コラム

人事コンサルタントの視点

ケーススタディ:イギリス国営くじ基金(1)

公開日:2008/09/23

このコーナーは、イギリスのSHLグループが季刊で配信している「SHL Global Newsletter」の中から記事をピックアップ、日本語に翻訳してご紹介するものです。
前回に引き続き今回も事例を採り上げました。イギリス国営くじ基金(Big Lottery Fund)が360度フィードバックを活用して上級管理職の管理能力開発を行った事例です。詳しく紹介されていますので、このコーナーでは3回に分けて連載していきます。

イギリス国営くじ基金(Big Lottery Fund; 以下BIGと略)は、国営くじによる収益の半分を地域社会や恵まれない人々への支援プロジェクトに助成している。現時点での金額は、年間約630百万ポンド(約1200億円)である。

2005年イギリスでは政府系組織の移転が進められ、BIGも基金事業をロンドンから移してニューキャッスルとバーミンガムに集中させた。これが内部変革の触媒となった。2006年夏、IPP(Investors In People)基準への適合度を調べる予備アセスメントが実施された。BIGは10の基準のうち6つをクリアしていたが、さらに、「訓練機会の提供」と「マネジメントコンピテンシーの定義」の2つの人事テーマに焦点を当てることが必要であることがわかった。

パートナーとしてSHLが選択され、レビューが行われた。その結果、マネジメント能力の開発と事業構造の合理化を目的として、上級管理職チームを対象に、コンピテンシー枠組みの開発、360度フィードバック実施およびそれに続く能力開発ワークショップを開催することになった。

2006年秋、オンラインによる組織内部の満足度調査が実施された。調査の回答率は85%を超え、スタッフは概ね将来について楽観的で、BIGは機会均等を進めているという点でよい雇用主であるとみなしていることがわかった。しかし、チームワーク、低業績に対するマネジメント、職務関連トレーニング情報の不足について満足度が低かった。

調査結果を踏まえ、人事チームは、新しいコンピューターシステムを開発・導入する必要性を感じた。管理職やスタッフに対する日常の人事サービスを対話型のセルフ・サービス方式で提供し、空いた時間で人事チームが能力開発やパフォーマンス管理などの戦略的付加価値的施策に集中できるようにするためである。また、BIGの幹部チームを巻き込み、適切なコンピテンシー枠組みの開発をサポートしてもらうことの必要性も確認された。

(次回に続く)

堀 博美

このコラムの担当者

堀 博美

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