成果研究レポート
公開日:2011/07/26
このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループのネット配信「SHL Newsletter」や広報誌「SHL News」、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回ご紹介するのは2011年6月27日にプレスリリースされた記事です。人材アセスメントツールがビジネスにもたらしている具体的な成果に関する研究をまとめたレポートをSHLが発表しました。
SHLは、企業がピープル・インテリジェンス情報を用いることで業績にどんな成果を実現できたかをまとめた「成果研究レポート」を発表しました。この研究は毎年実施しているもので、今回が5年目です。様々な職種(時間給スタッフから管理職まで)や業界(ヘルスケア、小売、通信など)のクライアントで行われた個別の成果研究から明らかにされたことがまとめられています。
SHL CEOディビッド・リーは次のようにコメントしています。「今日のマーケットでは、常に業績への強いプレッシャーがあります。そのような環境下、会社全体で優れた成果を推進するために、営業や顧客サービスから生産、幹部マネジメントに至るまで、適切な人材をもつことがこれまで以上に重要です。我々の研究結果は、トップ人材の採用・定着・能力開発にピープル・インテリジェンス・ソリューションを活用している企業が、業務上の目標を満たし、さらには超えていることを明らかに示しています。」
今年の研究レポートでは、実施された研究の83%が「好ましい」もしくは「非常に好ましい」結果になりました。それぞれのアセスメント・ソリューションが、ほぼあらゆる業務目標値に大きく、かつ測定可能なインパクトを与えています。レポートにはたとえば次のような結果が記載されています。
- あるテクノロジー小売会社の顧客サービス担当スタッフが、1億ポンド売上を増やした
- ある通信会社が半年間で退職者を18%減らした
- ある輸送会社の業務・専門・技術など様々な職種における前線管理職について、テスト高得点者が昇進する確率は53%大きかった
- ある小売会社の管理職は、わずか半年間で、売上を15%、利益を190万ドル増やした。
- ある金融サービス会社の保険エージェントが売上を150%増やした
T-Mobile社の採用担当マネジャーKaren Wade氏は次のようにコメントしています。「毎年、我々は、社員アセスメントが収支にどのような影響を与えているかを評価しています。2005年以降だけで、退職者の30%減を実現、それによって年間500万ドルのコストが節減されました。現在も継続中のこの成果研究で集められたデータは、我々の人材アセスメント体系を、常に変化する事業ニーズに合わせて進化させながら最適化することに役立っています。」
2011年のレポートには、社員のテスト実施、マルチメディア・アセスメント(オーディオやビデオ、アニメーションを用いて、特定職務について現実世界でのシナリオをシミュレーションしたアセスメント)、構造面接、遠隔地でのアセスメントや携帯ツールでのアセスメント、応募者管理システムへのアセスメントの統合、などに関する将来予測や考察も含まれています。レポートのこのセクションは、これらの新技術が、企業や受検者にとってのアセスメント体験を向上させることができるかどうか、さらに重要なことには、職務における成功の予測力を向上させることができるかどうかを掘り下げています。
クライアント企業との協力で実施されているこの研究に、昨年は47社が参加しました。
統計的な根拠を確保するため、
- ひとつの分析単位あたり300人以上のデータを用いる
- 業績指標は個人の職務行動の成果と見なすことができるものとする。例えば、売上数値、目標達成率、利益増加率など。生産性や効率については数値で表せる測定可能な指標に限る
などの条件を課しています。
人材アセスメントツールの効果を「見える化」する(具体的な数値に落とす)ことで関係者の納得性や透明性は高まります。
このレポート(2011年Business Outcomes Study Report)はSHLグループのHPからダウンロードできます。ご興味のある読者の皆様はぜひご覧ください。

このコラムの担当者
堀 博美
日本エス・エイチ・エル株式会社