メタバースはポテンシャルの見分け方をどのように変えるか
公開日:2022/03/28
このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回は、SHLグループのブログより、メタバースがアセスメントにどのような変化をもたらすかを考察した記事をご紹介します。メタバースの定義は様々ありますが、一般的にはインターネット上の仮想空間およびその空間で提供されているサービスを指します。国内でも、採用説明会をオンラインゲーム内で実施したという話題を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
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応募者や従業員に、より他者とつながり、協働的で、没入できる体験を生み出すメタバースは、採用と能力開発の未来をどのように形作るのでしょうか。
2022年3月1日 ヘムラタ・ボラ
映画監督のジェームズ・キャメロンは、彼の作品の中で、離れた場所にいる「人の知能」から操作される生き物である「アバター」を作成し、「パンドラの生物圏」を探検しました。このアイデアは2009年には大げさなものに見えましたが、2022年には、これは「メタバース」という形で現実になってきました。メタバースとは、現実世界、仮想世界、拡張現実、インターネットが一体となった空間です。
インドでは、第73回共和国記念日のセレモニー中に、教育技術開発省が「ヴェーダ(宗教文書、知識)からメタバースへ」というビジョンを打ち出しました。同省は、インドの国家教育政策2020が過去と現在を橋渡しし、インドの教育システムにテクノロジーを取り入れた新しい未来をどのように生み出しているかを強調しました。この政策は、インドの教育を「ふるい分けと選抜」から「能力開発」に移行させ、すべての学生がポテンシャルを最大限発揮できるようにする重要な機会を提供します。
インドの教育システムは現在「能力開発」に焦点を合わせています。「メタバースの時代」において、企業組織がポテンシャルの開発にどのように取り組んでいるか、興味深いところです。私はいくつかの組織と協働して、人材ポテンシャルの見極めやアセスメント戦略を提供してきました。メタバースが仕事と能力開発の新たな時代をどのように形作っているのかを理解することに強い関心があります。
メタバースにおけるアセスメント
パンデミックは、デジタル化と自動化への流れを加速させています。したがって、メタバースが組織と従業員のライフサイクルのさまざまな側面に採用されるのは時間の問題でしょう。今日、最高の人材を採用して定着させることは極めて重要です。したがって、採用・体験学習・人材育成に渡り、優れた従業員/応募者経験を迅速に、正確に、かつパーソナライズして提供することは、組織にとって必須です。
メタバースの導入が進み、組織は現在、ヴァーチャルアセスメントセンターによって適切な応募者を見つける革新的な方法を導入しています。応募者はアバターを介してセンターに参加します。自身の創造性を発揮してアバターをパーソナライズすることができます。評価者や面接官も、アバターを使用します。より他者とつながり、協働的で、没入できる応募者体験を提供できます。また、インタラクティブなディスカッションにより、多様な応募者と交流する機会を持つことができ、包括的な労働力、特に読み書きが困難な人々の雇用を支援できる可能性があります。
現実世界をシミュレーションするメタバースでは、スキルや職務に特有のシナリオを公正かつ大人数に対応できる方法で使用し、最適な応募者の識別を助けることもできます。職務に特有のシナリオを解決するためのライブのやり取りを行うことで、多様な従業員と協力するといった将来求められる重要なスキルを測定できます。人とのやり取りに焦点を当てたこの仮想世界では、応募者が自分の取った行動に対し、その場でフィードバックを得ることが可能になり、機敏な学習体験とより良いエンゲージメントを提供します。
近い将来、メタバースでの採用が行われるか?
「実際の仕事」の場面を利用した没入型の応募者体験は、行動学習およびエンゲージメントを向上させる実証済みのベストプラクティスを活用し、「ポテンシャル」を最大化するというチャレンジをサポートします。組織はメタバースを、リモートで勤務する従業員にも展開できるため、人的要素を高めるための拡張性のあるツールとして活用すべきです。
メタバースは、従業員に対しても応募者に対しても同様に、選抜・開発・エンゲージメントについてより良い機会を提供します。パンデミックにより従業員と組織の適応性が高まっていることも相まって、この新しいメタバースの時代は、多くの人にスムーズに受け入れられる可能性が高いです。
原文はこちらです。
採用においてヴァーチャルアセスメントセンターを実施し、応募者はアバターを利用して参加する、という事例が挙がっています。どのような職務の採用で使用されたのか等、さらに情報が開示されましたら、こちらでご紹介したいと思います。

このコラムの担当者
廣島 晶子
日本エス・エイチ・エル株式会社 主任