アセスメント・トレンドの変化~人材をより大局的に捉える~
公開日:2012/05/01
このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回はSHLが実施した『2012年度グローバル・アセスメント・トレンド調査』についてのプレスリリース記事です。
『2012年度SHLグローバル・アセスメント・トレンド調査』の結果によれば、「人材分析」が企業の最優先事項だが、そのポテンシャルを開花させて事業上の意思決定を行っている企業はまだ少ない。
「人材分析データを把握するプロセスを持っている企業は86%だが、その情報を活用して事業上の意思決定を行っているのは半数以下。」これが『2012年度SHLグローバル・アセスメント・トレンド調査』でわかった数値です。ピープル・インテリジェンスを、事業成果向上に結びつく人事決定を支援するような、意味のある、量化可能な指標に変換することのニーズが浮き彫りになりました。
SHL CEOディビッド・リーは次のように述べています。『調査結果が示しているのは、ビジネスが社員の全体像を理解したいと考えていることです。生産性にとどまりません。何が彼らを動かすのか、どうすれば個々人のベスト・パフォーマンスを引き出し、エンゲージメントを保てるのか、という問題です。ビジネス界は「人材分析」のポテンシャルに気づきつつありますが、重要なビジネス決定に活用できるような意味あるデータを把握するにはまだまだです。』
前年と比較しての人材アセスメント慣習の重要なトレンドや考え方、2012年度の課題について、世界の様々な業界の人事プロフェッショナル481名から回答が寄せられました。結果から明らかになったことは次の3点です。
- 行動予測が鍵
採用アセスメントで用いられる手法の上位5つのうち、3つが行動を予測するものです。パーソナリティ検査がランキングで2位に上がり、ジョブ・フィットと状況判断テストも上位5位内に入りました。会社は候補者の知識やスキルに注目するだけでなく、彼らが将来どう行動するのかという全体像をも求めています。 - 候補者の全体像把握にソーシャル・メディアが役立っている
候補者の全体像を把握したいという企業ニーズの高まりは、ソーシャル・メディアのトレンドにも現われています。ますます多くの企業が、採用場面でソーシャル・メディアの新しい使い方を発見しつつあります。「ソーシャル・メディアが効果的な採用ツールである」とする回答は前年度より10%増えました。会社が求めるソーシャル・メディア上の情報で最も伸びたのは、対象者の趣味や興味、現在の活動、交友関係、他者からの推薦の言葉です。 - ビジネスの最優先事項はエンゲージメント
「社員のエンゲージメントと定着」が2012年度の人事課題の上位です。回答者の56%が最優先事項として選択しました。しかし、3分の1強(39%)の会社は、「エンゲージメントや定着を確保するフォーマルなプロセスを持っていない」と回答しました。さらに、社内からの人材登用がますます重視されているにもかかわらず、本調査では、最優先事項として「キャリア開発」を挙げた人事プロフェッショナルはわずか3分の1(36%)にすぎず、「キャリア開発」が「社員をうまく定着させる方法である」とした人はさらに少ないものでした。事実、「キャリア開発」への興味は毎年減少しており、企業はこの戦略を断念しつつあるのではないかとも考えられます。
「グローバル・アセスメント・トレンド調査」はSHLが毎年実施しているものです。2012年度調査は2011年11月~12月、オンラインでSHLクライアント・関係者481名に回答いただきました。
今回の記事はプレスリリースですが、次回の本コラムでは報告書サマリーからもう少し詳しい結果をお伝えします。

このコラムの担当者
堀 博美
日本エス・エイチ・エル株式会社