カーギル社のパフォーマンスマネジメントは何故優れているのか?
公開日:2017/11/27
このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HP、プレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回はCEBブログからの記事をご紹介します。
カーギル社では、新しいパフォーマンスマネジメント手法によって、社員の70%がより大切にされていると感じていると回答しています。
パフォーマンスマネジメントのシステムやプロセスのほとんどが失敗している、という事実は耳新しいものではありません。最近では大手企業の中でマイクロソフト社が新しいアプローチを実験しています。何がパフォーマンスに最大の影響を与えるかについての研究成果を踏まえ、総じて、ますます多くの人事チームが、パフォーマンスマネジメントシステムからパフォーマンスマネジメント行動へと焦点を移してきました。
カーギル社の変革ニーズ
この問題に対して、アメリカ穀物メジャーであるカーギル社のマネジメントチームは「日常的パフォーマンスマネジメント」と呼ばれるアプローチをとっています。
カーギル社は会社主導でプロセスを改善したいと考えていました。すなわち、これまでの、社員を大切にするという風土を強化し、ビジネス環境の急速な変化に社員がうまく対応できるよう手助けし、そして、職務上で学ぶ能力を向上させて組織の複雑さを低減したいと考えていました。
パフォーマンスマネジメントの現状を理解するため、人事チームは、エンゲージメントサーベイの結果や、世界中の社員/管理職/リーダーへのインタビューを活用しました。
大きな不均衡
残念なことに、調査の結果、パフォーマンスマネジメントプロセスが測定するものやその使われ方と、社員が日常どのように仕事を遂行しているかとの間に、大きな不均衡があることが明らかになりました。
また、管理職が社員に率直なフィードバックをしたがらず、パフォーマンスマネジメントを事務的な作業としてしか見ていないこともわかりました。
日常的パフォーマンスマネジメント
カーギル社は「日常的パフォーマンスマネジメント」のプロセスを打ち立てました。その核となる原理は次の通りです。
- 効果的なパフォーマンスマネジメントとは継続的なプロセスである。年1回のミーティングや、埋めるべきフォームではない。
- 毎日の活動と練習(フォームやスケールではない)がパフォーマンスマネジメントの質を予測する。
- 社員と管理職の関係が、効果的パフォーマンスマネジメントの肝である。
- パフォーマンスマネジメントのシステムは、様々なビジネスニーズに対処できるよう柔軟でなければならない。
長い目で見ること
カーギル社のリーダーシップチームは、個人や組織のパフォーマンスに与える影響を見るには、長期間、連続的な改善を続けなければならないことに気付いていました。
これはプロセスの非常に重要な部分です。我々CEBの30年以上に渡る経験も、会社が大きな変革を成し遂げるためには上級リーダーが関わり、彼らが進んで長期間それに焦点を当て続けることが重要であることを何度も繰り返し示しています。
カーギル社の上級リーダーと人事チームは以下のようにして、焦点を当て続けてきました。
- 優れた日常的パフォーマンスマネジメントを行っている管理職を定期的に認め、表彰する。
- 成功している管理職の経験や現実的なヒントを文書化する。
- 日常的パフォーマンスマネジメントの実行に責任を持つチームを置く。
- 効果的な双方向コミュニケーション、フィードバックのやり方、コーチングなど、日常的パフォーマンスマネジメントの成功に必要なスキルや能力を開発する。
日常的パフォーマンスマネジメントが機能している
日常的パフォーマンスマネジメントについて調査したところ、結果は以下の通りでした。
- カーギル社社員の69%が、有益な能力開発フィードバックを受けた、と回答。
- 70%が、パフォーマンスについての上司との継続的な話し合いのおかげで、大切にされていると感じている、と回答。
この施策を担当するチームは、管理職自身からも、以下のような多くの肯定的なフィードバックを受け取りました。
- 「プロセスが単純化されてやりやすくなったため、重要なことに時間をかけることができるようになった。」
- 「成果や将来の計画に焦点を当てた、より率直な話し合いを年中行っている。」
- 「このプロセスによって、書類仕事よりも部下と話す時間を多くとれるようになった」
パフォーマンスマネジメント、すなわち管理職による部下の業務管理は、毎日の積み重ね。これはあまりに当然すぎて、かえって人事施策を考える際に見落とされてきたことかもしれません。

このコラムの担当者
堀 博美
日本エス・エイチ・エル株式会社