コラム

人事コンサルタントの視点

中小企業は採用費を無駄に使っているかも

公開日:2011/08/23

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループのネット配信「SHL Newsletter」や広報誌「SHL News」、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回ご紹介するのは、中小企業の適性検査活用に関する調査結果です。

  • 中小企業の88%は、この1年間に採用した人材について悔やんでいる
  • 中小企業の68%は、今後1年間に採用する計画がある
  • 中小企業のほぼ半数が、1人当たりの採用に4000ポンド支払うつもりがある。

SHLグループが実施した調査によれば、従業員数250人以下のイギリス企業は、採用活動で毎年数千ポンドもの費用と貴重な時間を無駄にしている可能性があります。

回答者の68%は『今後1年間に採用する計画がある』ということで、これは明るい材料です。しかし、『昨年度採用した人物について後悔している』と回答した企業が88%もありました。その理由は、その人物が『求められるレベルに達していない』(33%)、『スキルがない』(47%)、『入社後の業績が悪い』(35%)などです。

中小企業は採用で間違った意思決定をする余裕がありません。回答者の61%は『今年は採用コンサルタントを利用するつもりである』と答え、さらに46%が『対象従業員の給与の15%までの料金なら払ってもよい』と答えました。イギリスの年間平均給与は2万5900ポンド(2010年12月調査)ですから、支払う料金は4000ポンドほどです。

採用では常に履歴書と面接が主流ですが、今回の調査によれば、中小企業の95%が『採用プロセスをスピードアップしたい』と考え、52%は『不適切な候補者を面接する時間がもったいない』と回答しています。では、どうすればよいのでしょうか?

両方の点で客観アセスメントの活用が有益です。オンラインで候補者の予備選抜やコンピテンシー評価ができます。回答者の87%が『新しい従業員を採用する際、社風への適応や態度は、資格と同じくらい(52%)、もしくは、資格以上に(35%)重要である』と答えおり、客観アセスメントはこの点でも、その人が職務や企業に適しているかどうかを判断する非常に貴重な手段となります。

しかし、客観アセスメントについて中小企業の認知には明らかな乖離があります。87%が『費用が高すぎる』『不必要』『大企業だけが用いるもの』と考えています。

SHLビジネスマネジャーのジュリアン・ウェンバンはこの誤解について次のとおり反論しています。「採用で客観アセスメントを用いることは中小企業にとってのほうがより一層重要なのです。管理職の時間をとりにくく、コスト管理に敏感です。アセスメントは、規模の大小に関わらず、どんな企業にも、ある個人がその特定の環境で生き生きと働けるかどうかに関してすこぶる貴重な洞察を与えてくれます。間違った採用のリスクを低減し、生産性の向上や退職率の低下を通して利益を高めます。」

調査結果はまた、回答者の3分の1以上が『従業員の定着率向上のための施策を持っていない』ことを示しています。「新しい従業員を採用して導入するコストや時間を考えると、どんな小さな企業でも、自社の貴重な人材のエンゲージメントやモチベーションをどのように保つかを、時間をとって考えることが重要です」とウェンバンは結論付けています。

「適性検査の活用は、中小企業にとってこそ重要」との指摘です。中小企業を対象とした今回のイギリスの調査結果はそっくりそのまま日本にも当てはまるように感じました。PCやインターネットの急速な普及に伴い、使いやすさやコストの点でとっつきやすくなってきた印象があります。適性検査導入のコストと間違った選抜のコスト、あらためて検討するタイミングかもしれません。

堀 博美

このコラムの担当者

堀 博美

日本エス・エイチ・エル株式会社

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