2021年、タレントモビリティは不可欠に
公開日:2021/04/19
このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループHPのプレスリリースやブログなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回はSHLグループHPブログからタレントモビリティ(人材の流動性)に関する記事をご紹介します。
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リーダーが絶えず変化する世界により機敏に対処するために、コンテクスト(文脈)の力がどのように役立つか
2021年3月10日 ジョン・カーベン
過去10年間で、世界は大きく変化してきました。私たちの生活だけでなく、アセスメント業界においても同様です。
多くの組織が再編され、ほとんどすべての職務が進化してきました。ガートナー社の人事優先課題についての調査リポートによれば、今後2~3年で、私たちの90%が現在の職務において新しいスキルを開発する必要があり、組織の83%で新しい職務が作られ、79%でなくなる職務があります。また、調査対象の組織のほぼ半数(44%)がリストラを計画しています。
ガートナー社は、2021年の人事課題の上位2つを挙げています。
- 重要なスキルとコンピテンシーの構築(68%)、および
- 組織のデザインと変化のマネジメント(46%)、です。
これらの課題に対処するには、従業員の成長とモビリティ(流動性)が欠かせません。従業員の成長とモビリティを可能にし、推進する能力を持ったリーダーの人材ベンチを構築する必要があります。
コンテクストが、リーダーのモビリティを成功させる鍵です
リーダーの人材ベンチを充実させることを目指す多くの人々にとって、能力開発とモビリティが焦点となっていますが、そこには問題があります。リーダーの配置転換はその多くが成功しないのです。この問題を調査したところ、リーダーのほぼ半数(46%)が、新しい職務で最初の6か月間に目標を達成できなかったことがわかりました。
リーダーの配置について正しい決定を下すには、時間がかかります。しかし刻々と変化する職場環境では、時間的な余裕はありません。ハイポテンシャル人材の特定、戦略に沿ったリーダー育成、および後継者育成計画は、レベルの違う人事課題であり、すべて異なる知見が必要です。そして、それらの知見を得るには、多くの場合、参照すべきデータ群もそれぞれ異なります。
モビリティの重要性が増すにつれて、我々は、最も正確な意思決定を行うために必要な知見とは何かを明らかにしようと考えました。約9000人のグローバルリーダーを対象に、彼らを成功させるものは何かを特定すべく調査を行いました。結論は、コンテクスト(文脈)です。
職務コンテクストに非常に適合しているリーダーは、高業績者である可能性が4倍高いことがわかりました。言い換えれば、ある職務のコンテクストについてより具体的にすることができるほど、適合度の高い候補者を見つける可能性が高くなります。
より広範なコンピテンシーベースのアプローチも重要です。コンピテンシーは、潜在的なリーダー(つまり、リーダーになる能力、意欲、熱意を持っている人)を特定する際の最良の方法です。ただし、戦略との一致や能力開発、継承、選抜決定を行う必要がある場合は、コンテクストが最も重要です。
リーダーの人材ベンチを流動化することは、複数のメリットをもたらします
適切なリーダーを見つけることが業績にプラスの影響を与えることは明らかですが、リーダーの配置を正しく行うことのメリットはそれだけではありません。我々は、9000人のリーダーに対する調査から、以下の点を導き出しました。
- リーダーシップの多様性の向上
重要なリーダー職のコンテクストに適した候補者のうち、58%が女性であることがわかりました。 - 人事効率の向上
どのコンテクストでも社内人材の30%が成功する可能性があり、よって、外部採用よりも社内登用のほうがはるかにあり得ることがわかりました。結果として、採用コストが削減され、生産性を最大化するまでの時間が短縮されます。 - リーダーのエンゲージメントの向上
コンテクストに対して適合度の高いリーダーは、低いリーダーよりも、エンゲージメントが82%高いです。
戦術的・短期的なリーダーシップモビリティと戦略的・長期的なリーダーシップモビリティは、それぞれに異なる知見が必要です。幅広いコンピテンシーアプローチから、より具体的なコンテクストアプローチまで多岐にわたります。
原文はこちら。https://www.shl.com/en/blog/talent-mobility-has-become-essential-in-2021/
筆者はSHLのシニアプロダクトマネージャーです。コンピテンシーとコンテクスト、それぞれの使用場面がよくわかる記事でした。コンテクストへの適合度については、パーソナリティと経験によって確認するMobilizeという商品があります。以前にもコラムでご紹介しているLeader Edgeを発展させたものです。(残念ながら日本語版はまだありません。)

このコラムの担当者
廣島 晶子
日本エス・エイチ・エル株式会社 主任