支払うことを望んでいます。営業職は、価値のある経験を提供することが求められます。顧客と密接なパートナーシップを結び、買い手にとっての価値を高める信頼関係を構築する必要があります。

・顧客自身による情報収集が一般的に
現在、購買プロセスの57%は営業職が買い手とやり取りをする前に行われています。このため、顧客にとっては情報が多すぎたり複雑になったりすることがあります。営業職は顧客に対して複雑な情報を簡素化し、効果的で明確なコミュニケーションをとることが求められます。

・買い手はパートナーを求めている
買い手は複数の営業職とのやり取りをするうちに、様々な選択肢のどれを、あるいは誰を信用すればよいのかわからなくなることがあります。営業職は協働的なアプローチをとることが必要です。顧客との協力関係を築き、提案内容を信頼してもらわなければなりません。

③変化した成功する営業職の行動

従来の営業コンピテンシーは依然として重要であるものの、新たな営業コンピテンシーが出現していることがSHLの調査で明らかになりました。

・適応力と回復力
リモートワークは新たな期待をもたらし、営業分析とオペレーションは進化し、カスタマージャーニーは再構築されつつあります。これらは、営業職が経験している変化のほんの一部に過ぎません。BtoB営業は、急速に変化する業界に適応し、プレッシャーに打ち勝たなければなりません。SHLの調査では、ノルマ達成の予測に最も影響を与えているコンピテンシーは「回復力」でした。

次回はこうした変化に応じるための、新たなコンピテンシーモデルについてご紹介します。
廣島 晶子

このコラムの担当者

廣島 晶子

日本エス・エイチ・エル株式会社 主任

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