CEB白書:リクルーターを人材アドバイザーとして再定義する(2)
公開日:2016/02/29
このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
前回からリクルーターに関するCEB白書をご紹介しています。前回のサマリーに引き続き、今回は優れたリクルーターとそうでないリクルーターを分けるものについての章です。
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ベストなリクルーティングとは?
我々の研究によれば、採用の質の分散の80%はリクルーターの個人プロファイル(態度、経験、スキルなど)とリクルーター・マネジメントのやり方(能力開発、業務量、業績管理など)によって説明されます。驚くことに、リクルーティング機能のインフラ(予算、組織構造、支援テクノロジー)は結果にほとんど影響しません。
つまり、リクルーティング機能はまず、リクルーターの能力と彼らをどううまくマネジメントするかによって決まります。
トップ・リクルーターの定義
図表1は効果的なリクルーターの主要能力を示したものです。3つのカテゴリーに分かれています。
- 戦略アドバイザー:ビジネスや市場についての深い見識と、それを戦略的なコンサルテーションに転換できる能力
- パイプランマネジャー:労働市場に能動的に関わる能力。例えば、有望な人を見つける新しい方法を探す、有望な人と関係を構築する、対象者と職務のマッチングを助ける、など。
- プロセスエキスパート:採用のプロセスやツールの舵取りをする能力
優れたリクルーターとは、戦略アドバイザーかつパイプラインマネジャーとして動く能力を持つ人です。この2つのカテゴリーの組み合わせを我々は「人材アドバイザー」と呼びますが、実際、リクルーターの成績の85%はそれで決まります。しかし、人材アドバイザーの要件を満たすリクルーターは現在19%しかいません。
リクルーターの役割 | リクルーターの能力の名前 | 定義 |
---|---|---|
戦略アドバイザー | 対象部門のビジネス知識 | リクルーティングする部門や職種の、ビジネスやオペレーションの知識 |
会社のビジネス知識 | 会社のビジネスモデルやオペレーション、業績目標、競争力の知識 | |
全般的なビジネス知識 | 一般的なビジネスの基礎やモデル、財務、マネジメント原則の知識 | |
採用マネジャーの説得 | 採用マネジャーに採用に関する付加価値の高いアドバイスを提供し、彼の人事決定に影響を与える能力 | |
ニーズの定義 | 要請があった場合に採用マネジャーの人材ニーズを理解する能力 | |
全社的人材戦略の知識 | 会社の人材戦略への理解と問題意識 | |
職務要件の理解 | 様々なポジションに求められるスキルと能力の知識 | |
パイプラインマネジャー | 候補者の評価と選抜 | 応募者の質、スキル、適性を評価してポジションに最適な候補者を見極める能力 |
候補者の説得 | 見込みのある人や候補者の入社意向に影響を与える能力 | |
候補者とのやり取り | リクルーティングのプロセスを通じて候補者と良い関係を維持する能力 | |
労働市場に関する専門性 | リクルーティングする労働市場の知識 | |
世代のリード | 将来の人材ニーズを予期して見込みある人材の安定的な流れを見つける能力 | |
戦略的人材源 | 適切な経路やメッセージを使って質の高い候補者プールを見つける能力 | |
Web 2.0の知識 | Web 2.0 技術を使って、見込みある候補者を見つけて惹きつける能力 | |
プロセスエキスパート | リクルーティングプロセス | リクルーティングプロセスを実行するための知識とスキル |
ATSスキル | 応募者追跡システム(Applicant Traking System)や採用マネジメントシステムを活用する能力 | |
プロジェクトマネジメント | プロジェクトを計画、組織化、調整、実行、追跡、評価する能力 |
リクルーティング機能の成果を上げたいならば我々はもっと人材アドバイザーを育てなければなりません。もちろん、それが簡単ならば皆すでにやっているでしょう。大きな問題点は2つあります。
(1)最適なリクルーターの役割が不明確で理解されていない
「より戦略的に、よりコンサルタント的になれ」と命令してもあやふやです。多くのリクルーターは「戦略的になる時間なんてない。私は自分の仕事をやって採用マネジャーをハッピーにするだけ」と言うでしょう。自分は得意だと思い込んでいるいる人もいるかもしれません。リクルーターの半数以上は自分はビジネスへの影響力が高いと評価しています。が、それに同意する採用マネジャーは4分の1以下です。
しかしながら、採用機能が戦略的でないわけにはいきません。この文脈で「戦略的」とは将来を夢見ることではありません。行動とデータの両面で、戦術的なプロセスをしっかりしたビジネス知識と結合させて、全社戦略に沿った雇用決定に影響を与えることです。
(2)マネジャーはよく努力しているが、それが必ずしも効果的であるとは限らない
リクルーティングのマネジャーのほぼ90%は、自分が時間をかけて直属部下の能力開発をしていると答えています。しかし、自分の上司が能力開発がうまいと評価したリクルーターは半分以下です。マネジャーに能力開発にもっと時間をかけるよう言うのではなく、我々は彼らがすでに費やしている時間の見返りをもっと大きくできるようにすべきです。
人材アドバイザーの特徴
- 高度なリクルーティングの専門性を示す
- 採用マネジャーのニーズの変化を予期する
- 自分が働く労働市場についてしっかりした知識を持っている
- 社内のキーパーソンと強いネットワークを維持している
- 候補者のニーズの変化を予期する
- リクルーティングは戦略的なビジネスパートナーであると採用マネジャーに認識させる
- ビジネスについての深い知識を持っている
白書の原題は「Redefine Recruiters as Talent Advisors」。
https://www.cebglobal.com/shl/uk/forms/insights/redefine-recruiters-as-talent-advisors/
からダウンロードできます。(お名前などの入力が必要です。)

このコラムの担当者
堀 博美
日本エス・エイチ・エル株式会社