採用場面におけるゲーミフィケーションの活用――トレンドとベストプラクティス
公開日:2014/09/30
このコーナーは、イギリスのCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回はゲームの要素を活用した人事アセスメントツールについてのCEBブログをご紹介します。
採用、選抜やアセスメントプロセスにゲームやシミュレーション、その他多彩なマルチメディアのアプリケーションを用いることが、この10年間で劇的に増えてきました。特に接客職や営業職の社員を能力開発を目的とするものが多いです。
これらのタイプの人材測定ツール(よく「シリアスゲーム」と呼ばれます)は、受検者の自然な行動を示すという点で職務パフォーマンスを予測できるだけでなく、企業にとって次のようなメリットがあります。
すなわち、
- より多様な応募者層を惹きつける
- 革新的であるというイメージを与える
- 社内の様々な事業分野に洞察を提供する
- 採用プロセスをより面白いものにする
企業におけるゲーミフィケーションはかなりポピュラーになっています。最近の『ハーバード・ビジネス・レビュー』の記事によれば、2015年までにビジネスプロセスの25%でゲームの要素が使われ、また、グローバル2000社の70%が2014年までに少なくとも1つ以上のゲーム化されたアプリケーションやシステムをもつと予測されています。
しかし、ゲームというものはそれぞれ異なり、全く同じゲームというものはありません。特に、選抜目的のシリアスゲームの開発や導入には、教育向けのシリアスゲームと異なるアプローチをしなければなりません。
たとえば、教育に使われるゲームでは練習できることが重要ですが、選抜用ゲームの目的は現在の受検者のスキルを評価することですから、一回しか使われない可能性が高いです。
同様に、選抜目的のシリアスゲームはフィードバック、特に直接的なフィードバックや継続的なフィードバックは与えません。
さらに、シリアスゲームを採用目的で使うということになればセキュリティへのニーズが増します。人に正解を教えてもらうなどのカンニングをするプレーヤーは、教育場面では自分で学習の機会を逃しているだけなのでリスクは小さいです。しかし、採用場面では多くのものがかかっており、「ゲームをゲームしよう」とするプレーヤーの数はより大きいでしょう。
法的基準もまた重要です。選抜目的のシリアスゲームではゲームの得点が採用意思決定に使われるわけですから、得点が職務に関連していることを示さなければなりません。
CEBはゲームをうまく使って社員のエンゲージメントを向上させた会社の事例をまとめています。たとえば、ある先進的な消費財メーカーはゲーム原理を使って、自社の仕事の現実を応募者に説明しています。ゲームの特徴は以下の通りです。
- 幅広いロールプレイングの演習やクイズを使って、新商品立ち上げの場面を設定する
- 会社やその風土を描き、そこで働くことがどんなものなのか、プレーヤーに自分自身の意見を形成させる
- 採用担当者に、その会社の仕事環境で受検者がどのように仕事をしそうかについて正確に理解させる
本コラムの152回で、CEBがバークレイズ銀行のために開発した「マルチメディア・シミュレーション・アセスメント」をご紹介しました。これもゲーミフィケーションの要素をふんだんに取り入れた採用選抜用ツールです。どんなツールかを紹介したビデオクリップ(6分18秒)はこちらからご覧いただけます。

このコラムの担当者
堀 博美
日本エス・エイチ・エル株式会社