バタフライ効果-新型コロナウィルスがどのように新卒採用を変えたか
公開日:2021/08/02
このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループHPのプレスリリースやブログなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回はSHLグループHPブログから、バーチャルの新卒採用活動に関する記事をご紹介します。
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コロナウィルスがどのようにバーチャルの新卒採用が進化させてきたか、そして、どのようにすれば長期的で持続可能なデジタル採用戦略が確実なものとなるのか、を見ていきましょう。
2021年7月8日 Lalitha Spoorthi
現在、世界は、新型コロナウィルスパンデミックの猛威によって引き起こされる混乱やロックダウン、地域/国境閉鎖という絶え間ない脅威に直面しています。パンデミックは私生活と仕事生活の両方でさまざまに多大な影響を与えていますが、これら未曽有の困難な時代を乗り切るのに役立っていることが1つあります。それはテクノロジーです。たくさんのツールやプラットフォーム、さらにはソーシャルメディアでさえも、物理的に離れた環境でつながっていられ、適切な情報を素早く流して生産性を維持することに役立ってきました。これは、新卒採用の現場にも影響を与えています。
ターゲットのデモグラフィック
新卒採用のターゲットであるZ世代は、96%がスマートフォンを所有し、テクノロジーが呼吸と同じくらい生活の一部であるグループです。また、テクノロジーのおかげで、さまざまな背景、経済的および社会的地位、教育レベルの人々が皆同じプラットフォームに集まる、最も多様な集団でもあります。
職場では、この世代はまた、スケジュールの柔軟性、戦略的決定を下す自律性、および上司からの絶え間ないフィードバックを重視する傾向があります。彼らは、自分たちの価値観を共有し、キャリアアップに等しく投資してくれる会社で働きたいと思っています。
従業員としての経験は採用プロセスから始まります。これは、応募者が輝きを放つ機会だけではありません。それはまた、会社が素晴らしい第一印象を生み出し、自社のユニークな特徴にスポットライトを当てる絶好の機会でもあります。したがって、採用過程での応募者体験は、会社側からの全般的な価値提案の肝要な部分となります。コロナ禍前のシナリオ
何年もの間、新卒採用は決まりきったプロセスでした。人事担当者がさまざまなキャンパスを訪問し、プレゼンテーションを行い、明確に定義された水準に従って候補者を選抜して、戻っていきます。募集枠が埋まるまで、ベストな人材を獲得しようと競争が続きます。
新型コロナウィルスがこのプロセス全体を真っ向から変えたので、それは遠い記憶のように思えるかもしれません。昨年、会社が立ち向かった疑問は、「今は何?次は何?そしてこれからどうなるのか?」。前に進む意志はあっても、どうすればよいかが大きな問題でした。以前の状況では、会社は、可能な限りの最高の人材を獲得するために多額の投資を行っていました。人材が得られやすくなった今、会社は明確な採用戦略を持ち、すべてがバーチャルで行われる採用の未来が到来したときに変わっていなければなりません。大量採用の成功実績を得ることができるかどうかは、成績や血統だけでなく、本人が持つ能力やスキルに基づいて、会社が候補者をどれくらいうまく総合的に評価できるかしだいです。
初期の影響
パンデミックが始まった時、会社は、訪問するキャンパスのリストを完成させ、日付を決める段階まで達していましたが、全体的なプロセスをどのように進めるかがわかりませんでした。包括的なアウトリーチプログラムやモバイル対応ソリューション、公正確保のためにしっかりと試験監督されるアセスメント、迅速に結果を出すエンドツーエンドのサービスを備えた、完全にバーチャルな採用には時間が必要でした。ここで、会社は、標準的でうまく組み立てられたプロセスを持つアセスメント会社からの包括的なサポートを探し始めました。これらすべての機能がすでに組み込まれたプロバイダーが明らかに勝者であり、先発者の利点を活用しました。彼らは、サービスに価値を見出し、社内で宣伝することに決めた忠実な顧客を獲得しました。
コロナ禍以降
勢いがあって未来を計画する力を持っている会社は、パンデミック中に安定して成長できた理由を、テクノロジーの進歩と適用、および自分たちの臨機応変な適応力にあると考えています。パンデミックがデジタル採用戦略を加速させ続けるにつれ、会社はビデオスクリーニングと面接を行うバーチャル採用プラットフォームを取り入れようと迅速に動いています。一時的な対応として考えられたこれらの戦略が、予想をはるかに超える価値をもたらし、キャンパス内での立場を確固たるものにしたからです。
現在、広く使われている採用戦術は次の通りです。
- テクノロジーに裏打ちされた、オムニチャネルの人材ソーシングキャンペーン
- オンボーディング時までのコミュニケーション、追跡、面接スケジューリングのエンドツーエンドの自動化
- 強力なシステム主導の試験監督機能によって強化された、厳格なバーチャルのアセスメントセンター
- バーチャル面接(ライブ方式と録画方式の両方)
- オンボーディング前のエンゲージメント
今後の方向性と重点分野
外出しないようにという指示があった時、ビジネスを継続させるための取り組みが始まりましたが、デジタル採用が長期的に持続可能な解決策となるよう継続的な改善が行われています。
- 包括的なジョブマッピングにさらに重点
- 継続的で有意義なアウトリーチプログラムによって応募者を早期にエンゲージメントさせ、頻繁なタッチポイントを確保することによって彼らを常に惹きつけておく。
- キャンパスリーチアウトプログラムと応募者のエンゲージメント
- 継続的で有意義なアウトリーチプログラムによって応募者を早期にエンゲージメントさせ、頻繁なタッチポイントを確保することによって彼らを常に惹きつけておく。
- バーチャルのアセスメント
- インタラクティブで応募者がアクセスしやすい一方で、採用側の会社に堅牢で実用的な結果と洞察を提供するような、最先端のテクノロジープラットフォームを通じて提供される、科学に裏打ちされた信頼性と妥当性の高いアセスメント。
- 面接
- デジタルプラットフォームでの対面セッションをシミュレートすることに役立つツールを介した、シームレスな面接体験。標準化されたコンピテンシーに関するAIおよびMLベースの自動化された洞察は、採用プロセスを自動化し、手作業を大幅に削減するのに役立ちます。
- オンボーディング
- さらに現在、オンボーディングはビデオ会議を介して行われています。会社側は教育研修プログラムをオンラインに移行させ、これまで以上に多くのeラーニング資料とバーチャルトレーニングを提供する必要があります。
以上が、貴社のビジョンと未来を形作るであろう人材を獲得する、より良くそしてより迅速なバーチャルの新卒採用活動です。
原文はこちらです。
https://www.shl.com/en/blog/virtual-campus-recruitment-during-and-after-covid-19/
日本の新卒採用は海外と比較してユニークだと言われます。それでは、海外ではどのように具体的に行っているのか。キャンパスリクルーティングという言葉は知っていても実体験のない私はなかなかつかみ切れていません。
コロナ禍でバーチャル採用が一気に加速しました。経済のグローバル化やテクノロジーの進化に伴って、今後はそれが定番となるのかもしれません。

このコラムの担当者
堀 博美
日本エス・エイチ・エル株式会社