コラム

人事コンサルタントの視点

事例:KPMG

公開日:2012/11/30

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回は、監査系ファームKPMGのコンサルタント採用における活用事例をご紹介します。

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背景

プロフェッショナルサービスファームKPMGのオランダ本部は、1993年、SHLと採用選抜の仕組みを作り上げました。ポイントはトレーニー・コンサルタント採用におけるアセスメントセンター実施です。

毎年40~50件のアセスメントセンターが実施されていました。十数人の候補者が様々な能力テストを受け、計数・言語・論理などのスキルが評価されます。候補者のチームワークやビジネス、コンサルティングのスキルについては、OPQパーソナリティ検査とロールプレイで測定されます。

この仕組みが応募者の中で最高の人材を見極めることに貢献しただけではなく、KPMGは先進的な企業としての評判を獲得しました。

課題

KPMGの評判を聞いて、プロセスをまねする競合会社が現われました。再びマーケットをリードするために、KPMGは選抜手順をよりいいものに改良しなくてはなりません。加えて、1998年ごろオランダの労働市場は厳しくなり、数少ない有能な人材を多くの競合コンサルタント会社が追いかけるような状況になっていました。

そこで、この業界を希望する者に対しての競争力と魅力度を高め、進歩的な企業としての信頼感を再確立するために、KPMGは、プロセスに柔軟性を加えて流れを整備したいという要望をSHLに伝えました。

解決策

SHLは、KPMGがSHLの専門性に依拠しながらも自分たちで扱えるテスティング・システムを用いた新しい選抜手順を設計しました。プロセスの各所でカスタマイズが加えられました。複数の言語でテストやOPQを受検できるため、母国語がオランダ語ではない候補者も「共通の土俵で競う」ことができます。

結果

改善の結果、社内の人事担当者や管理職向けにKPMGのコンピテンシーにのっとった様々なリポートがシステムから自動で出力されます。さらに、能力開発のヒントを含んだ本人用リポートを候補者が受け取ることができるという付加価値もあります。

量的な成果もありました。応募者一人当たりの選抜コストは約40%削減しました。削減率は採用の決まった人についてはさらに高く、60%近くに上がります。

応募者の評価にかかる時間もそれまでの4週間から2週間と、大きく削減されました。そして、素早く効率的でプロセス重視、考え方がしっかりしている会社とKPMGをポジショニングすることにつながりました。しかし、人事プロセスにSHLを関与させることの真のメリットは「コスト削減」ではない、とKPMGは指摘します。

KPMG人事部門Jan van der Linden氏は次のように述べています。『重要な点はツールではなく、我々の理念を理解していること、そして能力開発のプロセスにつながっていることです。それゆえ、我々はSHLと共に仕事をしたいと思うのです。』

4大ファームの1つ、KPMGの活用事例です。グローバル規模での採用においてテストを活用する場合、システムの柔軟性と多言語性は鍵となるポイントです。

堀 博美

このコラムの担当者

堀 博美

日本エス・エイチ・エル株式会社

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