事例:ブリストル&ウェストン大学病院(NHS財団トラスト)
公開日:2020/08/24
このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループHPのプレスリリースやブログなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回はSHLビデオインタビューツールの活用事例をお伝えします。
University Hospitals Bristol & Weston NHS Foudation Trust (UHBW)は、新型コロナによるパンデミックの結果として発生した、看護師、清掃担当者、食事担当者を含む100以上の欠員を素早く埋めるために、SHLのビデオインタビューを利用しました。
UHBW概要
- UHBSのミッションは、卓越した医療と看護、日常的な教育と研究を行うことによって、コミュニティに住む人々(50万人強)の健康を向上させることです。
- 1万3000人以上のスタッフが、10拠点で100以上の様々な臨床サービスを行っています。
- UHBSは、英国保健省のケア・クオリティ委員会によって「Outstanding(極めて優れている)」の評価をもらっています。
課題
- 100以上の新しい欠員を素早く埋めなければならない。
- ソーシャルディスタンスのため、アセスメントセンターや対面インタビューなど通常の採用活動ができない。
- 職種によっては多くの受検者にとって英語が第一言語でないため、採用活動が難しい。
結果
- ビデオインタビューのツールを使用した最初の3週間でUHBWは30人に採用通知を出した。
- かつてはアセスメントセンターで6人がかりで最大3時間かかっていたのが、今ではビデオインタビューで応募者1人につき1.5時間しかかからない。
- 意思決定の時間が66%削減したため(30分→10分)、採用受諾率が高まった。
顧客の課題
UHBWは、新型コロナのパンデミックによって生まれた要請に対処するため、10拠点で100以上の新しい欠員を素早く埋めなければなりませんでした。それらの職種は看護、清掃、食事など多岐にわたっています。
「集中治療室での補助に、1シフトあたり最低20人の看護アシスタントが必要でした。すべての患者さんに約束している極めて優れた質を維持しながらも、十分な人数を確保できるかどうかが心配でした。」(ハンナ・パーカー、UHBW採用担当者)
トラストの通常の採用プロセスは、毎月最大40人の応募者への対面インタビューとアセスメントセンターです。このプロセスがトラスト内の多くのスタッフグループに展開されており、頑健で信頼できる仕組みだと考えられていました。しかし、突然、ソーシャルディスタンスをとらなければならなくなり、UHBWはそれに適応して進化しなければなりませんでした。すでに300人の候補者がアセスメントを待っていました。トラストが最初に変えたのは各候補者への電話インタビューでしたが、これはすぐに時間と労力がかかりすぎることがわかりました。採用担当者は一日に15件の電話インタビューを行わなければなりませんでした。結果として、採用する側とされる側の両方がベストを尽くすことができず、それが運用効率と有効性に影響しました。特に、食事、清掃などの仕事は、言葉の壁などのため採用が難しかったのです。
英国保健省ケア・クオリテ委員会から「Outstanding(極めて優れている)」と評価されているトラストとして、UHBWはその領域でのリーダーです。採用戦略を適切で状況変化に対応するものに保つための、真の転換が必要なことが明らかになりました。正確かつ公平に、なおかつ新しい仕事環境においても効率的に候補者を評価し続けられるよう、トラストには新しいツールが必要でした。
解決策
2019年、SHLはバーチャル商品の開発に注力してきましたが、2020年3月、グローバル・パンデミックが人事施策に混乱をもたらした結果、その開発を加速しました。企業の新しい仕事環境への適応を支援するために、それらの商品はしばらくの期間、無償で提供されました。
「私が最もありがたかったのはチームの反応の良さです。SHLは私たちの声に真摯に耳を傾け、私たちが直面する問題に一緒に取り組んでくれました。」(ハンナ・パーカー、UHBW採用担当者)
SHLはUHBWとパートナーを組み、ビデオインタビューのツールを提供しました。ポイントは、効率、有効性、エクスペリエンスの3つです。選んだツールは、チームが電話スクリーニングに費やす時間を最小化し(効率アップ)、幅広い応募者たちからより深い洞察を得る一貫したアセスメントを生み出し(有効性アップ)、応募者に柔軟なタイミングや質問形式(ビデオまたはオーディオ)、公平性の保証を提供する(エクスペリエンスの改善)ものでした。
時間が迫っていたこともあり、SHLとUHBWは3日間で2回のバーチャル会議で要件を詰めることができました。
「ビデオインタビューのシステムはとても使いやすく、有能です。座ってどうなっているかを見ている必要はありません。インタビューを設定し、あとは都合の良い時間に戻って評価をするだけです。リソースを大きく節減でき、私たちは全力でその仕事をすることができます。」(ハンナ・パーカー、UHBW採用担当者)
結果
ちょうど1週間後、UHBWは採用プロセスをバーチャルに移行しました。対面アセスメントセンターは6人がかりで最大3時間かかっていたのですが、ビデオインタビューでは応募者1人当たりわずか1.5時間に減りました。
最初のセットアップ後、ビデオインタビューへの招待が応募者に自動的に送られます。UHBWチームがさらに何かする必要はなく、応募者がインタビューを完了します。評価者はある日の午後だけで12個の採用通知を出すことができました。これは前例のない数です。3週間で60人の応募者がインタビューを完了し、結果として30人が採用されました。
応募者1人当たりの判断にかかる時間は66%減った、とトラストは報告しています。これが採用受諾率の高さというさらなるメリットにつながったようです。一方、応募者は、システムは使いやすくとてもいい経験だったと述べています。
これら緊急欠員への応募に新しいツールで対応することを継続しながら、UHBWは、様々なスタッフグループへの展開を検討しており、長期的にすべての採用プロセスにどう取り組むのがベストかを再検討しています。
「同様な課題を抱えている人々への私からのメッセージは、『恐れるな』ということです。オンラインのシステムに圧倒され、それが対面のやり取りと同じくらい良いものかどうか疑問に思うかもしれません。しかし、私たちは、オンラインのシステムでも非常にパーソナルな関係を築くことができ、自分たち自身のものとすることができる、とわかりました。」
残念ながら、SHLビデオインタビューツールは現在英語版をはじめとする数版しかありません。いくつかパターンがあり、ライブで行うものもありますが、この事例のUHBWは採用側が事前に質問を選択/入力で設定しておいて、応募者の回答を録画するものを活用したようです。AIによる評価が参考として出力されるものもあります。
医療現場の人員逼迫の解消にSHLツールが役立ったこと、とても誇りに感じます。

このコラムの担当者
堀 博美
日本エス・エイチ・エル株式会社