2025年に従業員エンゲージメントが最高の投資となる理由
公開日:2025/02/14
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従業員はあらゆる組織の生命線ですが、2025年は「リベンジ退職」がトレンドになると予測されています。¹「リベンジ退職」とは職場で評価されない、燃え尽き症候群、職場へのエンゲージメントの低下などのネガティブな経験に反応して従業員が仕事を辞める傾向です。多くの業界で人材不足が依然として蔓延し、採用とスキルアップのコストが増加する中、従業員の定着は今年すでに多くの組織にとって重要な優先事項となっています。リベンジ退職のリスクを最小限に抑えるために、人事は何ができるでしょうか。
本コラムでは、従業員エンゲージメントに着目し、SHLグループのブログ記事から従業員エンゲージメントで得られるメリットとエンゲージメントを維持する方法を抜粋してご紹介します。

従業員エンゲージメントの主なメリット
エンゲージメントの高い従業員とは、勤務先の会社を大切にし、社会全体の利益のためにパフォーマンスを発揮する意欲が強く、仕事と職場の両方に献身的な従業員のことです。エンゲージメントの高い従業員はどのような貢献をしてくれるのでしょうか。- 欠勤率の減少と定着率の向上 エンゲージメントは、従業員の定着率と出勤率に大きな影響を与えます。エンゲージメントの高い従業員は、会社に留まる可能性が 31% 高く、期待を上回る可能性も 31% 高くなります。²
- 生産性と収益性の向上 従業員のエンゲージメントが高い場合、生産性と収益性が大幅に向上します。最近の労働力レポート³ によると、従業員のエンゲージメントが高い企業は、エンゲージメントが低い企業に比べて収益性が 23% 高く、販売生産性レベルが 18% 高くなります。
- 顧客ロイヤルティと満足度の向上 従業員のエンゲージメントは、顧客体験に直接影響します。顧客対応を行う企業は、チームのエンゲージメントが高い場合、顧客ロイヤルティ(忠誠心)とエンゲージメントが 10% 増加すると報告しています。顧客は、単に形式的に仕事をこなしているベンダーと比較して、自分の仕事に心から自信を持っているベンダーのエネルギー、情熱、熱意をすぐに感じ取ることができます。
エンゲージメントの低下による経済的影響は、エンゲージメントの低下が世界経済に約 8.9兆ドルの損失をもたらし、世界の GDPの9%を占める³ことを示しています。

従業員エンゲージメントを育む戦略
- モチベーションリソースを理解する 従業員のパフォーマンスの原動力を理解することで、これらの動機をチームや組織の目標に合致させる適切なプロセスを設計・構築できます。これにより、優秀な人材が自分にとって重要な領域で報酬や評価を受けられるようになります。モチベーションリソースを理解することは、採用から後継者計画まで、従業員のライフサイクル全体にわたる意思決定の役に立ちます。
- マネジャーに焦点を当てる マネジャーはエンゲージメントスコアの変動の 70% を占める可能性があり、マネジャー自身のエンゲージメントが高いと、部下のエンゲージメントも高くなる可能性が高いのです。歴史的に、優れたマネジャーのスキルは「ソフトスキル」と捉えられてきました。現在「チームの一体感を促す」や「難しい決定を下す」などのスキルを定量化して測定できるようになっています。これらのスキルは技術的なスキルと共にマネジャーの全体的なスキルセットの重要な部分を形成しています。不適切なマネジャーに遭遇した人なら誰でも知っているように、技術的なスキルのみで昇進させると、マネジャーのスキルセットに大きなギャップが生じることがよくあります。スキルと行動を包括的に把握するための適切なツールを用意することで、チームのエンゲージメントを高めることができる適切なマネジャーとリーダーの採用と育成が可能になります。
- 人材を育成する 10 人中 7 人が、学習によって組織とのつながりの感覚が向上すると回答しています。人材の既存のスキルを把握し、スキルの強みとギャップを見つけることは、ほんの始まりにすぎません。このデータを使用すれば、適切なスキル開発のツールとリソースに投資し、従業員が自らの学習の旅を進められるよう支援することができます。
- エンゲージメントの測定と維持 エンゲージメント戦略の有効性を確保するには、エンゲージメントレベルを定期的に測定して評価することが重要です。定期的な調査を実施し、生産性指標を分析し、離職率を監視することで、エンゲージメント施策の影響について貴重な洞察を得ることができます。
人事部門のリーダーは社内異動を推進しますが、成長だけでは十分ではありません。従業員はキャリアアップを望み、成長が認められることを望んでいます。キャリアパスをマッピングし、部門間の社内異動をシンプルにすることで、人材を高く評価し、ポテンシャルの発揮を支援していることを示すことができます。これにより、従業員は組織に長く留まり、組織の支持者になるように動機付けられます。
おわりに
2025 年に向けて、従業員エンゲージメントの重要性はいくら強調してもし過ぎることはありません。エンゲージメントは、組織に利益をもたらす具体的な行動になります。これらの戦略を実行し、前向きな職場環境の構築に重点を置くことで、組織は生産性の向上、従業員の定着率の向上、顧客満足度の向上など、従業員のエンゲージメントが高いことから得られる数多くのメリットを享受できます。
このコラムの担当者
廣島 晶子
日本エス・エイチ・エル株式会社 主任