人材アセスメントツールの革新的な使い方
公開日:2017/07/10
このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HP、プレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回はCEBブログの記事をご紹介します。
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適切な人材を採用しよう、候補者の中からベストな人材を選ぼうと、多くの会社の採用チームが人材アセスメントツールのもたらす利点を理解して、活用しています。
特に、人材アセスメントツールが大きな違いを生むことに役立つ領域が4つあります。
1. 大量採用
空いたポジションを埋めるまでの平均時間は過去5年間で大きく上昇していますが、採用の質はあまり改善していません。このため会社にとってのコストが大きく増えています。特に「大量採用」の職務(エントリーレベルの営業職や顧客サービス職など)についてはそうです。
現在の採用プロセスは採用担当者と応募者の両方にとって厳しいです。採用担当者は莫大な応募人数に圧倒され、基本的な要件を満たしていない応募者にいら立ちます。同時に、応募者はテストや面接を受けながら自分の進捗状況について何のフィードバックも受け取らないことに不満を抱きます。応募者の4人に1人が「採用でいやな経験をした」と答えました。これは会社のブランドを損ね、入社後の職務成果にも影響します。
これまでの採用方法を改善するために、会社は次の3つのやり方で人材アセスメントツールを使うことができます。
- 十全に自動化された統合的な応募者追跡システムで、採用担当者と応募者の両方からプレッシャーを取り除く。
- リアルな職務記述書や簡単な質問紙を使って、要件を満たさない応募者を採用プロセスの早い段階ではずす。
- 具体的な職務期待やスキルを考慮した人材アセスメントツールを使って、選抜プロセスでベストな候補者だけを前に進める。
2. ポテンシャルの予測
ポテンシャルの高い社員(HiPo)は他よりほぼ2倍貴重ですが、会社がその価値を実現できないことがよくあります。半分くらいの会社(46%)はHiPoを明らかにする体系的でデータに基づいたプロセスを持っていませんので、上級管理職は単純に高業績者をHiPoとして扱います。
これは危険な賭けです。より上の職務では異なるスキルやコミットメントレベルが求められるのが現実で、下の職務での高業績者が必ずしもHiPoであるとは限りません。実際、会社の現在の高業績者のうち、HiPoでもあるのはわずか15%です。平たく言うと、会社はより上の職務で成功しそうにない社員にトレーニングや昇進機会を与えているのです。
人事チームは人材アセスメントツールを使って、高業績者とHiPoを区別する3つの特徴を見分るべきです。
- 上級職でより大きな責任を持ちたいという「意欲」
- リーダー職で任務をこなせる「能力」
- 会社にコミットし、チャンレンジングな職務に就いていたいという「エンゲージメント」
3. リーダーシップ能力の測定
会社は長年、新しいリーダーを育てて「未来の働き手」を築くことに惜しみなく時間と資金をかけてきました。伝統的なやり方は業績データに頼り、リーダーを今の地位までつれてきた行動が今後も会社にとって必要なものである、と仮定するものでした。
これは必ずしも真実ではありません。CEBデータによれば、上級リーダーチームのメンバーを入れ替えた会社の割合がこの10年で12%から32%にジャンプしたのは不思議なことではありません。
会社に必要なことは、過去ではなく、現在と将来のビジネス要件を考慮に入れた人材アセスメントの枠組みです。未来の後継者は「エンタープライズ・リーダー」(強力な個人リーダーシップとネットワーク・リーダーシップが組み合わされたもの)でなければなりません。個人的な職責を果たすだけでなく、幅広い組織目標を達成できる能力をもつ社員を、アセスメントは見分けなければなりません。
4. レベルの高い大卒者の採用
世界中で、会社は数の限られた大学新卒者を採用する厳しい競争に直面しています。しかし、今日のスピードの速い常に変化している仕事環境でやっていけるスキルを持つ新卒者は多くないことが採用担当者にはすぐにわかります。そして、ポジションが埋まらず投資が無駄になるのです。
CEBデータによれば、新しい仕事を始める際、新卒者の75%が自分に何が期待されているのか理解していません。そして、アメリカでは、求めているスキルと知識を学生が持っていると思う採用担当者は6人に1人だけです。
大卒採用の成果を改善するために、会社は以下のことをすべきです。
- 狭い範囲の学術的な資格に注目することを減らし、学生の全般的なエンプロイアビリティ(雇用されうる能力)や適性を測定するアセスメントを使う。
- 手作業で履歴書を振り分けることを止め、応募者追跡システムやオンラインアセスメントを使って全プロセスを自動化する。
- 候補者にフィードバックを提供して、エンゲージメントを築き、途中離脱を最少化して、彼らがよりよいキャリア決定を下すことを助ける。この種のポジティブな経験はまた、長期的に会社のブランドを高めることに役立つ。
- 新卒採用者が自分のポテンシャルに気づき行動改善できるよう、OJTによる学習機会や能力開発機会を提供する。
このコラムをお読みの皆様はおそらく、すでに人材アセスメントツールを様々な場面でご活用なさっている方々でしょうから、読みながらうなずいていらっしゃるのではないでしょうか。

このコラムの担当者
堀 博美
日本エス・エイチ・エル株式会社