学習文化を築くための5つのステップ
公開日:2024/06/24
このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。
今回はSHLグループのブログ記事をご紹介します。
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学習文化を作ることで、将来ビジネスをリードする人材を育成し、より機敏に従業員を配置することができます。では、学習する文化を作り、組織全体に浸透させるにはどうすればよいのでしょうか。経験豊富な人事リーダーであるジョン・マロニー・フィリップス博士に、学習文化を築くための5つの方法についてお話を伺いました。
ナタリー・アッシャー 著
2024年6月6日
文化は一夜にして実現できるものではない
学習文化とは、メンバー間の継続的な学習、成長、能力開発を優先し、奨励する組織環境です。学習文化は、個人が知識を求め、自発的に学習し、知見を共有し、新しいスキルを活用して個人と集団のパフォーマンスを向上させるという考え方を育みます。
多くの組織は、最新の学習ツールやコンテンツを購入するという落とし穴に陥ります。これらが人材育成を強化するための万能薬だと考えてしまいますが、これらの利用を促すために莫大な労力をかけなければ、効果はあまり得られないかもしれません。それよりも基本的なソリューションを使用して、従業員に利用を奨励してやる気にさせ、関係者全員に利益をもたらす学びを実現するよう、強力な計画を実行するほうが成功の確率は高まります。学習文化を構築する上で良い出発点となる5つのステップをご紹介します。
学習文化を築くための5つのステップ
- 学習目標を定義する
これは当然のことのように思えますが、まず従業員にスキルの開発を奨励する目的を理解することが重要です。一般的に買い手は、売り手に対し特定の業界の最前線にいて、最新の関連技術、研究、トレンドに精通していることを期待するので、この点が目標となるでしょう。しかし、それ以外の目標もあります。組織内のスキルギャップを埋めることや、従業員が個人的な目標(例:予算編成をする)を達成できるようにすること、AIなど業界外の新しいトレンドに遅れずについていくことなどです。最終目標が何であるかを理解することは、その目標に到達するためのステップ、そして適切なツールとプロセスを決定する上で役立ちます。 - メリットを伝える
今日の世界では、あらゆるレベルと役割において、自分のスキルを最新の状態に保つことが極めて重要です。新しいスキルの習得に時間を投資しなければ、雇用が危うくなるでしょう。このようなメリットを伝えることで、学習は組織を助けるだけでなく、その人の組織内での昇進や将来のキャリアに役立つことを理解してもらえるでしょう。 - リーダーの協力を得る
リーダーは、成功のチャンスを掴むために学習を支援する必要があります。チームに学習の時間を与えるだけでなく、利用可能なリソースを思い出させて学習を促したり学習のメリットを伝えたりするという重要な役割を担います。リーダーは、他者の学習を支援するだけでなく、自らも積極的に学習をして模範となる必要があります。 - 報酬と表彰
業績管理に学習を含める必要があります。ボーナスなどに影響する定期的な目標と評価に、学習の要素を含めるべきです。金銭的な報酬がなくても、学習を個人の重要な目標とすることで、組織が能力開発を重視していることを示すことができます。成功を祝いましょう。リーダーが「学習のヒーロー」を称えることは、従業員にとって、自分の仕事が注目され評価されていることを実感でき、大きな動機付けとなります。
従業員に期待する行動を強化する上で役に立ちます。 - 適切な構造とツールを提供する
目標が決まったら、使いやすく理解しやすい効果的なツールを用意できるかどうかで大きな違いが生まれます。最適なツールは、スキルギャップや開発すべき領域に関する知見を提供し、個人に合わせた能力開発計画を関係者間で容易に共有できます。そして組織が適切なリソースを確保し、透明性のあるキャリア開発の道のりを作るための構造的な手法を提供してくれます。
学習文化を実現する方法はひとつではなく、各組織はそれぞれの目的に応じて独自のアプローチをとりますが、事前によく検討することと、リーダーシップチームが有能であれば、学習文化を根付かせ、従業員と組織の両方に利益をもたらすことができます。
SHLのスキル開発ソリューションは、客観的なスキルに関する知見を提供し、外部採用であれ育成であれ、いずれの人材戦略であっても、より的を絞った人材育成投資ができるように支援します。
原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2024/5-steps-to-build-a-learning-culture/
以前からスキルベース採用、スキルベースの組織という話題をご紹介してきました。この記事もスキルに関係したものです。従来のコンピテンシーが職務を中心としていたのに対し、スキルは人を中心とする考え方です。今回はスキルベースの組織が成功するには、個人のスキル習得を促す、学習する組織文化が必要であり、そのような文化を築くためにまず検討すべきポイントとして5つを紹介しています。

このコラムの担当者
廣島 晶子
日本エス・エイチ・エル株式会社 主任