コラム

人事コンサルタントの視点

サクセッション・プランニングを効果的に進めるための6つの戦略

公開日:2012/06/26

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
前回、SHLグループで実施したサクセッション・プランニング(継承計画)に関する調査結果をご報告しました。今回はその報告書の最後に提言されている内容をあらためてまとめます。

1 全社的なアプローチをとり、人材を共有する風土を確立する

計画の長期と短期のバランスに注意し、不測の事態を考慮に入れます。他部門と連携せずに人材を見極めるようなやり方は止めます。全社で人材データを共有することによって、事業部単位ではなく全社のレベルで戦略的人事決定が行われるようにします。

2 自社にとってのポテンシャルの高い人材とはどういう人材かを定義する

「ポテンシャルの高い人」とはどんな人かについて、人によって考えがずれていることはよくあります。前線管理職を教育し、彼らに人事部と連携してポテンシャルを測定して見極める客観的なやり方を提示します。ポテンシャルを判断する上で能力と経歴だけに頼るのは危険です。客観的な行動アセスメントの使用が予測に役立ちます。

3 人材分析データを把握し、サクセッション・プランニングの情報として用いる

アバディーン・グループの研究によれば、現在、サクセッション・プランニング・プロセスの大きな障害は、「人材データを分析できていないこと」です。高いポテンシャルを持つ人のデータが把握されれば、それを分析して測定の目安にしてトップ人材を見極めることができ、その結果、育て、エンゲージメントを高め、定着させることができます。

4 人材プールを作る際に個人の希望や意欲を考慮する

第一線の管理職に、自分のチームメンバーと常に対話して、キャリアの希望や、何が彼らをやる気にさせるのかを把握するよう促します。そのことが、個人と組織の心理的契約を再確認につながり、互いの期待が一致してきます。「ポテンシャルが高いこと」とは必ずしも「リーダーシップのポテンシャルが高いこと」とは限りません。組織には、スペシャリストや人をマネジメントするものではない役割などへの、別のキャリア・パスが必要です。それらはリーダーシップの立場と同様に重要なものです。

5 レディネス(準備状態)を測定する

ポテンシャルの高い人が新しい職務にしっかり取り組めると確信するためには、その前に重要スキルや行動、知識、経験などのレディネスを徹底的にアセスメントすべきです。透明性を確保し、能力開発計画を設定してそれに対する進捗を測定することが、レディネスの完成に役立つでしょう。リーダーシップのレベルでは、現在のリーダーたちのスタイルや強み、能力開発分野を理解し、もしその人たちがいなくなったらビジネスには何が必要かを予測します。社内に適切な人材がいるのか、将来の目標を達成するためには社外から探さなければならないのか、考えます。このステップを間違えると、組織に極めて大きなコストとなりえます。

6 自社のサクセッション・プランニング戦略を継続的に見直し、磨きをかける

定期的に計画を見直し、短期的・長期的な目標達成に向けてうまく機能しているかどうかを分析します。鍵となる関係者と腹を割って対話します。なぜならば、シニアレベルの関与が非常に重要だからです。サクセッション・プランニングが本当にうまく機能するためには、明日の人材について計画できるよう、それが事業戦略や将来のビジョンと一致していることが必要です。

堀 博美

このコラムの担当者

堀 博美

日本エス・エイチ・エル株式会社

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