コラム

人事コンサルタントの視点

SHL白書:Z世代のリーダー志望者は何を提供できるか?(1/3)

公開日:2021/01/11

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループHPのプレスリリースやブログなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回から3回に分けて、Z世代(1990年代後半~2000年代生まれ)に関するSHL白書をご紹介します。Z世代は現在の採用のターゲット層、お役に立てば幸いです。

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Nairita Paul, Psychologist & Managing Consultant

世界的パンデミックは、変化する力と適応力が根本的に重要であることを実証しています。組織が今日経験している変化の波を克服するためには、認知的多様性(人生経験、世界観、および情報の処理方法による違い)が重要であると考えられます。変化のスピードはしばしば岩場でのサーフィンに似ています。そこでは、経験豊富なスイマーとクリエーター(波しぶきを克服するための新しい方法を見つけるかもしれない)の両方が必要です。

1990年代後半から2000年代に生まれたZ世代は、主流メディアにおいて、前の世代よりも「打たれ弱く、キレやすい」とよく描かれます。しかし、このグループの若くて意欲的なリーダーたちは、生まれながらのデジタル世代にのみ可能な、それまでとは異なる視点や情報処理スタイルを提供します。彼らにとって、世の中でできることは今がスタートです。私たちは流れの途中にあり、さらなる社会的移行と世界的発展を目撃しているのです。

「Great minds think alike. (偉大な人は皆同じように考えるものだ)」というイギリスの諺に対し、Matthew Syed(註:イギリスの元卓球選手で、現在は有名なジャーナリスト)は一貫して反論しています。彼は、「さまざまな専門性や経験、世界観を持つ個人が平等な「力」を発揮できるようにするとき、問題は最もうまく解決され、戦略は最もうまく形成されるのだ」と示唆します。重要なことは、「アイデアに対する批判は最もインパクトある解決に向かう前向きな道程である、と見なすような環境を整える必要がある」という彼の主張です。

Z世代に対するそのような視点が社会にあるならば、私たちが果たすべき重要な役割があります。組織の上級職メンバーとして、アイデアの浮沈を許容する環境を作り、若者とアイデアを共有して彼らからの批判を受け止めることです。

メディアでのZ世代に対する嘆きは、おそらく私たち自身のせいです。私たちは長い間、優れた意思決定をするためには、長期間の経験が重要であると金科玉条のごとく信じてきました。

その常識に逆らい、ファッション界大手のグッチは若いリーダー志望者からのインプットを受け入れ、4年間で136%の売上成長を遂げました。直接の競合会社プラダが売上11.5%減少したときです。成長の要因は「シャドーボード(影の取締役会)」の導入です。若手部下チームが上級管理職と一緒に動き、戦略的意思決定に関して直接影響を与えることを可能にしたのです。シャドーボードは、マーケティングやデザインを人々の買い物のし方や情報入手方法の変化に合わせて迅速に変えることに役立ちました。したがって、私たち社会の他のメンバーは、若者の視点を失いたくありません。代わりに、私たちは彼らが提供する認識の多様性を育て、活用する必要があります。

同様の施策がアデコグループによって行われています。「CEO for One Month(1か月社長)」 です。世界中の18歳から23歳までの若いリーダー志望者が、自国のアデコのCEOを1か月間シャドーイングすることに応募します。受賞者はまた、経営幹部リーダーチームの一員として一緒に動き、戦略の策定を支援して、貢献し学びます。

この白書では、若手トップリーダー志望者のプロファイルに焦点を当て、職場における行動や問題解決能力の観点から、彼らのもつポテンシャルがどこにあるのかを明らかにします。目的は、私たちの絶え間なく変化する職場において若者が何を提供できるか、という問いに答えることです。

調査対象グループは南北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、中東の42か国からの2628人の受検者です。彼らは、知的能力テストと状況判断力テストによる一次選考(31パーセンタイル以上)を通過した受検者です。

状況判断力テストはCEOシャドープログラムでの成功に不可欠と見なされる職場行動(「決断・率先垂範」「協調」「関係作り・ネットワーク」「創造・改革」「顧客志向・業務管理」「適応・変化への対応」)に焦点を当てたものです。

この白書は、アデコグループのCEO for One Monthプロジェクトとの共同研究から執筆されたものです。
原文はこちらから入手できます(ダウンロードにはお名前や社名などの入力が必要です)。
https://www.shl.com/en/resources/the-promise-of-gen-z/

次回は白書の核となる部分、調査対象2628人のテスト分析結果をお送りします。

本年も皆様にお役に立つコンテンツをお届けできるよう努めてまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。

堀 博美

このコラムの担当者

堀 博美

日本エス・エイチ・エル株式会社

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