事例:アデコ・グループ――SHL Leader Edge Solution
公開日:2018/07/09
このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HP、プレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回はリーダーシップ開発におけるアセスメントの活用事例をご紹介します。
- 会社概要
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- 世界有数の人材ソリューション・パートナー
- スイスのチューリッヒに本部
- Fortune Global 500 にランキング
- 年間売上高237億ユーロ(2017年度)
課題――将来のチャレンジの準備ができているリーダー・パイプラインの構築と開発
アデコ・グループは多様な人材を雇用しています。アデコ・グループのビジョンを前進させるのがリーダーであり、そのリーダーを見つけて能力開発するための適切なアプローチを持つことが会社にとって重要です。自社のプロセスを強化することを通して、アデコグループは顧客により良いアドバイスができるようになり、その専門性を顧客に受け渡すことができます。
アデコ・グループの人事とビジネスリーダーたちはミスマッチを経験していました。フォーマルなプロセスを通してその役割に「適切である」とされた人々と、意思決定者たちが最も適していると感じる人々のミスマッチです。
「ほとんどの会社と同様、我々は、社員の能力や強み、ギャップを見るフォーマルな人材レビュー・プロセスを持っています。しかし、それは紙の上でのものであり、組織の一部でしかやっていませんでした。あるポジションに実際に人を選ぶ、ということになると、完全に主観的で、リーダーの直観に基づいていました。」(コートニー・アブラハム氏(Global Head of Talent Strategy and Development))
その結果、社外からリーダーを採用することがとても多かったのです。
「階層の次の人を見て、その人がまだ準備できていない、と我々が思えば、社外から採用しました。社外採用に伴うリスクを減らすためには、より早期にリーダーを発見・育成することによってこれを変えなければならない、とわかっていました。」(コートニー氏)
解決策――コンテキストに注目してリーダーを評価
スピードの速い今日の仕事環境ではリーダーの職責の幅が広く複雑になっています。アデコ・グループはそれまでと異なる。より状況に合わせたアプローチを求めました。
上級管理職の能力開発プログラムをどのように高めていけばよいか、SHLに相談しました。
北米の上級管理職100人に対してSHL Leader Edge Solutionが導入され、リーダーが働く特定のコンテキスト(文脈)に合わせて個人の能力開発計画が微調整されました。
そのやり方は、まず、アデコ・グループのリーダーシップ・コンピテンシー・モデルを、SHL Leader Edge Solutionの基盤である27個のチャレンジに対応付けました。次に職務経歴書と一緒にSHL OPQ(Occupational Personality Questionnaire)を使って、
これらチャレンジについてのリーダーの遂行能力を評価しました。
「新しいシステムの最も重要な部分は、それがコンテキストに沿っていることです。我々は、リーダーが新しい役割で直面するであろう最重要チャンレンジ6個を見て、それらを候補者のスキルやコンピテンシー、意欲、キャリアパスと比較しました。それによって、引継ぎが成功するには何が必要かに焦点を当て、それに従って能力開発を仕立てることができました。今では、プロセスの早い段階で人々を能力開発しています。新しい役職で彼らが直面するであろうチャレンジ課題と比べてのスキルギャップについて把握していますので、導入や研修の機会を活用して積極的にコーチングやサポートをしています。」(コートニー氏)
結果――社内からのリーダー抜擢が増えたことでリスクが低減
この新しいコンテキストベースのアプローチは、社内人材の異動や昇進への自信を深めることにつながりました。
「グローバルでリーダーのポジションが空いた時、今では必ず最初に社内を探します。我々は社員に対して、特定の状況でその人が成功しそうかどうか、以前よりもはるかに正確なデータを持っています。そのデータを活用して社内候補者と面談します。本人のキャリア志望と合っているかどうかも見ることができ、より自信をもってその人が異動や昇進の準備ができているかを判断できます。」(コートニー氏)
重要な点として、コートニー氏は、この恩恵は社内人材だけでなくビジネス全体に及んでいる、と付け加えました。「社外からの採用では候補者について我々があまりデータを持っていないため、危険が大きいです。また、社内からの昇進のほうが成功する確率が高く結果が早く出るようです。ビジネスや人、競合状況を理解しているからでしょう。」
この成功は継続しそうです。アデコ・グループは現在、この新しいアプローチをビジネスのより多くのところで使っています。フランス、スイス、シンガポールでも来年のグローバル・リーダーシップ・プログラムに参加する人材を見つけるために、コンテキストに注目したアセスメントを導入しつつあります。
リーダーの選抜と育成は古今東西、組織の重要な課題です。本事例で導入されたのはコンテキスト(文脈)に焦点を当てたリーダー育成です。「一般的な」リーダーではなく、ひとりひとりのリーダーに「特有の」チャンレンジ(課題)を見ます。

このコラムの担当者
堀 博美
日本エス・エイチ・エル株式会社