コラム

人事コンサルタントの視点

事例:SASRI(南アフリカサトウキビ研究所)後継者育成

公開日:2023/04/24

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回は事例をご紹介します。

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SASRIは、従業員の高齢化による後継者不足のため、自社の研究者たちの強みを理解する必要がありました。所内のインターンや学生、そして現在の従業員の中で最も有望な才能を特定し、開発することを、SHLが支援しました。

SASRIはアフリカにおける先進的なサトウキビ農業研究所です。SASRIの科学研究部門は後継者のギャップに直面していました。今後2~3年のうちに多数の世界有数の科学者たちが定年を迎えるためです。

SASRIは作物の新品種開発、作物マネジメントや農業システムの改善などの研究で世界的に有名ですが、自社の研究者たちの強みと課題領域を理解することも必要でした。能力開発が目的です。

SHLはSASRIと協力して人材レビューを行いました。人材のギャップがどこにあるか、潜在的な後継者はどこにいて、その人たちの能力開発ニーズは何か、を正確に判断するためです。

調査は、研究部門における将来の成功に必要な主要コンピテンシーを明らかにし、それを組織戦略と紐づけることから始まりました。これには、複数手法を用いての職務プロファイリングや、ビジョナリーインタビュー、フォーカスグループ、一対比較などの職務分析が含まれていました。

その結果、SASRIは、若手研究者、研究者、上級研究者について、将来成功しそうな職務プロファイルを作成できました。次に、SHLがSASRIの科学者のアセスメントを実施して、それらのプロファイルに対するポテンシャルの適合度を判断しました。 行動パフォーマンスについての上司評定も収集され、統計分析によってパフォーマンスとアセスメントデータの相関が計算され、職務プロファイルと対応付けられました。

グループレベルでの結果を理解するために、SHLがギャップ分析とグループ傾向分析を実施しました。結果は、どのようなアセスメントが今後の採用や従業員の能力開発に最も効果的かを明らかにするために使用されました。

最後に、どのようにすれば最も優秀な理系人材を惹きつけて確保できるのかを理解するために、SHLはSASRIの科学者にとっての主要な動機付け要因を分析しました。

分析の結果、SASRIのトップ研究者として認められている15人は、上司による行動パフォーマンス評定が高いことが明らかになりました。ある人がトップ研究者15人であるかどうかを予測する最も大きな要素は、『創造・革新』の行動でした。トップ研究者15人に典型的に見られた点は次のとおりです。

  • (職位に関わらず)職務プロファイルに対するポテンシャル適合度が、他の研究者よりも高い。
  • 他の研究者よりも、計数能力テストの結果が高い。
  • 測定された多くのコンピテンシーで、コンピテンシーポテンシャルの得点が高い。

分析結果は、SASRIが若手研究者を育成して必要な時に「ステップアップ」できるようにすることに役立ちました。また、自分たちの人材プールや現研究者の強みとギャップを特定することにも役立ちました。SHLの支援によって、SASRIは、新世代の世界クラスの農業科学者の採用と育成に必要なインサイトを得ることができました。

『私たちは、採用や育成計画、インターンと学生の確保の質を高めることに役立つような、人事決定の基準を作ることができました。』(キャサリン・ボーテス、SASRI 人事マネジャー)

南アフリカの研究所研究員に関する事例です。どんな人材が優秀なのか、どんな人材が求められているのか、アセスメントによって暗黙知が形式知に変わりました。

堀 博美

このコラムの担当者

堀 博美

日本エス・エイチ・エル株式会社

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